第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は16日に2局打たれ、全勝の河野臨(りん)九段(38)は孫喆(そんまこと)七段(23)に敗れ、リーグ初黒星をつけた。一方、前名人の井山裕太四冠(29)は山下敬吾九段(40)に勝って3勝2敗とし、挑戦権獲得に望みをつないだ。

 河野は、リーグ残留に向けて一つも負けられない孫の気迫ある打ち回しの前に屈し、開幕からの連勝は4でストップし4勝1敗に。孫は2勝3敗とした。河野は敗れたものの、星一つの差で追う山下が井山に敗れ3勝2敗となったため、単独首位に変わりはない。

 河野の残る3局の相手は6月羽根直樹九段(42)、7月井山、8月山下。いずれも3勝2敗で自力優勝の芽を残しており、5年ぶりの2度目の名人挑戦に向けて険しい終盤戦となりそうだ。

 一方、名人返り咲きをめざす井山は、絶対に負けられない一局をものにした。すでに2敗を喫しており、過去43期の名人戦リーグで3敗者が挑戦したのは1度しかない。今年に入って12勝13敗の負け越し。不調説がささやかれていたが、本局では山下に快勝し、本来の強さを見せつけた。

 5月の第6ラウンドを終えて、4勝1敗の首位河野を追うのは、4勝2敗の芝野虎丸七段(19)と3勝2敗の井山、山下、羽根の4人。河野の快進撃が止まり、リーグ戦は大混戦の様相を呈してきた。(大出公二)

**********

本因坊戦で挑戦者となった河野九段は、第1局で井山本因坊に勝利し、波に乗っていました。ですが、今回は必死の孫七段に足元をすくわれてしまいました。ここで河野九段が踏ん張るのか、それともずるずると後退するのか、囲碁ファンとしては興味津々です。

井山裕太四冠は、またもや山下敬吾九段に助けられてしまいました。今年の棋聖戦でもそうでしたが、ここぞというときに、井山四冠は山下九段に勝って、危機を脱します。面白い相性です。

ともあれ、今年の名人戦挑戦者争いからは、囲碁ファンなら目が離せません。個人的には井山四冠の復活を期待したいのですが、どうなるでしょうか。