【ワシントン時事】米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)が11日、ニューヨークで行われた同時テロ15年の追悼式で体調を崩し、肺炎だったと発覚した問題は、高齢のクリントン氏の健康問題に焦点が当たる契機となった。当選すれば就任1年目で70代に入るクリントン氏の健康問題は、共和党やメディアの追及を受けるとみられ、選挙戦に影響を及ぼしそうだ。

 クリントン氏が追悼式を途中退席した後の様子とみられるインターネット上の映像では、よろけて両脇を支えられながら車に乗り込んでいる。共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)は「(過激派組織)『イスラム国』(IS)と戦うには精神的にも体力的にもスタミナ不足だ」とクリントン氏を攻撃しており、この映像のイメージだけでも一定の打撃となる可能性がある。

 今回の件では、クリントン陣営の情報開示にも疑問が残った。クリントン氏が11日に体調を崩したため、主治医は肺炎を公表したが、その診断が下っていたのは9日だった。クリントン氏は先週の遊説中、せきに苦しめられる場面があったが、途中退席がなければ肺炎は公表されなかったかもしれない。

 退席についても「陣営は当初、その理由や居場所について何も情報を出さなかった」(ニューヨーク・タイムズ紙)。さらに、体調不良は暑さのせいと最初に説明した際に、陣営は肺炎には触れていなかった。

 クリントン氏は国務長官時代の2012年、脳振とうを起こして入院し、頭部の血栓治療を受けた病歴がある。これに関連して、トランプ陣営は「失語症」ではないかと具体的な症状までほのめかしながら、クリントン氏の健康に強い疑問を提起している。 

米大統領選、健康問題も論点に 高齢対決、不十分な情報
朝日新聞 2016年9月13日05時01分

 米大統領選で民主党候補のクリントン氏(68)が、肺炎を患い、選挙活動の予定変更を公表した。陣営は「回復している」と強調するが、共和党候補のトランプ氏(70)が健康不安を追及するのは必至だ。両氏とも高齢だが、健康に関する情報公開は不十分なまま。大国の指導者にふさわしいのか、健康問題に注目が集まりそうだ。

 クリントン氏は11日午前8時過ぎからニューヨークで、15年前の同時多発テロの追悼式に参加していたが、約90分後に退席した。

 米メディアの一部は「何らかの健康問題が起きた」と伝えたが、陣営は午前11時過ぎまでクリントン氏の居どころや状況を公表しなかった。

 陣営はようやく「暑くなりすぎたため、娘の自宅で休養した」と公表。本人も娘の自宅で、カメラの前に笑顔で姿を見せた。

 しかし、会場にいた人が、追悼式から立ち去る時、よろめきながら、周囲に支えられるようにして乗車するクリントン氏の様子を撮影。ツイッターなどを通じてネット上で広まると、米メディアはその映像を報じ、体調問題がさらに注目を集めた。

 同氏は最近、演説中にせき込むこともあった。陣営は同日午後5時過ぎに「アレルギー関連のせきが続き、検査の結果、9日に肺炎と診断された。抗生物質を処方して治療を始めた。追悼式では脱水症状となった」という医師のコメントを発表。さらに夜になって、12、13日に予定されていたカリフォルニア州の訪問も中止することも発表した。

 対するトランプ氏も、この日の追悼式に出席していた。12日朝には米メディアとの電話インタビューでクリントン氏の健康に触れ、「争点だ」と述べた。トランプ氏はこれまでも「クリントン氏には大統領を務めるスタミナがない」と批判してきただけに、今後、問題の追及を強めそうだ。

 各種世論調査では、クリントン氏がリードするものの、トランプ氏が迫ってきており、健康問題が尾を引けば、残り2カ月の選挙戦に大きな影響を与える可能性がある。

 今回の大統領選の特徴のひとつは、両候補の年齢だ。70歳のトランプ氏が勝利すれば、大統領の初当選時の年齢として過去最高68歳のクリントン氏ならレーガン元大統領に次いで2番目となる。

 しかし、これまでのところ、両氏とも自身の健康に関する情報を積極的に公開していない。

 クリントン氏は昨年7月、2枚にわたる医師の診断結果を公表したのが最後。トランプ氏に至っては昨年12月、「当選すれば、史上最も健康な大統領だ」という医師の手紙を公表しただけ。トランプ氏の健康状態について、詳しい記述はなかった。この点について、この医師は米メディアに「(トランプ氏に)求められ、5分で書いた」と暴露している。

 2008年の大統領選で、オバマ大統領の健康診断を担当したデビッド・シャイナー医師は9日、ワシントン・ポスト紙への寄稿で、当時71歳だった共和党候補のマケイン氏が、約1200ページの医療記録を公開したことを指摘。「今年の両候補の年齢を考えると、もっと多くの医療情報を公開すべきだ」と訴えた。今後、こうした声が増えるのは確実で、両氏が健康問題をどう有権者に説明するのかが焦点になりそうだ。(ニューヨーク=中井大助)

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クリントン氏は、一部では「パーキンソン病」であるといわれています。

もちろん、パーキンソン病で、激務の米大統領職を務めるのは、ほぼ不可能なことです。このあたりを情報開示しないまま、今回のようなことを繰り返せば、米有権者からの支持は低下して当然です。

他方、トランプ氏の健康状態もよいのか悪いのかわかりません。

どちらが大統領になるにせよ、不安いっぱいの大統領の誕生になってしまいます。それが、中国や北朝鮮を喜ばせることにならないとよいのですが。