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10 胃静脈瘤の治療 B-RTO

2007年07月01日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
胃静脈瘤の治療の中でも、孤立性胃穹窿部静脈瘤という静脈瘤に対しては、B-RTOという治療が大変有効です。
孤立性の胃穹窿部静脈瘤というのは、胃静脈瘤は食道静脈瘤とつながって発生することが多いのですが、それが、血流の関連から少し離れたところに発生していて、その血流が脾臓から副腎静脈への途中にあることに着目して開発された治療です。現在は何通かの血流に合わせて治療にはいる血管がわかれますが、最も多い治療に使用する血管は副腎静脈です。

この治療は、1991年当時、勤医協の中央病院の肝臓内科の金川 博史先生が開発した治療です。北海道発信の治療法で、大変有効性が高くいまも進歩が続いています。この治療が開発される以前は、胃静脈瘤の大量出血で命に関わっていた患者さんが多かったのですが、B-RTOにより、予防的に出血前に治療することが出来るようになり、患者さんもたくさん救われるようになりました。また、B-RTO以前は、胃カメラによる2から3回の治療が必要でこれもまた、患者さんにとって楽な治療法が開発されたことになり喜ばれました。しかし、すべての場合に出来るわけではなく、合併症もありますので、治療の際には必ず主治医に話を聞きましょう。

スライドは左が治療前、中央の写真が治療時、右が治療後です。
上が食道、下が胃で、下の胃のところに出っ張っている静脈瘤が、治療後は無くなっていることがわかります。

最近はB-RTOのみで完了しない場合は、早めに胃カメラによる治療を追加することも検討しています。
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