写真日記

とにかく
人が笑ってくれたらいいのだ
とにかく
人が笑っていないと逃げ出したくなる
でもほんとは
人のことなどどうでもいいのだけど
でもほんとは
人のことばかり気になるのだけど

にょろにょろみたいなのが
風にゆらゆら揺られている

ハテシナイヨクボウヲ
カギリアルモノデウバイアウ

コンニチハ
サヨウナラ

ヨーロッパが混乱している
アイスランドの火山が噴火して
火山灰が上空を漂っているために
ほとんどすべての飛行機が飛行禁止になって
ほとんどすべての飛行場が空港閉鎖されてしまった
９１１の時よりも酷い状況だとニュースは伝えている

いつになったら
戻れるのか
まったく予想もつかない状況で
途方に暮れるだけ

明日乗る予定だった飛行機も
まったくもって飛ぶ可能性はない
それどころか
どうやったら脱出できるのかすら
分からない状況で
とりあえず世界地図を思い描くと
図らずも
この世界の広さを感じることができて
ちょっと興奮して嬉しくもなるけど
またすぐに途方に暮れて眠る

風に吹かれ空を漂っている火山灰の孤独を

上空16000mを漂っている
火山灰のせいで
大変なことになっている
らしい
どうなることやら
まったくもってわからないけど

あくまでも
ネコには関係のない話

虫眼鏡で覗くみたいに
集まって小さな点に集約されていくようだ
それはより深く深く
やがて落ちていく
どこまで落ちていくのかわからないけど
落ちていった先に
ボムじいさんがいたならば
まだ救いがあるけど

個性を集約していくと
やがて一つのラップトップに
迷宮に迷い込んでも
上空からその迷路を見渡すことができるように

クラゲのゆらゆらと

花は枯れる前に
笑顔にさせることができた
だからもっと綺麗に見えたのだ

西日に向かって焦りながら
白いカメラを持って歩いていく

やがて闇が訪れるということ

写真にしなければ
見えない瞬間がたくさんあるということを
カメラを持っていない時にだけ気がつきながら
贅沢にもただ眺めている時間
夕日も落ちてきて
街を赤く染めるけど
僕はただ眺めている
ネコが道路を横切っていく
少女がブランコで揺られている
お祖母さんがそれを眺めている
僕はただ眺めている

白い花を一輪
コップに水を入れて
ピンクの部屋に飾って眠った

朝、目覚まし時計が鳴って
窓の外を見ると曇り空

深く深く沈んでいく
まるで自分が床になったように

粉々に

花は枯れ
いや
枯れる前に咲く

回りながら落ちていく途中で出会った猫

白い花は咲かなかった

笑って欲しい人を
笑わせることができなかったので
玄関を飛び出して
空に向かったのだ

麻薬常習者の依存性のように

なにを求めてしまうのだろう

写真を撮っていないことがストレスになるので
僕は空にシャッターを切るのだ

猫は笑っていなかったけど
僕は笑っている

A型がイヌで
O型がネコで
B型がネズミ
かもしれないななどと
散歩しながら考えていたら
いつの間にか夜になっていた

白い花を一輪
コップに水を入れて
ピンクの部屋に飾って眠ることにする

そう、
残念ながら出席できなかったけど
友人のKくんが結婚式をしたのだ
市ヶ谷で披露宴をしたらしく
桜が満開だっただろうな
おめでとうございます
小学生のころから
ずっとサッカーを一緒にしてきて
とても心の優しい男で
皆から人気のある人望厚い
羨ましい男なのだけど

ただ笑っていればすべて幸せに

日々はどこにいても
刻々と過ぎ去っていきます
あと何回笑ってこの電車に乗れるのだろうと
実家に帰る電車の車窓からの田園風景

昨日眠る前に観た映画

サボテン男のダンス

今日、笑顔の写真を1枚撮った
最高の笑顔の写真だなと思う
デスクトップに最大化して
持ち歩きながらずーっと見ていたら
ずーっと幸せな気持ちになれる気がする
お腹も減らないかもしれない
仕事の写真なので載せられないけど
眠る前にも眺めることにしよう

それにしても
最近、もっとフラットな写真を撮りたいと思う
例えばこんな感じで
伝わるかわからないけど
僕にはとても心地よい瞬間
永遠に誰も見ることのできなかった時間を
僕がそっと掬いとるように

いやはや

無限の宇宙に落ちていくような感覚

草原を馬で走る感覚

誰もいない夏の夕方の市民プールで泳ぐ感覚

星の欠片を噛じってしまう

ただ君が笑っていればいいのだ