因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

東京学生演劇祭2019 Cブロック(冗談だからね。・劇団しゃけぼたる・劇団ありよりのあり

2019-09-07 | 舞台

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 ◆冗談だからね。(インカレ)
  安保泰我作・演出『BABY・BABY』…中央にドレッサーが置かれ、舞台には左右対称に同じ装置、同じ小道具が置かれている。女性が奉仕する飲食店の
舞台裏らしく、数人が化粧をしたり食べたり飲んだりしている。奥には小さなデスクと椅子があり、マネージャーの面接を受けている女性がいる。始まった芝居は、左右の人々が同時に台詞を発しながら進行するものであった。一瞬平田オリザの作品における「同時多発会話」を想起したが、あれは複数の違う会話が同時に発せられることであり、本作とは異なる。
 同じ台詞が同時に発せられるのだが、微妙にタイミングをずらしたり、内容が違う箇所もある。さらに不意に反対側へ移動する人物がひとりふたりと出はじめ、同じ服装だが色が変わっていたり、髪型が変わったりする。

 緻密に構成された戯曲であり、周到に稽古を積み重ねたことだろう。しかしどこかで破調があり、そこから何かが始まることを期待したが、終始同じ調子で進行するために、次第に緊張感が緩み、凡庸な印象になってしまったのは残念だった。これほどの手強い戯曲を書き、演じる俳優がいるのだから、仕掛けが仕掛けに留まらず、演劇的感興に転換することが可能ではないか。

 ◆劇団しゃけぼたる(日本大学)
  石塚薫作・演出『君が朝吸ったタバコのフィルターを舐めたい』…喫茶店で雑誌記者が有名作家を待っている。変わり者らしく、なかなか現れない。喫茶店のボーイは彼独自の感覚があり、注文したものがちゃんと出てこなかったり、コミュニケーションがうまく取れない。やがて一人の男がやってきた。来ない人を待つ、来るには来たがどうも違う。しかしやはりあれは…キワモノ的なタイトルや、不条理演劇風の設定や展開はじめ、個々の場面の旨みをもっとぜんたいの構成へ活かし、より見応えのある舞台になる余地を残している。

 ◆劇団ありよりのあり(明治大学)
  北村美玖作・演出『ちょっと男子ーぃ』…開演前に余興を披露するのだが、しっかり稽古の入った達者なもので、劇団の宣伝をして客席をしっかり温めてから本編が始まる。うまい導入だ。中学の教室で、エリコ、スミレ、アヤネの3人が合唱コンクールの練習に参加しない男子をどうしたらその気にさせるかを協議している。
策を練るうちに、よく知っていると思い込んでいた互いの性格の意外な一面を知り、そこから改めて歌を作ろう!と盛り上がるあたり、元気な女子トーク全開の40分である。観客の反応も意識してテンポよく運ばれる会話は気持ちよく、「必ずお客さん目線に立つこと意識している」という作・演出の北村のことばの通り(公演パンフレットより)、客席に伝えること、客席を楽しませることを第一にした手堅い舞台である。
 物語は題名の通り、3人が「ちょっと男子ーぃ」とコーラスで訴えるところで終わる。ここからどうなるのか、彼女たちの努力報われるのかどうか。男子を登場させずにその様相を描くことが、ありよりのありならきっと…と期待が湧く。

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