因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

studiosalt 番外公演 初期作品記録映像上映&リーディングVol.2 第3回公演『garden』

2019-06-13 | 舞台

*椎名泉水作・演出 公式サイトはこちら 神奈川県立青少年センター2階HIKARI 14日(金)14時、19時30分公演あり 1,2,3,4,5,6,6`,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22
 studiosalt(スタジオソルト。以下ソルト)が番外公演として、初期作品記録映像上映&リーディングと銘打った公演を2か月連続で行う。先月の『父の骨』、リーディング公演として非常に大胆な演出が施されていた。しかし奇をてらったものではなく、作り手の誠実な姿勢、創造の上での必然があり、大変好ましく味わい深い印象を受けた。今夜はその第2弾、2005年第3回公演の『garden』である(劇団サイトの記録)。

 先月と同じく、舞台正面にスクリーンが設置されている。が、その前に大きなテレビモニター(ディスプレイというのかな)があることに気づく。さらに当日リーフレット掲載の配役表には、「山ノ井史」という役名を、山ノ井史自身が演じることになっており、さてこれは?

 今回の番外公演では、現在のソルトのメンバー、新顔の客演陣、そしてかつてソルトに在籍した俳優も加わっての座組となった。山ノ井は2009年から2018年まで在籍し、数々の舞台で重要な役をつとめてきた俳優である。明日も公演があるため詳細は控えるが、こういう構造は予想もしていなかった。なるほどと思わせる反面、こなれていないところもあって、しかしリーディング公演という性質上、その「こなれなさ」もまた魅力として受け止められる。

 個人経営の小さな工務店の庭、というより洗濯物を干したり、休憩したりする場所が舞台である。社長以下オーバーステイのイラン人アリ、学科試験に何度も落ちて、なかなか運転免許の取れない中卒の隼人、そこに問題を起こして大学講師を頸になった設楽がやってくる。妻の不倫、不法滞在、学歴コンプレックス、エリートコースからのドロップアウトなど、それぞれに背景や事情があり、とくに隼人と設楽は水と油のごとく反発し、ことあるごとに衝突する。

 上演時間は75分。決して長くはないが、そこに半年以上の月日が流れていることをさりげなく見せる。頑なだった設楽が職場に馴染み、隼人との距離も変容する。見る方はどうしても何かのきっかけがあって、その伏線が回収されるという流れを期待してしまうのだが、本作の場合、必ずしもその手順を踏んでいない。それを強引であるとか、不自然であるとは全く感じなかった。謎や秘密や背景をすべて見せるのが演劇ではなく、明かさないままにしておくこと、余地を残すこともまた味わいのひとつであることに、改めて気づかされるのである。

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