因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

『死の棘』

2005-07-18 | 舞台
 *島尾敏雄原作 鐘下辰男構成・脚本・演出  シアタートラムにて上演
 上演が始まってからチケット予約を申し込んだのは、本作をギリシャ悲劇の『メディア』と対比した文芸評論家の山本健吉のコメントが掲載された新聞記事を読んだためである。舞台一面に本水を張った中に円形の台が浮かんだような演出がされていることにも興味をそそられた。同じく本水を使った蜷川幸雄演出の『メディア』の不完全燃焼感を解決する道を探したかったのである。
 しかし残念ながら今回も本水の扱いが難しいことを改めて実感する結果となった。上演が始まった直後は目をひくが、ずっとあると気にならなくなるのである。登場人物が円形台から降りて水の中を歩いたり、そこから水を汲んで相手に掛けたりという場面が続くにつれ、みている緊張感が緩んでしまう。
 舞台に俳優がいるだけで充分生々しいのである。その上にほんものの何か(火や水や生き物)をプラスするのは難しい。
 高望みかもしれないが、水がなくても水の存在を感じさせる舞台に出会いたいのである。(7月2日観劇)

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