因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

『純情きらり』~寺島しのぶと西島秀俊

2006-06-17 | テレビドラマ
*NHK朝の連続テレビ小説 浅野妙子脚本
 このところ主人公の桜子(宮崎あおい)よりも、姉の笛子(寺島しのぶ)のことが気になって真剣にみる日が続いた。
小さな頃から優等生で、今は女学校の教師である。母亡き後は主婦として家事を切り盛りし、父亡き後は文字通り一家の大黒柱である。しっかり者だが少々頭が固くて融通がきかず、奔放な桜子とは喧嘩が絶えない。そんな笛子が恋をした。相手は無頼の画家杉冬吾(西島秀俊)である。冬吾は朴訥を絵に描いたような男性で、周囲の思惑など関係なく心の赴くままに行動する。絵に関しては一歩も譲らず。女性には大層もてる。生真面目な笛子とは水と油なのだが、この二人が出会って心を通わせていく過程が実にきめ細やかに描かれていて、目が離せない。
 笛子が冬吾に出会ってどんどん変化していく様子を、寺島しのぶがとても丁寧に演じていて、舞台とも映画とも違う新しい魅力を感じさせる。桜子の書いた偽手紙に激怒して東京の下宿に乗り込んできて、「ずっと怒っていました」と冬吾に泣きべそをみせる場面など、いい表情をするなぁと思わず見とれたほどである。特に今週金曜日放送の回後半、喫茶マルセイユ前の通りで、笛子が心のうちを冬吾にぶつけ、冬吾が飾り気のない言葉と態度で包み込む場面には涙とまらず。笛子が素直になれてよかった。それを冬吾さんが受け止めてくれてよかった。冬吾さん、当分旅に出ないで、ちゃんと笛子さんのそばにいてください、頼みますよ....と、現実とドラマのボーダーラインがあやうくなっている。笛子と冬吾がわたしの日常の感覚のなかで、生きた人間として動き始めているということだろう。

 さて西島秀俊の素朴な東北弁を聞くうちに突如ひらめいた。井上ひさしの『イーハトーボの劇列車』の主人公宮澤賢治を西島くんでどうだろうか?!

 

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