因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

sortie vol.01『セイラム』

2018-10-16 | 舞台

屋代秀樹(日本のラジオ 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11)作・演出 公式サイトはこちら新宿眼科画廊 16日で終了 
 それぞれ脚本、演出、主宰、俳優と何役も兼ねて活動する雁瀬有子、つついきえが、俳優に専念するために外部に作・演出を依頼して公演を行うことを目的に立ち上げたのが sortie(そるてぃえ)である。その第一作がの本作だ。公演チラシには、「山間の街、田瓶市/田瓶図書館館長夫人、阿見エミリ氏の主催する/読書サークル「あやめの会」に /現れた1人の女/「女の子はみんな魔法が使えるんです」/現実と空想の狭間に揺蕩う、/もうひとつの世界のお話」となる。少し長い引用になったが、観劇後のもやもやした妙な心持ちを整えようとして、しかしこうして書き写してみても、やはりもやもやは消えないままである…という自覚から書いてみることとする。

 セイラムと聞いて即座に連想するのは、アーサー・ミラーの『るつぼ』である(これまでの観劇記事→1,2)が、「セイラム」という、意味を持ちすぎる地名をタイトルにしながら、設定は「田瓶市」劇団肋骨蜜柑同好会の作品を初出とし、屋代秀樹の作品でも登場した。のんびりというより、どこか間の抜けた語感を持つ「田瓶市」なのである。

 登場するのは、前述の阿見館長夫人(後妻)はじめ、この架空の街に住む8人の女性たちである。冒頭ではそのうちの数名が「こっくりさん」らしきことをしており、誰かが捌けて、また別の誰かがやってくる。過去にすがたを消した人物についての謎解きが本作のひとつの鍵らしい。その謎を解くべく、異物的な若い女性が放り込まれ、彼女を手引きし、裏で手を回そうとしているらしき女性もあるが、真実に向かって謎が解明される様子はなく、話の流れや人物の関係を明確に把握することがむずかしい作品だ。

 何となくけむに巻かれたまま終わった印象があり、正直なところ、もう少し確かな手ごたえが欲しいと思う。しかしながら8人の女優はいずれも異なる魅力を放ち、アンサンブルというより、心地よい不協和音といった様相である。安易に続編を、と期待するわけではないが、sortie(そるてぃえ)の今後の展開として、「あの田瓶市のあの女性たち」に再び会えればと思う。あのなかの1人のスピンオフ作品であったり、彼女たちをめぐる男性たちの話であったり…とsortie(そるてぃえ)の旗揚げは、早くも自分の妄想を掻き立てているのだった。

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