因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

唐組×東京乾電池コラボ公演 『嗤うカナブン』

2018-02-09 | 舞台

*川村毅作 柄本明演出  公式サイトは こちら 下北沢/ザ・スズナリ 14日まで
 唐組の久保井研、辻孝彦、稲荷卓央、東京乾電池の谷川昭一朗、戸辺俊介、伊東潤が共演、演出は東京乾電池座長の柄本明とは、その濃厚なること強烈なること夢のような座組で、想像するだけでぞくぞくする。考えてみると、唐組のお三方は紅テントの立ち姿の印象が強い。久保井研は庭劇団ペニノ公演を一度見たことがあるが、ホームグラウンドのテント芝居を思い起こすと、ほかの劇団、ほかの劇場での唐組俳優は自分にとってはほとんど別人に近いのである。久々に舞台に出演する稲荷卓央、体調不良から辻孝彦が復帰したことなども合わせて、嬉しい観劇となった。

「ここはパリ、シモキタ。今夜もジャズ・カルテットの演奏がはじまる」という公演チラシ掲載のストーリーの通り、モーリス、フランソワ、ポール、ジェフ、バイトのアラン、八百屋のクロードと呼び合う黒社会に蠢く男6人の物語である。序幕からフィルム・ノワール風の匂いを漂わせながら、「パリ、シモキタ」という地名?からしてふざけており、どこからどこまでがリアルなのか、これを「遊び心」とまとめてはちがうようであるし、俳優陣の造形も「芸達者」「実力派俳優」という域を超えている。これまでたくさんの舞台に出演し、演劇の裏表、戯曲と演出、俳優の仕事を知り抜いてなお新しいものを作りだそうとするしなやかな佇まいが気持ちのよい舞台であった。

 戯曲に対してはあとひと息ものたりない感覚がある。しかし柄本明の演出が実に楽しそうで(ヘンな言い方だが、実際そう見える)、応える俳優も自分たちの劇団とはちがうものを互いに吸収しながらあるときはバランスをとり、あるときは敢えて壊しながらの作業があったのではないか。実に伸び伸びと楽しそうであり、唐組、東京乾電池ともに年中忙しい劇団であるけれども、これからもこういったコラボ公演、よき交わりが続いて企画されることを願っている…しかし「やっと実現した!」という感激が薄れるのももったいないし、と心乱れるのである。

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