因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

講演会「文学座の80年と今」

2018-11-01 | 舞台番外編

*公式サイトはこちら 11月1日(木)17時~18時 共立女子大学神田一ツ橋キャンパス本館B101 共立女子大学・短期大学総合文化研究所主催 文学座、共立女子大学文芸学部OGネットワーク協力
 先月27日から同大学本館ロビーで「戦後新劇と文学座」と題したポスター・資料展示が行われており(8日で終了)、その関連イベントとして講演会が開催された。演劇評論家の大笹吉雄氏が文学座の歴史、『女の一生』と長らく主役の布引けい役を務めた杉村春子のことを語り、後半は2016年から4人めのけい役をつとめる文学座の山本郁子氏が登壇した。

 文学座創立までの動き、どのような作品と経緯を経て、杉村春子の芸質が具体的にどのようなものであり、それによって『女の一生』が上演され続けてきたこと等など、いろいろな媒体で執筆もされ、発言もされていることであるが、今さらながら、一切のメモ、資料を見ることなくよどみなく語る大笹氏の講義に圧倒される。杉村春子先生、やはりあなたは、只者ではありませんでした。

 山本郁子氏は『女の一生』東京公演を終えたばかり。もっといろいろな話を伺いたかったが、時間が押して十分でなかったのは残念であったが、まさに今充実のときを迎えようとしている俳優が発する力強く、清々しい「気」は、こちらの心も晴れやかにする。こちらの想像の及ばない重圧があり、さまざまな試行錯誤があるだろうが、山本郁子の布引けいを確立してほしいと願っている。同時に、けい役はもちろんのこと、これからできるだけ多くの俳優に『女の一生』の舞台を担ってほしいと思うのである。

 大笹氏によれば、これほど長きに渡る『女の一生』の上演は、歌舞伎、新派とも柔軟に共演した杉村春子の持つ芸の幅が成し得たこと。この芸風を継承するのは非常に難しいことであり、伝統芸能ではないのだから、特定の俳優の芸を受け継ぐのは必須ではないとも考えられる。最初はなぞる、真似ることに始まっても、最終的には、その作品に必要であり、適した演技に到達すること、それも共演者とのバランスを考えた上で、そしてその俳優個人の個性が活かされれば最高であろう。100人を超える俳優が所属する大所帯で、一人ひとりが十分な活躍の場を持つことは非常に困難であるが、そこに「アングラ演劇」が活かされる可能性はあるのだろうか。終盤の質疑応答で、ひそかにわたしが聞きたかったことである。

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