因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

演劇集団円『天使都市』

2007-10-13 | 舞台
*松田正隆作 森新太郎演出 公式サイトはこちら 田原町 ステージ円 公演は14日まで
 副題には「記録を残さなかった都市の記録についての演劇的記録」とある。また本公演は昨年亡くなった仲谷昇、岸田今日子の追悼公演と銘打ってあり、当日パンフレットに掲載された作家、演出家、出演者、岩松了の文章にはいずれも2人に対する切ないまでの慕情が綴られている。舞台手前には砂の山、古ぼけた椅子がひとつ。低く流れるタンゴの音楽。いやが上に期待が高まる。

 はじめに男(三谷昇)が登場する。本を取り出し「ここでこれを読めと言われたから読みます」と言って読み始める。これからここで芝居をはじめるのだという。続いて男の妻と思われる女(平木久子)がやってきて「芝居なんてやりたくない。恥ずかしい。難しい」と嫌がる。劇中劇の形を取るのか?と一瞬期待した。次に背中に天使の羽根のついた黒革のコートに身を包んだ長身の女(梶原美樹)が、ロープに首輪を繋いだ男女(上杉陽一、高橋理恵子)を引っ張りながら出てくる。年を取って耳が悪い夫と目の見えない妻の噛み合ない会話や、コートの女に支配されている男女の大道芸など、ときどき客席に笑いが起こるものの、自分はほとんどの時間、舞台の出来事が理解できなかった。首輪の男女は老夫婦の過去の姿なのか、コートの女は人間ではなく、何かの権力の象徴なのか、そもそも「天使都市」というタイトルはどこから来たのか。

 昨年秋上演の『ロンサム・ウェスト』の森新太郎の演出は素晴らしかった。兄弟の家のリアルなセットから、家に向かう道筋、湖のほとりの少し幻想的な場所までを照明のわずかな変化で表現する。音楽の使い方も印象深く、特に少女と神父が湖で語り合う場面で流れた美しいピアノの音楽は忘れられない。今回の『天使都市』でも、そのセンスはしっかりと表現されている。しかし戯曲じたいが自分にはあまりにつかみどころがないものであった。困った。これはどう書けば、というよりそれ以前にどう見れば、どう感じればよいのだろう。

 終演後、すぐに劇場をあとにした。12月公演のモナカ興業『不安な人間は何をするかわからない』をみにいくことを決意。森新太郎の演出である。『天使都市』のリベンジの気合いで。

 

 

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