因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

劇団きのこ牛乳オムニバス公演 きのこ+vol.3 『きしめじ科』

2016-08-11 | 舞台

 公式サイトはこちら 5人の劇作家の20~25分の短編を一挙上演する。演出はすべて奥村拓(オクムラ宅 1,2,3,4,5,6)が担う。 東中野RAFT 14日(日)まで 

1、うんこ太郎(劇団どろんこプロレス) 『プルーストの恋人』
 鼻炎のため嗅覚のない女子高校生愛華が、なぜか唯一香しいと感じる匂いを持つ転校生の樹里に恋する物語。本作の特徴は、男性の俳優がセーラー服を着て愛華(磯野幸一)と樹里(前田ちまき)の肉体部分を演じ、遠藤ちえが愛華、千草が樹理の台詞を発する。セーラー服の男性は口パクで、女性たちは彼らに張り付いているわけではなく、かといって演技スペースはそう広くないので、離れるというほどでもない。愛華役の磯野は、樹理に片思いしている設定もあっていささか過剰な熱演、対して樹理役の前田は淡々としている。この奇妙なアテレコ状態が、不安定で繊細な思春期の少女の心身を絶妙に表現している、というわけでもないが、見ているうちに自然に受けとめられるのが不思議な体験であった。

2、矢野智之(team3E) 『アウトラブ』
 翔(上田浩志)とちあき(高橋紗綾)は同棲中の恋人だが、ちあきが浮気をしているらしい。最初は「怒らないから」とソフトに接していた翔が、浮気相手がビートたけしと知って激昂しながら、一方で喜びに興奮する。だが翔自身も浮気をしており、その相手は何と!

3、バブルムラマツ(劇団鋼鉄村松 1) 『人造カノジョ~あるいは現代のプロメテウス』
 博士(磯野)のもとに取材に訪れた記者(前田)が、失敗作である人造カノジョのさくら(遠藤)を押しつけられる。人造とはいえ、感情部分もなかなか起伏に富んでおり、迷惑顔だった記者もやがてカノジョに惹かれていく?

4、石橋英明(やさしい) 『妄想姉妹』
 どこかの地方、綾子(千草)と恵(杏奈)姉妹が寝たきりの父親を介護している。父は酒乱で暴力を奮い、外にも女を作るなど、長年家族を苦しめてきた。姉の綾子にはおそらく性的虐待も。全編でもっともダークな作品だ。父親は最後まですがたを見せず、寝かされている部屋から鈴を鳴らして娘を呼ぶ。少々長かった。

5、屋代秀樹(日本のラジオ 1,2,3,4,5) 『柔肌の熱き血潮に触れもみで寂しからずや道を説く君』
 ひと組の夫婦が、妻の故郷の山に登っている。故郷では、生まれた女の子は山に生息するあるきのこを食べるという風習があるという。妻の母親とその夫、祖母とその恋人など、過去の人物もつぎつぎに登場して、軽いやりとりにはじまった物語が次第に重層的になってゆく。座組みの俳優総出演。どういう話だったのか、どこがおもしろかったのかがことばにできない。そのもどかしさも含め、5編中もっとも楽しんだ作品。

 俳優は複数の作品に出演するため、集中力と瞬発力が求められる公演だ。しかし座組みぜんたいにいい感じの緩さがあり、リラックスして楽しむことができる。カーテンコールでは、客演の俳優がロビーにはけると、「きのこ牛乳」所属の俳優、千草、前田ちまき、上田浩志の3名が並び、改めて客席に挨拶をする。上田の挨拶がいささか長く、「これはブログにひと言」と老婆心が頭をもたげた瞬間、となりの前田ちまきが「本日はご来場まことに・・・」と上田の挨拶を無残に断ち切って終演となった。客席爆笑。これも演出だったのだろうか。

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