因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

劇団フライングステージ『Tea for two~二人でお茶を』

2008-01-06 | 舞台
*関根信一作・演出 サンモールスタジオ提携 ダブル受賞記念公演 公式サイトはこちら 8日まで
 思い出してみると、これまで加藤健一事務所公演の『セイム・タイム・ネクストイヤー』を3回みているのだった。偶然一夜を共にしてしまった男女が、それぞれ家族がいるにも関わらず、年に一度の逢瀬を重ねる25年間を描いた舞台は何度みても味わい深く、さまざまな場面を今でも鮮やかに思い出すことができる。フライングステージの『Tea for two~二人でお茶を』は、その設定を日本のゲイに置き換えてみたもので、本家が大好きなだけにみる前は少し不安もあった。

 ☆これから少々詳しい記述になります。未見の方はご注意を☆

 1980年晩秋の札幌のホテルで、目を覚ました亮平(成田独歩)は、傍らに寝ている健人(関根信一)をみて驚く。泥酔の果てに一夜を共にしてしまったらしい。しかも男と。亮平は予備校の数学教師で、妻と幼い息子がいる。健人は大学生だが退学したばかりという。どちらも家庭持ちという原作の設定はここで早くも違いを見せる。だが息子の成長や妻とのいざこざ、母親へのカミング・アウトの切なさや、エイズの問題などなど、単なる置き換えや翻案ではなく、まぎれもない関根信一による作品が見事に構築されていて、2時間足らずを前のめりで楽しんだ。25年間の流れを見せるとき、俳優の実年齢が若くてもそうでなくても、どちらかにどうしても無理が出る。それを補うのは俳優の演技力や演出の工夫など作り手側だけではなく、みる側にも想像力が必要であることに気づいた。はじめて『セイム・タイム~』をみたときには、自分の25年後を想像もできなかったが、今ではしっかり「25年前はどうだったか」を認識することができるのだ。当日リーフレットに関根信一が書いている「25年前に何をしていたかということのはっきりした記憶があるせいでしょう」は、自分にも当てはまる。自分の人生を振り返ること、これからの人生を考えること。登場人物といっしょに、25年間をちょっと駆け足で呼吸する楽しさ。それが本作の魅力であろう。

 年明け早々の公演だが、劇場はぎっしり満席の盛況であった。温かい気持ちが胸を満たす。またいつか亮平と健人に会いたい。

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