因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

ティーファクトリー T Crossroad短編戯曲祭≪花鳥風月≫夏 Gプロ+Hプロ

2022-08-23 | 舞台
*公式サイトはこちら 雑遊 28日まで(2021年冬上演の「2020年の世界」観劇の記録→1,2,3)5月の「春」に続いて「夏」の新作戯曲8編(川村毅の『カミの森(仮)』含む)のリーディング上演が開幕。初日を観劇した。
☆Gプロ ビト作『あの夏よ、君を忘れない』
 舞台には厚手のパーカーを着込み、首にはマフラーをぐるぐる巻きに、帽子まで被った男が3人(宮川智司、大森寛人、二神光)、中央のテーブルにはペットボトルの水が置かれている。季節は夏、部屋の中も暑いのになぜ彼らはこんなことを?…という観客の疑問をずっと引っ張りながら、最後まではっきりと答を示さないところが好ましい。タイトルの「君」は4人めの登場人物で、彼らに決して忘れられない体験を呼び覚ます存在だ。目の前で展開する物語はおよそ20分だが、そこに行き着くまでの時間、終わってから続くであろう年月を想像させる。昔の青春映画のようなタイトルが、観る者の心に重く苦く残る。

☆Hプロ 川村毅作『カミの森』(仮)
 「スタートラフ・リーディング」と添え書きされた本作は、「春」公演とは別のシーンを上演するとのこと。前作から引き続きと今回が初めての俳優が混在し、さらに初日の今夜と28日の千秋楽と微妙に異なる配役など、手の込んだ趣向である。横一列に椅子を並べ、白と黒のシンプルな衣装を纏った俳優が台本を持って読む基本的なリーディングだが、始まるやぐいぐいと引き込まれ、「春」公演はどんな場面だったのか、見逃したことが残念でならない(配信あり)。

 ゾンビ映画を撮ろうとしている監督(加藤虎之介)がおり、とある宗教団体が住み着いている「森」で撮影を行いたい、信徒たちにも出演してほしいと持ち掛ける。その監督と宗教団体のリーダー(小林勝也)の関係、実はゾンビ映画に詳しい事務局長(大沼百合子)、家族がゾンビになってしまった少年を演じる子役(亀田佳明)と昔俳優志望だったというその母親(石村みか)、共演者たち(阿岐之将一、高木珠里)のやりとりが大変おもしろい。緻密に構成された戯曲に絶妙の間合いやテンポで応える俳優陣も魅力的で、劇場の空気がどんどん盛り上がっていく。これからどうなるのか…と前のめりになったところで幕となった。「秋」→来年5月の完成を目指すそうで、嬉しくも罪作りな作品である。
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