因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

燐光群公演『スタッフ・ハプンズ』*アフタートークの前

2006-01-19 | 舞台番外編
~誰もいないロビーで~
 今回の公演では、さまざまなジャンルのゲストを招いたアフタートークが連日のように催されている。別の日のチケットでも提示すれば入場できるとのことで、この日夜九時半ころ下北沢のザ・スズナリに向かった。一階の受付でチケットをみせて、劇団スタッフに案内されて階段を上がる。マスクをしたスタッフと「今日はほんとうに寒いですね」と言葉をかわす。ロビーは明かりが消されており、数人のスタッフがいるらしいのだが、暗くてよく見えない。もうじき終演だという。窓際の椅子に座る。寒くてコートが脱げない。場内から俳優の声が聞こえてくる。扉一枚隔てた向こうでは、エネルギーと緊張感に満ちあふれた世界があるのに、こちらはしんと静まり返り、時間が止まっているかのようである。動と静の狭間に身を置いている不思議な感覚。
 大きな音楽がかかり、拍手が聞こえてくる。舞台は終わったのだ。ロビーに明かりがつき、劇場の扉が開く。観客が出てくるとにわかに空気が流れ出す。
 我に返り、劇場に入った。まだ熱気が覚めやらぬ客席の隅に身を置き、観劇後そのまま劇場に残っている周囲の人々と自分との体温差を感じながら、アフタートークに聞き入った。

 アフタートークの前の気分について書いた。誰もいない暗いロビーで感じた寒くて静かで柔らかな、不思議な雰囲気を心に抱えて今夜は眠るとしよう。本編の観劇はあさってである。楽しみでならない。

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3 コメント

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TB&コメント、どうもありがとうございます。 (butler)
2006-01-22 07:55:35
TB&コメント、どうもありがとうございます。
因幡屋さんにとってはビフォア・トークだった訳ですね(笑)。
もしかして、舞台美術(セット)に関するお話はありませんでしたか?
あれは納屋のような部屋は何を意味しているのか?
もし情報画ありましたら、またTBをお願いいたします。
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butlerさま、TB&コメントをありがとうございまし... (因幡屋)
2006-01-23 00:14:12
butlerさま、TB&コメントをありがとうございました。本国での上演は「裸舞台だった」とのことですが、今回の作り込んだ舞台美術が何を意味するかについてのお話はなかったと記憶します。さまざまな装置が有効に活かされていましたね。さてbutlerさま、当ぶろぐの数日前の「イメージバトン」のところを読んでいただけましたでしょうか?不躾なお願いですが、どうかよろしゅう・・・。
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因幡屋さん、 (butler)
2006-01-24 12:16:09
因幡屋さん、
「イメージバトン」の件の返事が遅くなり申し訳ございません。
C.M.スペンサーさんが承諾なさってバトンが渡ったようですが、
次回お役に立てることがございましたら、遠慮なくご連絡下さい。
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