いよいよ上昇気流に乗ってきた。来年6月開幕のドイツW杯まで8カ月を切り、「W杯男」はジッとしていられない。その見事なミドル弾は、翌26日付の地元各紙をにぎわした。
デーリー・スターには「稲本で一瞬の決着」の見出しとともに、リーグ戦起用を示唆するロブソン監督の「彼は卓越していた。いい検討材料を与えてもらった」というコメントが添えられた。デーリー・メールには「稲本のスペシャルゴール」の活字が躍った。
稲本のWブロムウィッチ初ゴールは2-2の延長前半9分。センターサークル付近からドリブルし、約30メートルの距離から右足弾がネットに突き刺さった。イングランドでの公式戦ゴールは、フルハム時代の04年2月4日のFA杯4回戦・エバートン戦以来629日ぶり。古巣を相手に前半3分にはアシストもマークし、移籍後初めて見せる“会心の笑顔”だ。
「フルハム戦はチャンスだと思っていた。1得点1アシストはファンタスティック。日曜日の試合でもチャンスをつかみたい」
稲本自身が期待するように、30日のニューカッスル戦(ホーム)で8戦ぶりのベンチ入り、あるいは開幕戦以来の先発の可能性も出てきた。リーグ戦では7試合連続してベンチから外しているロブソン監督も「稲本がウエストブロムウィッチに来てから最高の試合だった。中盤で相手を押さえ込んだ」と手放しで褒めちぎった。
今月初旬に「W杯を見据えて試合に出たい」とチャンピオンシップリーグ(2部相当)への移籍を志願した稲本。ロブソン監督に「出さない」と宣告され、そして“飼い殺し”の危機から自力ではい出そうとしている。もう逃げない。
「できる限り、ウエストブロムウィッチでプレーしたい」-。
■W杯の足音を聞いて爆裂モード!?
W杯といえば、やっぱり稲本。02年日韓W杯で大活躍した。1次リーグは初戦のベルギー戦にボランチとして先発して1-1の後半22分、日本がW杯で初めてリードを奪う勝ち越し弾を決めた。結局は2-2ドローに終わったが初の勝ち点1ゲットに貢献した。第2戦のロシア戦もボランチで先発して後半6分に1-0決勝弾。日本を歴史的初勝利に導いた。2-0で勝った第3戦のチュニジア戦、0-1で惜敗した決勝トーナメント1回戦のトルコは前半のみの出場。全4試合に出場して2得点。「W杯男」の余韻はまだたっぷり残っている?
[サンスポ]