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東京オリンピック 競技場 競技会場 最新情報(下)

2018年10月11日 08時14分39秒 | 東京オリンピック

「3兆円」! 膨張する開催経費 どこへいった五輪開催理念
“世界一コンパクトな大会”(下)




会計検査院 国の五輪関連支出「8000億円」と指摘(10月4日) 開催経費の総額は約「3兆円」に









東京オリンピック・パラリンピックの全競技会場決まる IOC承認
 2018年5月2日、国際オリンピック委員会(IOC)は、スイス・ローザンヌで開いた理事会で2020年東京五輪大会のサッカー7会場を一括承認した。これで東京オリンピック・パラリンピックの43競技会場がすべて決まった。
 オリンピッックは42会場、パラリンピックで21会場(ボッチャ競技のみ幕張メッセCでパラリンピック単独で開催 その他はオリンピックと共通競技会場を使用)で開催される。
 この内、オリンピックで開催される競技数は、東京大会組織委員会が提案した追加種目、5競技18種目を加え、合計競技数は33競技、種目数は339種目で、選手数の上限を11,900人とすることが決定されている。
 一方、パラリンピックは22の競技が開催される。
 今回、承認されたのは「札幌ドーム」、「宮城スタジアム」、「茨城カシマスタジアム」、「埼玉スタジアム」、「横浜国際総合競技場」、「新国立競技場」、「東京スタジアム」の7会場で、決勝は男子が「横浜国際総合競技場」、女子は「新国立競技場」で行う案が有力とされている。
 今回承認された43の競技会場の内、新設施設18か所(恒久施設8/仮設施設10)、既設施設25か所を整備するとしている。既設施設の利用率は約58%となり、大会組織委員会では最大限既存施設を利用したと胸を張る。
 しかし、競技会場の決定に至る経過は、相次いだ“迷走”と“混迷”繰り返した結果である。国際オリンピック委員会(IOC)や世界各国からも厳しい視線が注がれた。
 当初計画の約3倍の「3088億円」の建設に膨張し世論から激しい批判を浴び、ザハ・ハディド案を撤回して“仕切り直し”に追い込まれた「新国立競技場」、東京都の整備費が「4584億円」にも達することが判明して、「建設中止」や「会場変更」、「規模縮小」が相次いだ競技会場建設、「無駄遣い」の象徴となった「海の森水上競技場」の建設問題、唖然とする混乱が繰り返された。
 2020東京大会の開催にあたって掲げられたキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、そのキャッチフレーズはどこかに吹き飛んでしまった。
 競技場やインフラを建設すると、建設費だけでなく、維持管理、修繕費などの膨大な後年度負担が生れることは常識である。施設の利用料収入で収支を合わせることができれば問題は生まれないが、「赤字」になると、今後40年、50年、大きな負担を都民や国民が背負わされることになる。
 日本は、今後、超高齢化社会に突入することが明らかな中で、コンパクトでスリムな社会の求められている中で、競技場やインフラ整備は必要最小限にとどめるべきであろう。
 2020年東京都オリンピック・パラリンピックの開催を、負のレガシー(負の遺産)にすべきではない。

東京2020競技会場マップ

東京オリンピック 競技会場最新情報(上) 競技会場の全貌 


五輪開催経費「1兆3500億円」 350億円削減 組織委
2017年12月22日、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は、大会経費について、今年5月に国や東京都などと合意した開催経費から350億円を削減し、総額1兆3500億円(予備費を含めると最大で1兆6500億円)とする新たな試算(V2)を発表した。
 試算によると、施設整備費やテクノロジー費など会場関係費用については、仮設会場の客席数を減らしたり、テントやプレハブなど仮設施設の資材について海外からも含めて幅広く見積もりを取り、資材単価を見直したりして250億円を削減して8100億円とし、輸送やセキュリティーなどの大会関係費用については、100億円削減して5400億円とした。
 開催経費の負担額は東京都と組織委が6000億円、国が1500億円となった。
 2016年末のV1予算では1兆5000億円(予備費を含めると最大で1兆8000億円)としていたが、IOC調整委員会のコーツ委員長は10億ドル(約1100億円)の圧縮を求めており、組織委の武藤敏郎事務総長はV3ではさらに削減に努める考えを示した。



東京都の五輪施設整備費「1828億円」 413億円削減
 2017年11月6日、東京都は新たに建設する8つ競技会場の整備費は合計1828億円で、舛添元都知事の「見直し」案の2241億円から、413億円削減すると公表した。
 今回公表された整備計画では、小池都知事が見直しを主導した水泳、バレーボール、ボート・カヌーの3競技会場の整備費を計1232億円とし、計1160億円程度とした「4者協議」で明らかにした案より約70億円増えた。
 「オリンピックアクアティクスセンター」では、着工後に見つかった敷地地下の汚染土の処理費38億円、「有明アリーナ」では、障害者らの利便性を高めるためエレベーターなどを増設、3競技場では太陽光発電などの環境対策設備費25億円が追加されたのがその要因である。
 一方、経費削減の努力も行い、「有明テニスの森」では、一部の客席を仮設にして34億円を減らし、代々木公園付近の歩道橋新設を中止して23億円を削減した。
 この結果、413億円の削減が実現し、8競技会場の整備費は合計1828億円となった。
 五競技場整備費は、当初計画では4584億円、舛添元都知事の“見直し”で2241億円、そして今回公表された小池都知事の“改革”で1828億円となった。
 新たな競技場の整備費が相当程度削減されたことについては評価したい。
 最大の問題は、“五輪開催後”の利用計画にまだ疑念が残されていることである。
たとえば海の森競技場では、ボート/カヌー競技の開催は果たしてどの位あるのだろうか。イベント開催を目指すとしているが、成果を上げられるのだろうか。
 「アクアティクスセンター」は、すぐ隣に「辰巳国際水泳場」に同種の施設があり過剰な建設計画という批判を拭い去ることはできない。
 さらに保守・運営費や修繕費などの維持費の負担も、今後、40年、50年、重荷となってのしかかるのは明らかである。
 小池都知事は、かつて膨張する五輪開催経費を「もったいない」とコメントした。
 8競技会場を“負のレガシー”(負の遺産)にしないという重い課題が東京都に課せられている。



開催経費「1兆3850億円」 都・国・組織委・関係自治体で費用負担大枠合意
都「6000億円」 組織委「6000億円」、国「1500億円」、350億円は先送り

 2017年5月31日、2020年東京五輪大会の開催経費について、東京都、国、大会組織委員会、それに都外に会場がある7道県4政令市の開催自治体(「関係自治体」)は連絡協議会を開き、総額1兆3850億円(予備費含めると最大で1兆6850億円)とし、その費用分担の大枠で合意した。
 焦点の都外の会場の「仮設経費」は「立候補ファイル」通りに、全額東京都が負担することにした。
 小池都知事は、「「四者協議」で公表された2200億円から、「1000億円を超える額の圧縮」と強調し、負担軽減につなげたとした。しかし圧縮経費の詳細については、会場使用期間短縮による賃借料の縮減などを挙げたが、詳細な説明は避けた。
 「「四者協議」で示された開催経費(V1)では「1兆5000億円」、それに予備費が1000億~3000億円加わり、最大で「1兆8000億円」とした。 
 
大会開催経費 最大「1兆8千億円」 有明アリーナは建設 4者協議トップ級会合
 2016年12月21日、国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、大会組織委員会、政府の「4者協議トップ級会合」が再び開かれ、組織委が大会経費を約1兆6000億~1兆8000億円とする予算案(V1)を提示した。大会予算が公表されるのは初めてである。小池都知事は今後、焦点となる費用負担や役割分担を決める政府、組織委との3者協議を年明けから再開する方針を示した。
 大会予算の内訳は選手や観客の輸送などの運営費8200億円▽施設整備費6800億円▽資材の高騰などに備えた予備費が1000億~3000億円。
 前回結論を先送りしたバレーボール会場は小池都知事が「有明アリーナ」(東京都江東区)を新設する方針を表明した。
 “ARIAKE LEGACY AREA”と名付けて、その拠点に「有明アリーナ」に据えて、有明地区を再開発して“五輪のレガシー”にする計画を示した。
 「有明アリーナ」はスポーツ・音楽などのイベント会場、展示場として活用し、周辺には商業施設や「有明体操競技場」も整備する。
 焦点の整備費は404億円を339億円に圧縮し、民間企業に運営権を売却する「コンセッション方式」を導入して、民間資金を活用し経費圧縮に努めるとした。

「4者協議トップ級会合」 「海の森水上競技場」、「アクアティクスセンター」は建設 バレー会場は先送り

 2016年7月、東京都知事に就任した小池百合子氏は、膨張する2020年東京五輪大会の開催経費に歯止めをかけるため、都政改革本部の中に「調査チーム」を設立し、開催計画の見直しに乗り出した。その中でターゲットにしたのは、開催経費削減と競技会場整備の再検討で、海の森水上競技場やオリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナの“見直し”が行われた。(下記参照)
 競技会場“見直し”については、小池都知事、森組織委会長が激しく対立して、決着が着かず、国際オリンピック委員会(IOC)が調整に乗り出し、東京都、大会組織委員会、国、国際オリンピック委員会(IOC)で構成する「四者協議」を開催し、この問題の解決を図ることになった。
 2016年11月29日、小池都知事、森組織委会長、丸山五輪担当相、コーツIOC副会長による「4者協議トップ級会合」が東京都内で開かた。
 この会合で、小池都知事は見直しを検討した3競技会場について、ボートとカヌー・スプリント会場は、森水上競技場を20年程度存続の“スマート施設”(仮設レベル)として、整備費は当初の491億円から298億円に縮減して建設することを明らかにした。
 また水泳競技場は「アクアティクスセンター」(江東区)を観客席2万席から1万5000席に削減して、大会後の「減築」は止めて、683億円から514~529億円に削減して建設するとした。
 一方、バレーボール会場については、「有明アリーナ」を新設するか、既存施設の「横浜アリーナ」を活用するか、最終的な結論を出さず、先送りすることになった。
 都の調査チームがボート・カヌー会場に提案していた長沼ボート場は事前合宿地とすることをコーツIOC副会長が“確約”し、小池都知事も歓迎した。

四者協議 世界に“恥”をかいた東京五輪“ガバナンス”の欠如 開催経費1兆8000億円で合意
「準備は1年遅れ」「誠実に答えない」 警告を受けた大会組織委




“迷走”と“混迷”を繰り返した競技場整備


競技場整備費、約4594億円 招致計画の約3倍に膨張
 2013年9月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪大会の開催都市を決める最終投票が行われた。投票に先立つ最終プレゼンテーションでは、招致“Cool Tokyo”アンバサダーの滝川クリステル氏の「お・も・て・な・し」スピーチやパラリンピアンの佐藤真海氏のスピーチが行われ話題になったのは記憶に新しい。結果、ライバル都市のマドリードとイスタンブールを破り、劇的な勝利を手にした。
 しかし、招致成功に沸いた「祭り」ムードは、開催準備に乗り出すと厳しい「現実」に直面し、瞬く間に吹き飛んでしまう。
 競技会場問題の第一幕の主役は、舛添都元知事だった。

 東京都は、招致成功後、直ちに招致計画に基づく競技場整備計画の再検討を行った。 
 その結果、東京都が担当する競技場(恒久施設)整備費は、招致計画では約1538億円としたが、改めて試算すると当初予定の約3倍となる約4584億円まで膨らむことが判明したのである。
 中には、「海の森水上競技場」(ボート、カヌー)のように、招致計画では約69億円としていたが、改めて試算すると、約1038億円と10倍以上に膨れ上ったケースも含まれていた。
 招致計画時の余りにも杜撰な予算の作成にあきれる他はない。
 舛添要一東京都知事は、「『目の子勘定』で(予算を作り)、『まさか来る』とは思わなかったが『本当に来てしまった』という感じ」とテレビ番組に出演して話している。
 競技場の整備経費については、「新国立競技場」は国(主管は日本スポーツ振興センター[JSC])、その他の恒久施設は東京都、仮設施設は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会が責任を持つことが決められていた。
 「新国立競技場」は、2012年にデザイン競技公募を開始した際は、総工費は「1300億円を目途」としていたが、ザハ・ハディド案を採用して、施工予定者のゼネコンが総工費を見積もると「3088億円」に膨張することが判明し、世論から激しい批判を浴びた。
 その後、設計見直しを行い「2520」億円に圧縮したが、それでも当初予定の倍近い額となり批判は一向に収まらず、ザハ・ハディド案の白紙撤回に追い込まれた。最終的には、安倍首相が収拾に乗り出し、2015年8月、屋根の設置を止めたりや観客席の数を見直すなどして総工費を「1550億円」(上限)とすることで決着した。“迷走”に“迷走”を繰り返して、“醜態”を演じたのは記憶に新しい。
 ところが、問題は新国立競技場にとどまっていなかったのである。

経費削減に動いた舛添都知事
 2014年11月、舛添要一東京都知事は、競技会場建設費の削減に動き、恒久施設では「夢の島ユースプラザ・アリーナA・B」と「若洲オリンピックマリーナ」、仮設施設では「ウォーターポロアリーナ」、「有明ベロドローム」、「有明MTB(マウンテンバイク)コース」、「夢の島競技場(馬術)」の建設を中止し、他の既存施設に競技場を変更した。また「オリンピックアクアティクスセンター」や「海の森水上競技場」、「大井ホッケー競技場」などは整備計画を縮小して経費を削減した。
 これにより約2000億円を削減し、約4584億円まで膨らんだ整備経費を約2469億円までに圧縮するとした。
 さらに2015年11月、IBC/MPCが設営される東京ビックサイトに建設する「拡張棟」は計画を変更してIBC/MCPとして利用しないとして、その建設費、約228億円を五輪施設整備費枠からはずして、約2241億円までに圧縮したとしている。 もっとも東京都は、東京ビックサイトの「拡張棟」を建設することには変わりはないのだから、“みせかけ”の操作と思われてもしかたがない。
 2241億円のうち、新規整備費が約1846億円、既存施設の改修費などが約395億円とした。
 東京都は、開催都市として、2006から2009年度に「開催準備基金」を毎年約1000億円、合計約3870億円をすでに積み立てていた。この「基金」で、競技施設の整備だけでなく、周辺整備やインフラの整備経費などをまかなわなければならない。東京都が負担する五輪施設整備費は、4000億円の枠内で収まらないのではという懸念が生まれている。競技場の建設だけで2241億円を使って大丈夫なのだろうか?
 また、新規に施設を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など後年度負担が生まれることを忘れてはならない。
 五輪開催後は、整備された壮大な競技施設の収支は“赤字”にならないのだろうか? 利用料収入などで賄える展望があるのだろうか? 
 巨額の“赤字”が毎年生まれるのであれば、今後約50年間以上に渡って、東京都民は負担し続けなければならない。
 五輪開催期間はオリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。施設の新設は極力抑制しなければならない。
 日本は確実に少子高齢化社会を迎える。五輪開催は、“レガシー”(未来への遺産)どころか“負のレガシー(負の遺産)”になる懸念が強まった。



小池都知事の“五輪改革”
 第二幕は、小池百合子東京都知事の登場で始まった。
 2016年7月、公費流用問題で激しい批判を浴びた舛添要一前都知事の辞職に伴い、都知事選挙が行われ、小池百合子氏が元総務相の増田寛也氏を破り、当選した。いわゆる“小池劇場”の開幕である。
 小池氏は、知事に就任すると、2020東京五輪大会の計画再検討に素早く乗り出した。
 小池氏は、都政改革を進める司令塔、「都政改革本部」を設立し、その中に東京五輪改革を進める「調査チーム」(座長上山信一慶応大学教授)を立ち上げた。
 「調査チーム」のターゲットは、巨額に膨れ上がった開催経費の圧縮や競技会場整備の“見直し”である。
 競技会場整備の“見直し”では、海の森水上競技場やオリンピック アクアティクスセンター、有明アリーナ(バレーボル会場)がその対象となった。

「3兆円を超える」 調査チーム報告書
 「結果から申し上げると今のやり方のままでやっていると3兆円を超える、これが我々の結論です」
 2016年9、2020年東京五輪・パラリンピックの開催経費の検証する都政改革本部の「調査チーム」座長の上山信一慶応大学教授はこう切り出し、大会経費の総額が「3兆円を超える可能性がある」とする報告書を小池都知事に提出した。
 大会経費は、新国立競技場整備費(1645億円)、都の施設整備費(2241億円)、仮設整備費(約2800億円)、選手村整備費(954億円)に加えて、ロンドン五輪の実績から輸送費やセキュリティー費、大会運営費などが最大計1兆6000億円になると推計。予算管理の甘さなどによる増加分(6360億円程度)も加味し、トータルで「3兆円」を超えると推計した。 
 招致段階(13年1月)で7340億円とされた大会開催経費は、「2兆円」とも「3兆円」とも言われたが、これまで明確な積算根拠は組織委員会や国や東京都など誰も示さず、今回初めて明らかにされた。
 調査チームは「招致段階では本体工事のみ計上していた。どの大会でも実数は数倍に増加する」と分析。その上で、物価上昇に加えて、国、都、組織委の中で全体の予算を管理する体制が不十分だったことが経費を増加させたと結論付けた。

3施設の整備 大幅見直しを提言
 ボート、カヌー・スプリント会場「海の森水上競技場」は、当初計画の7倍の約491億円に膨れ上がった経費に加えて、「一部の競技者が会場で反対している」「大会後の利用が不透明」だとして、宮城県長沼ボート場を代替地に提言した。「復興五輪」の理念にも合致するとしている。
 観客席2万席で設計した水泳会場「オリンピックアクアティクスセンター」は、大会後に74億円をかけて5000席に減らす計画を疑問視し、規模縮小や近くにある「東京辰巳国際水泳場」の活用の検討を提言した。バレーボール会場の「有明アリーナ」は、規模縮小のほか、展示場やアリーナの既存施設の活用を提案した。
 仮設施設整備については、約2800億円に膨れ上がった整備について、国や組織委、東京都の費用負担の見直しにも言及し、都内に整備する仮設施設の内、最大1500億円は都が負担し、都外については「開催自治体か国」が負担するよう提言した。
 また東京都は、組織委に58億5000万円の拠出金を出し、245名もの東京都職員を出向させていることから、組織委を「管理団体」にするなど、都の指導監督を強化する必要性も指摘した。
 これに対し、森組織委会長は、「IOCの理事会で決まり総会でも決まっていることを日本側からひっくり返すということは極めて難しい問題」と述べた。
 また海の森水上競技場については、「宮城県のあそこ(長沼ボート場 登米市)がいいと報道にも出ているが我々も当時考えた。しかし選手村から三百何十キロ離れて選手村の分村をつくることはダメなことになっているし経費もかかる。また新しい地域にお願いしてみんな喜ぶに決まっているが、金をどこから出すのか。東京都が代わりに整備するのか。それはできないでしょう法律上」と語った。
 一方、IOCのバッハ会長は、東京五輪の開催費用の増加について、「東京における建設費の高騰はオリンピック計画だけでなく、東日本大震災からの復興など、そのほかの理由もあるだろう」とし「建設的な議論をしたい」として柔軟に対応する姿勢で、今後東京都や組織委員会と協議を始める意向を示した
 小池知事は報告書を受けて、都が整備を進めるボート会場など3施設の抜本的見直しや国の負担増、予算の一元管理など、各提案を実行するには、国際競技団体や国際オリンピック委員会(IOC)の承認を受け直す必要がある上で、国や大会組織委員会などと調整が必要で、実現には難関は多いと多いと思われる。
 “混迷”と“迷走”はさらに深刻化した。やはり新国立競技場や五輪エンブレムだけではなかった。
 競技場問題は、小池都知事、森組織委会長が激しく対立して、決着が着かず、国際オリンピック委員会(IOC)や国も加えた四者協議の場に持ち越された。

“もったいない” 五輪開催費用「3兆円」 小池都知事の“五輪行革”

膨張する2020東京五輪大会 追加種目 野球・空手など5競技決まる
 2015年9月28日、大会組織委員会は、追加5競技を国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。
 組織委の種目追加検討会議座長の御手洗冨士夫・経団連名誉会長は「若者へのアピールと日本中を盛り上げるに資する競技かどうかで決めた」と説明し、野球・ソフトボールと空手については「国内で広く普及しており観客動員力が大きい」とした。ローラースポーツ(スケートボード)、突起のついた人工壁をよじ登るスポーツクライミング、サーフィンは「時代の先端を行く若者へのアピールが期待できる」と話した。
 2016年8月3日、リオデジャネイロで開催されたIOC総会で、開催都市に提案権が与えられている追加競技・種目について、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ(スケートボード)、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目が採択され決定した。総会の質疑応答で、野球を巡って、米大リーグ所属選手の参加が保証されていない点を不安視する意見などが出たが、最終的には全会一致で採択された。日本が強く推した野球・ソフトボールと空手に、「若者へのアピール度が高い」とIOCがこだわったスケートボードなど新興3競技を組み合わせて一括審議とした“戦略”をとったことが功を制した。バッハIOC会長は「この決定はマイルストーン(記念碑)となる」と誇らしげに語った。
 これにより1競技に統合された野球・ソフトボールは2008北京五輪以来、3大会ぶりの復帰、他の4競技は初の実施になる。
 追加競技については、2015年12月に採択されたIOCの五輪改革プラン「アジェンダ2020」の中で、開催都市による提案権が盛り込まれ、東京五輪がこの改革プランの初めての適用となった。 
 しかしこの開催都市の追加競技提案権で、五輪大会の“膨張体質”に歯止めがかからなくなったのも事実である。
 IOCの五輪改革プラン「アジェンダ2020」は、五輪大会の“膨張体質”に歯止めをかけることが主目的だったのではないか。
 「世界一コンパクト」な大会を目指した2020東京大会のスローガンはどこにいったのだろうか。




“迷走”海の森水上競技場整備
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「建設中止」、「会場変更」、“迷走”した競技開催計画
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技開催計画は変更が相次ぎ、招致計画から大きく変わってしまった。一体、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画はなんだったのだろうか? 新国立競技場の“迷走”も加えると、その杜撰な開催計画に唖然とさせられる。

 最終的に決まった2020東京五輪大会の開催計画では、オリンピックでは33競技、パラリンピックでは22競技をあわせて43会場で開催する。 その内、新設施設は18か所(恒久施設8/仮設施設10)、既設施設は24か所を整備するとしている。既設施設の利用率は約58%となり、大会組織委員会では最大限既存施設を利用し、大会開催の効率化に成功したと胸を張る。
 しかし競技会場の変更が相次ぎ、予定通り建設される競技場についても相次ぐ“見直し”で、“迷走”と“混乱”を繰り返した。

 建設中止の競技場(恒久施設)は、夢の島ユースプラザ・アリーナA(バトミントン)、夢の島ユースプラザ・アリーナB(バスケット)、若洲オリンピックマリーナ(セーリング)の2施設、仮設施設では、ウォーターポロアリーナ(水球)(新木場・夢の島エリア)、、有明ベロドローム(自転車・トラック)、「有明MTB(マウンテンバイク)」、「夢の島競技場(馬術)」である。
 バトミントンは、「武蔵野森総合スポーツ施設」(東京都調布市)、バスケットは「さいたまスーパーアリーナ」(さいたま市)で開催することになった。
 水球については、辰巳の森海浜公園内に、「オリンピック アクアティクスセンター」に併設して総工費約76億円で約6500人の観客席を備えた水球競技場、「ウォーターポロアリーナ」(仮設施設)を建設予定だったが、これを中止し、隣接する「東京辰巳国際水泳場」に会場変更した。
 セーリング会場は、総工費322億円で建設予定の「若洲オリンピックマリーナセーリング」(恒久施設)を取りやめて、「江の島ヨットハーバー」に会場変更した。
 自転車競技4種目については、建設費の高騰で、大会組織委員会が会場見直しを提案し、トラックは「有明ベロドローム」(仮設施設)の整備を中止し、伊豆・修善寺にある「日本サイクルスポーツセンター」内にある「伊豆ベロドローム」に会場変更し、マウンテンバイク(MTB)は、「有明MTBコース」に整備を中止して、「日本サイクルスポーツセンター」内の既存コースを改修して使用することが決まった。
 しかし、BMX(フリースタイル、レーシング)については、組織委ではBMXも「日本サイクルスーツセンター」に変更したいとしたが、国際自転車連合は観客が集まりやすい首都圏での開催にこだわって難色を示し、当初計画通り東京都江東区有明周辺で開催されることになった。有明地区の“東京ベイゾーン”に5000席の観客席を備えた「有明BMXコース」(仮設施設)を予定通り建設することが決まった。
 大会組織委では「日本サイクルスーツセンター」の改修費を含めてもこの2つの会場変更で約100億円の削減につながるとしている。
 一方、ロードレースについては、当初計画では、スタート地点が皇居、ゴール地点が武蔵野の森公園としていたが、スタートとゴール共に都心で大勢の観客が訪れやすい皇居外苑に変更した。その後、競技団体の要望で、選手の実力差が出る勾配のある難しいコースが設定できるとして富士山麓が選ばれた。富士山を背景にしてテレビ映りが良いのもコース決定のポイントだった。スタートは武蔵の森公園、ゴールは富士スピードウエーに決まった。
 また個人タイムトライアルも富士スピードウェイで開催する。
 競歩については、「皇居外苑」で開催することが決まった。
 また、夢の島競技場内に仮設施設を建設する予定だった馬術(障害馬術、馬場馬術、総合馬術)の会場は整備を取りやめ、「馬事公苑」に変更した。
 馬術(クロスカントリー)は「海の森クロスカントリーコース」で予定通り行われる。
 また東京ビックサイトに設営されるIBC/MPCの設置計画が変更になり、「東京ビッグサイト・ホールA 」で開催を予定したレスリングと「東京ビッグサイト・ホールB」で開催と予定したフェンシングとテコンドー)」は「幕張メッセ」(千葉市)に変更され、「幕張メッセ」では、レスリングとフェンシング、テコンドーの3つの競技の会場となった。
 幕張メッセではパラリンピックのゴードボールも開催される。
 7人制ラグビーは、「新国立競技場」から「東京スタジアム」(東京都調布市)に変更となった。
 カヌーは、「葛西臨海公園」に建設する仮設施設計画だったが、隣接地の都有地(下水道処理施設用地)に建設地を変更した。「葛西臨海公園」の貴重な自然環境を後世に残すという設置目的などに配慮して、公園内でなく隣接地に移し、大会後は、公園と一体となったレジャー・レクリエーション施設となるように整備計画を練り直した。
 一方、トライアスロンは、「お台場海浜公園」で変更せず、計画通り行うこととなった。
 こうした会場整備計画の見直しなどで、組織委では約700億円の経費削減につながるとしている。

 追加5競技の会場については、ソフトボールの主会場は横浜スタジアム、空手が本武道館(東京都千代田区)、スポーツクライミングとスケートボードは仮設の青海アーバンスポーツ会場(東京都江東区)、サーフィンは釣ケ崎海岸サーフィン会場(千葉県一宮町)となった
 野球・ソフトの福島開催については、福島あずま球場で野球とソフトボールの予選の日本戦、二試合を開催とすることで決着した。

 一方で仮設整備経費が膨れ上がっていることも大きな問題である。有明体操競技場、有明BMXコース、海の森カントリーコース、潮風公園などの仮設競技場の建設費やオーバーレーと呼ばれる競技会場に設置されるプレハブやテント、警護用柵などの仮設施設経費、既存施設の改装費が、当初計画の732億円から、約4倍の3050億の巨額に上ることが大会組織委のV2予算で明らかになった。東京都は、恒設競技場の建設の他に、こうした仮設整備費を約2100億円、大会組織員会は約950億円を負担することになった。国際オリンピック委員会(IOC)は巨額の仮設費を縮減することを求めた。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、選手村を中心に半径8キロメートルの圏内に85%の競技場を配置すると“公約”していた。

出典 東京都オリンピック・パラリンピック準備局

(参考)立候補ファイルの競技場プラン

出典 2020東京オリンピック・パラリンピック招致委員会


何処へ行った「世界一コンパクトな大会」
 新規に競技場を建設すると、建設費はもとより、維持管理費、補修修繕費など“後年度負担”が確実に生まれる。施設利用料などの収入で賄えるのであれば問題ないが、巨額の“赤字が毎年生まれるのでは、“レガシー”(未来への遺産)どころか“次世代”への“負の遺産”になる懸念が大きい。“新設”は極力抑えなければならない。五輪開催期間は、オリンピックが17日、パラリンピックが13日、合わせてわずか30日間である。
 また忘れてはならないのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致計画のキャッチフレーズは、「世界一コンパクトな大会」、“ヘリテッジゾーン”と“東京ベイゾーン”の選手村から半径8キロメートル圏内に85%の競技場を配置して開催すると公約していた。1964年大会のレガシーが現存する“ヘリテッジゾーン”と東京を象徴する“東京ベイゾーン”、そして2つのゾーンの交差点に選手村を整備するという開催計画である。
 しかし、相次ぐ変更で「世界一コンパクトな大会」の“公約”は完全に吹き飛んだ。

 それにしても東京五輪の「招致ファイル」は一体、なんだったのだろうか?
舛添要一東京都知事は、「とにかく誘致合戦を勝ち抜くため、都合のいい数字を使ったということは否めない」と述べている。
 結局、杜撰な招致計画のツケを負担させられるのは国民である。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まであと2年余り、新国立競技場の迷走、五輪エンブレムの撤回、政治とカネにまつわるスキャンダルで舛添前都知事の辞任、そして、競技場見直しを巡っての小池都知事と森組織委員長の対立、“混迷”はまだ収まる気配はない。

「準備は1年遅れている」「誠実に疑問に答えない」 警告を受けた2020東京大会組織委
 2018年4月、2020年東京オリンピックの準備状況をチェックするIOC調査チームの(委員長 コーツIOC副会長)は、2020年東京大会組織員会に対し、開催準備の進捗状況と計画について、より誠実に質問に答えるように要請した。
 これに先立ってタイのバンコクで開かれた国際スポーツ連盟機(GAISF)のスポーツ・アコード(Sport Accord)会議で、複数の国際競技連盟(International Sports Federations IFs)が、2020東京大会の準備状況に不満を抱き、公然と批判した
 これを受けて、IOC調査チームが来日し、4月23日24日の2日間に渡って2020東京大会の準備状況をチェックしたのである。
 コーツ副会長は、準備作業は、大部分は順調に進んでいるが、2020東京大会組織員会は進行状況を完全に説明することを躊躇していると懸念を示した。
 その理由について、 コーツ副会長は、直接的で明快な表現をするオーストラリア人と、多くのポイントを留保する曖昧な表現をする日本人の文化的相違があるのではと述べたが、婉曲表現で日本の姿勢を批判した。
 2018年2月に開催された平昌冬季五輪が成功を収め、スポットライトが東京大会に移る中で、大会準備に関して誠実な答えを得られない五輪関係者のいら立ちはさらに増すだろうという警告である。
 準備の遅れが指摘された競技種目は、柔道とセーリング、トライアスロンで、開催準備の遅れに懸念を表明した。柔道競技では、2019年に開催されるプレ大会の準備状況、セーリング競技では地元漁業者との調整の問題、トライアスロンでは東京湾の水質汚染問題が指摘されている。
 日本のビックイベントのマネージメント力は、世界から高い評価を得ていたが、どうやら海外の五輪関係者の間では、その評価は失われ、“韓国より劣る”という批判が生れているように感じられる。
 あと2年余り、2020東京五輪大会は正念場を迎えている。



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廣谷  徹
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国際メディアサービスシステム研究所
代表
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