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東京オリンピック 競技会場見直し 無責任発言 批判 川淵三郎会長 鈴木知幸氏 春日良一氏 五輪専門家 周辺整備費 建築費値上がり

2016年11月04日 17時28分39秒 | 東京オリンピック




唖然とする“五輪専門家”の無責任な発言
膨れ上がった競技場整備費 “箱もの至上主義”は捨て去ろう

  2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催費用は招致段階では、全体で約7340億円としたが、それが“3兆円”に7倍以上膨れ上がる可能性があると指摘され、激しい批判が浴びせさられている。
 これに対して、日本スポーツ法学会理事の五輪専門家や長野五輪招致に携わった元JOCの幹部など五輪専門家は、招致ファイルの段階では、“本体工事”のみを算出して“周辺工事”は算定していないので、整備費が膨れ上がるのは“当然”とする発言を繰り返している。また建築費の値上がりも原因だとしている。
 本当にそうなのだろうか。


海の森水上競技場完成予想図 出典 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

競技場整備費 膨れ上がった原因は周辺整備費でも建設費暴騰でなない 杜撰な整備計画が原因
 海の森水上競技場で検証してみよう。招致段階では約69億円、その内訳は陸上施設64億円、水上施設15億円、消波装置1億円、防風林3億円である。
 額は少ないが、周辺整備費として防風林3億円が計上されているのである。
 これに対して現在の整備計画の経費は約491億円を検証してみると、内訳は本体工事費が251億円、インフラ整備費が86億円、調査設計費が19億円、工事中のセキュリティ費が21億円、建設費の値上がり91億円、消費税増分が23億円としている。本体工事だけで比較しても約4倍に膨れ上がっているのである。 コースを海から遮断する「締め切り堤・水門」や「護岸遮水・揚排水」工事はボート・カヌー競技場建設の本体工事だろう。まさか、招致段階では海から遮断しないで競技を開催できるとでも思っていたのだろうか。“周辺整備”を入れていないから約4倍に膨れ上がったという説明はまったく説得力がない。見直し時のインフラ整備費として計上しているのは全体の20%程度なのである。
 実は、海の森水上競技場関連のインフラ整備費は、五輪開催経費から除外されていて、橋の付け替え工事や周辺道路整備で約350億円程度は必要とされている。この経費は五輪開催経費から除外して、東京都の通常の社会資本整備費として計上している。
付け替え工事が必要な橋は、ボート・カヌ-7競技のコース途中に架かる中潮橋(なかしおばし)で、水路に橋脚があってコースを遮るため、橋が架かったまま会場として使うのは難しく付け替えが必須である。橋の撤去費は38億円、この経費を海の森水上競技場の整備費に含めず、環境局の予算としたことから、“経費隠し”と批判を浴びた。
 また新しく建設される中潮橋と周辺道路との立体交差工事も行われる計画で、工事費は約300億円以上とされているが、これも五輪施設整備費に計上していない。
 東京都は、有明から中潮橋までを結ぶ道路の整備は既に予定しており、「五輪がなくても橋を架け替える予定だった」としている。しかし、「海の森競技場」でボート・カヌー競技を開催する計画に伴う周辺整備の一環であろう。


正面が新たに建設中の中潮橋 筆者撮影

 つまり周辺整備費の主要な項目は、招致ファイルの際も、大幅に膨れ上がった見直し試算の際も、除外しているのである。それはそれで問題だが、何倍にも膨れあ上がった競技場整備費の原因を、周辺整備費が加えたからで“当然”とするのはお粗末な主張で、唖然とする。事実関係を把握してから発言しないと発言全体の信ぴょう性に疑念が生まれる。 
 オリンピック アクアティクスセンターでは、整備費683億円の内、本体工事費が538億円、大会後の改修工事費が74億円などで、周辺整備費の項目はない。また有明アリーナの整備費404億円でも、本体工事費が361億円などで、周辺工事費の項目はない。 要は、あまりにも杜撰な建設計画が原因なのである。(下記資料参照)
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致責任者は、都民や国民に謝罪する必要があるのでなかろうか。こんなにいい加減な開催費を記載した招致ファイルを元に、五輪開催地を選ぶ国際オリンピック委員会(IOC)の責任も問い直すべきだ。






東京都オリンピック・パラリンピック準備局

建設費の値上がり分は20%~25% 
 そうすると必ず建設費の暴騰を理由に挙げる。
 しかし、建設費の値上がりだけでは、整備費は2倍、3倍にならない。
 海の森水上競技場で言えば、建設費の値上がり分は91億円と明らかにしている。約20%程度である。新国立競技場の建設計画見直しに際も、建設費値上がり分は約25%程度としている。
 9月放送のNHKの番組、「リオから東京へ オリンピック・パラリンピック」の中でで、NHK解説委員は、「招致段階では開催費は7340億円だったが、その後資材や人件費の高騰ということもあって、森組織委員会会長も“2兆円”や“3兆円”になるのではないか発言している」とコメントした。開催経費が膨れ上がった原因を“資材や人件費の高騰”にしている。ほかのニュース番組でも同じような発言をしている。“資材や人件費の高騰”では7倍超にはならいのは明らかだ。事実関係を踏まえた説得力のあるコメントをしてほしい。
 総合評価方式や設計・施工一括方式など入札制度の責任にする専門家もいるが、発注側が定める入札前の予定価格の段階ですでに何倍にも高騰しているのである。東京都があらかじめ予定価格を公表して入札を行うので、海の森水上競技場の場合は応札した建設企業グループが1社だけだったので価格競争はなく、事実上の随意契約だった。落札率が99%台になるのは当たり前である。 
そもそも暴騰して予定価格を設定した発注者が問題なのである。



海の森水上競技場の“杜撰”整備計画の始まりは2016年東京オリンピック・パラリンピック招致
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場整備計画(立候補段階)は、オリンピック・スタジアムやバレーボール会場、選手村などを除いてほとんどが2016年の整備計画を踏襲している。海の森水上競技場の整備計画は2016年の計画とほぼ同じなのである。
 石原元都知事の元で、2016年東京オリンピック・パラリンピック招致に携わった担当者は、海の森水上競技場の整備を、どのような経緯で計画したのか、どのように建設する計画だったのか、そして整備費用はいくら位を試算したのか、詳細に知っているはずである。また整備計画を検討する段階で、どんな問題点が浮かび上がっていたかも知っているはずである。海の森水上競技場の建設が批判を浴びている中で、当初、立案した担当者の声がまったく聞こえてこない。それとも、ほとんど検証しない杜撰な整備計画を作成したのだろうか? 2016年の招致計画、2020年の招致計画を作成した担当者の釈明も反省の弁も一切ない。
 豊洲市場の盛り土問題とまったく同じ構図だ。
 2016年の招致計画や2020年の招致計画担当者は、海の森水上競技場の“迷走”についてコメントをする資格はない。


海の森クラスター 2016東京オリンピック・パラリンピック立候補ファイル
中央がボート・カヌー会場 上部が海の森クロスカントリー・コース(建設中止)、下部が海の森自転車コース(建設中止)

 「森に囲まれた3つの競技会場  東京ベイゾーンに位置し、埋立地からなる海の森クラスターは、 東 京の新しい「海の森」として生まれ変わる。この地は、都市で発生し た廃棄物と建設発生土を埋め立てて造成されたものであり、橋とト ンネルで都心と結ばれている。海の森クラスターは、持続可能な都 市生活に向けた東京の取組を象徴している」(立候補ファイル)


招致は国民を欺いて勝ち取った? その責任は? 
 招致の競争を勝ち抜くためには、開催経費はなるべく安く記載しなければならないので、止む得ないとする五輪専門家の発言がたびたびされている。
 しかし、招致ファイルは、単に招致競争を勝ち抜くためのものではなく、オリンピック・パラリンピック招致の都民や国民に対する“公約”だろう。都民や国民の判断材料として、五輪開催プランの“夢物語”はさることながら、開催経費は極めて重要なポイントとなる。東京オリンピック・パラリンピックの招致を決める際に、“2兆円”、“3兆円”という数字を明らかにしたら、都民や国民は納得しただろうか?
 招致競争を勝ち抜くためには、都民や国民を欺いてもいいのだろうか?
 五輪関係者のあまりにも唖然とする無責任な発言に愕然とする。
 海の森水上競技場を巡って、「そもそも69億円をベースに考えるとこまる。はっきりいって69億円はいいかげんなものだから」、元宮城県知事の発言である。簡単に言ってほしくない。このような認識で税金を投入する施設整備計画がまかり通って良いはずがないのは常識である。
 百歩譲って、招致が決まって準備作業が本格化した段階で、早期に開催費用を都民や国民を明らかにしなければならない。杜撰な開催計画のツケがまた都民や国民に回されそうとしている。
 新国立競技場の“迷走”をもう忘れ去って、その“失態”が再び繰り返えされ始めている。

50前の1964東京オリンピックの発想「レガシーというのは“お金”の問題ではなく、“心”の問題で、世界に誇れるアリーナを」 “箱もの至上主義”はもう捨て去ろう
 10月26日、Jリーグやバスケットボールなど9つの競技団体で構成する日本トップリーグ連携機構は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック アリーナ競技会場建設に関する提言」と行う緊急記者会見を開き、小池都知事が進めている競技場整備の見直しに反対を唱えた。川淵三郎会長は「ただ単に建築コストだけをみて、それをいかに縮小するかというだけで考えてもらいたくない」と述べた。
そして「有明アリーナ」の建設を見直して「横浜アリーナ」に会場を変更する案が検討されていることについて、川淵三郎会長は、「『有明アリーナ』の新設に関して本当に心から期待してるなかで、『横浜アリーナ』を整備してそこでバレーの大会をやればよという見直し案に対して我々としては納得できない」と建設費の削減には賛同したが、既存施設への変更は強く反対した。
 また「元あった国立競技場で高校サッカー選手が決勝をあそこで戦いたいというのが子どもたちの夢だった。子どもたちに夢と希望と感動を与えられるアリーナがこの東京オリンピックを契機に出来たことでどれだけ素晴らしいレガシーとして残るかとういうことを考えてみた場合に、『横浜アリーナ』を整備してなんていう発想が出てくるが信じられない」と述べ、レガシーというのは“お金”の問題ではなく、“心”の問題で、世界に誇れるアリーナをつくることが今の日本のスポーツ界や文化団体にとって絶対必要だとした。
 冷静にスポーツ大会の開催地の実態を見てみよう。高校野球の“聖地”は甲子園、ラグビーは花園、Jリーグは全国各地のサッカー場、全日本選手権クラスの大会や国体、高校総体は、全国各地の“持ち回り”、プロ野球も全国各地の野球場、日本は東京の一極集中から地方の時代だ。なぜ東京臨海部にこだわるのか、競技会場として適切な施設があれば、宮城県でも埼玉県でも神奈川県でもいいのではないか。
 今から約50年前、1964年の東京オリンピックの時代の発想からまったく抜けきっていない。50年は、日本は高度成長の真っ只中、まだまだ競技施設や交通インフラなど社会資本が十分に整備されていない時代だった。今は時代が違う。 2020年東京オリンピック・パラリンピックは“世界一コンパクト”な大会を目指したではないか。そして時代は“少子高齢化”、過剰な社会資本や次世代への負担を残すことは、“負の遺産”を次世代に受け渡すことになる。国際オリンピック委員会(IOC)の「アジェンダ2020」でも、“肥大化抑止”や“開催経費削減”を掲げ、同じ理念に立っている。日本だけでなく世界の潮流なのである。
 新国立競技場の建設の際に実施した国際デザイン・コンクールの“キーワード”は、“「いちばん」をつくろう”だった。その結果、のザハ・ハディド氏の斬新な流線形のデザインが採用された。しかし、建設費が当初予算の約1300億円を大幅に超える3000億円超になることが明らかになり、建設計画は白紙撤回されるという事態に追い込まれた。この“教訓”をもう忘れさっているのは唖然である。。
 “箱もの至上主義”はもう止めよう。
 オリンピックの感動は、競技場や施設から生まれるのではなく、アスリートたちの熱戦から生まれるものである。リオデジャネイロ五輪で感動したのは、オリンピック・パークの競技場や陸上競技場ではない。

 やはり今の五輪関係者やスポーツ関係者に次世代を見据えた発想を期待するは無理だと思う。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催期間は、オリンピックで17日間、パラリンピックで13日間、わずか30日間だけである。社会資本や負担は50年、100年残る。誰が責任を持つのだろうか。維持管理ができず、さび付いた水門やぼろぼろのコンクリートが広がり、訪れる人もいない“廃墟”を誰が見たいと思うのか。
 オリンピックのようなビック・プロジェクトは、都政改革本部調査チームのような第三者の冷徹な“目線”と“叡智”が必須だ。



“「いちばん」をつくろう”を合言葉に選ばれたザハ・ハディド案の新国立競技場 日本スポーツ振興センター(JOC)





2016年10月27日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
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