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東京オリンピック 水質汚染 トライアスロン お台場海浜公園 マラソンスイミング

2018年10月10日 08時03分00秒 | 東京オリンピック

マラソン水泳・トライアスロン 水質汚染深刻 お台場海浜公園



お台場海浜公園  出典 東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会





お台場海浜公園 水質対策に疑念
 2020東京大会で、トライアスロンやオープンウォータースイミング(OWS マラソンスイミング)の競技会場になるお台場海浜公園で、2018年夏、ポリエステル製の膜、「水中スクリーン」を海中に張って大腸菌などが流れ込むのを防ぐ実験を行った。3重に「水中スクリーン」で囲った水域ではすべての日で基準値を下回り、「水中スクリーン」で囲う水質対策は効果的だとした。


出典 東京都


出典 東京都

 お台場海浜公園は、2017年夏に行われた水質調査で競技団体が定める基準値を大幅に上回る大腸菌などが検出され、水質対策が迫られていた。
 東京湾には、雨が降ると、隅田川などの河川から、生活排水などの汚水が浄化処理されないまま流れ出ることが原因で、首都圏の下水浄化システムを改善しない限り、抜本的な水質改善は不可能である。
 今回の実証実験は、組織委員会と東京都が、大会の開催期間にあたる7月から9月にかけての27日間で行い、お台場海浜公園の入り江内の2か所にポリエステル製の「水中スクリーン」を張って、大腸菌などが流れ込むのを防ぐ実験を実施した。
 「水中スクリーン」は1重に張ったエリアと3重に張ったエリアの2か所を設け、それぞれのエリアで水質改善効果を検証した。
 今年の夏は、首都圏は台風や豪雨に見舞われ、首都圏の下水が東京湾に流れ込み、「水中スクリーン」が張っていない水域では、半数近い13日間で大腸菌が基準値を上回った。台風の影響で7月29日はトライアスロンの基準値の142倍の数値を示した。
 五輪大会が開催されるのは時期は真夏、毎年、台風や集中豪雨の襲われるのは必至である。依然としてお台場海浜公園周辺の水域の水質レベルは、極めて危険なレベルにあることが明らかになった。
 一方、「水中スクリーン」スクリーンを1重に張ったエリアでは大腸菌の基準値を上回ったのがわずか2日で、3重に張ったエリアではすべての日で基準値を下回った。
 組織委員会と東京都は「『水中スクリーン』の効果が確認できた」として、2年後の東京大会で「水中スクリーン」を設置する方向で進めるとした。


出典 東京都

 しかし、今回の実証実験では、泳げる範囲がわずか60メートル四方で設置経費は7500万円だったとされる。
 トライアスロンのスイム(水泳)のコースは1.5キロメートル、周回コースだが、ほぼお台場海浜公園の入り江全域に設定されるだろう。水質改善効果を上げるためには3重の「水中スクリーン」が必須だが、広範囲に設置した場合、水質改善効果が維持できるかどうかは未知である。また設置経費も膨大なり、10億円近くにも達する懸念がある。
 さらにオープンウォータースイミング(OWS)(マラソンスイミング)では、お台場海浜公園周辺の海域に10キロメートルのコースを準備しなければならない。
 往復のコースを設定するにしても、かなり沖合まで出る必要があり、「水中スクリーン」をコースのすべてに設置するのは不可能に近い。
 マラソンスイミングの水質基準は、トライアスロンとは異なり、大腸菌数250個/100ミリリットル以下、腸球菌数100個/ミリリットル以下などが国際水泳連盟(FINA)によって定められている。これまでの東京都が実施した水質調査では、「水中スクリーン」設置などの水質改善対策を実施しないと、競技実施の水質基準が達成できないのは明らかだ。
 10キロメートルのマラソンスイミングのコースにすべて3重の「「水中スクリーン」を設置することができるのだろうか。
 このままでは大腸菌が漂っている「汚染水」の中を、マラソンスイミングの選手は長時間、泳ぐことになる。
 こうした競技運営は、「アスリートファースト」とは到底言えない。

 そもそも、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため、「遊泳禁止」、海水浴場として認められていないのある。海に入って、いわゆる「磯遊び」は可能だが、「顔を海水につけて」遊ぶことはできないのである。
 しかし、港区はトライアスロンなどのイベント開催は特別に許可をしている。
 2016年にトライアスロンにお台場海浜公園を泳いだ井ノ上陽一氏によると、「トライアスロンのスイムは、レースによっては、それほどきれいな海で泳げず、それに耐えることも大事」としている。特に東京、関東近辺の大会では、きれいな海は望めず、川や湖だともっと視界が悪い場合もあるという。必ずしも、きれいな水域を選んでレースが開催されるのではないようだ。
 井ノ上陽一氏のウエッブには、お台場海浜公園の泳いだ様子の写真が掲載されている。


お台場海浜公園の水中  出典 井ノ上陽一氏 「お台場で泳いでみた!トライアスロンスイム(海)の現実」
 
  筆者は、ほとんど泥水の中を泳いでいる様子に唖然としたが、井ノ上陽一氏によると視界が悪いのは別に驚くには当たらないとしている。
 しかし、問題なのは、水質汚染が悪化しているかどうかで、海水浴場として環境基準を満たしていない「汚染水域」で、五輪大会の競技を開催して、選手を泳がせることである。
 これまでたびたび、小池都知事や森組織委員会長から「アスリートファースト」という言葉を聞いた。「アスリートファースト」を掲げるなら、競技会場を水質基準をクリヤーしている鎌倉や房総半島のビーチに変更したら如何か? いまからでも遅くはない。
 また十億円近い無駄な追加経費が生まれる懸念がある。



リオデジャネイロ五輪のマラソンスイミング 出典 Rio2016/Youtube


リオデジャネイロ五輪のマラソンスイミング 出典 Rio2016/Youtube




お台場周辺の海域 大腸菌が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌が上限の7倍も検出
 2017年10月、2020東京大会組織員会は、マラソン水泳とトライアスロンが行われるお台場周辺の海域で、大腸菌(Coli)が水質許容基準の上限の20倍、便大腸菌(faecal coliform bacteria)が上限の7倍も検出されたと公表した。
 この調査は、東京都と大会組織委員会が行ったもので、オリンピック開催時期の21日間、パラリンピック開催時期のうち5日間、マラソンスイミングとトライアスロンの競技会場になっているお台場海浜公園周辺の水質・水温を調査したものである。
 調査を行った2017年8月は、21日間連続で雨が降り、1977年に次いで、観測史上歴代2位の連続降水を記録した。
 調査結果によると、降雨の後は、水質が顕著に悪化すること分かった。今回の調査期間では、国際競技団体の定める水質・水温基準達成日数は、マラソンスイミング基準では10日で約半分、トライアスロン基準はで6日で約3分の1に留まった。
 お台場海浜公園周辺の競技予定水域は、競技を開催する水質基準をはるかに上回る汚水が満ち溢れていることが示されたのである。
参加選手の健康問題を引き起こす懸念が深まった。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  東京都オリンピック・パラリンピック事務局


水質調査結果(トライアスロン) 東京都オリンピック・パラリンピック事務局


水質調査結果(マラソンスイミング) 東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 組織委では、雨期に東京湾から流れ込む細菌の量を抑制するために、競技予定水域を水中スクリーンを設置して東京湾から遮断するなど様々の実験を行い、水質改善に努めているとした。
 コーツ副会長は「トライアスロン競技連盟は依然として水質を懸念している。今年と来年に行われる水のスクリーニング、カーテンの入れ方などの実験についてプレゼンテーションを受けた。この姿勢には非常に満足している」としたが、水質問題に依然として懸念が残るとして改善を求めた。
 しかし、マラソンスイミングに関しては言及がない。


お台場海浜公園における水質・水温調査地点  東京都オリンピック・パラリンピック事務局

 東京湾の水質改善は、着々と進んではいるが、とても海水浴ができるような“きれいな海”とはいえない。東京湾に流れ込む川からは大量の汚染水が流れ込む。海底にはヘドロが蓄積している。オリンピック開催期間は真夏、ゲリラ豪雨は避けられない。東京湾は、“汚水の海”になることは必至だ。
そもそも東京湾に、選手を泳がせて、マラソンスイミングやトライアスロンを開催しようとすること自体、無謀なのではないか。

「水面に顔をつけない」が条件の海水浴場
 2017年夏、葛西臨海公園に海水浴場がオープンした。水質改善が進んだ東京湾のシンボルとして話題になった。
かつては東京湾には葛西のほか大森海岸、芝浦など各所に海水浴場があったが、高度経済成長期に臨界工業地帯の工場排水や埋め立て工事で1960年代に水質悪化が進み、海水浴場は姿を消した。
東京湾では、約50年間海水浴が禁止され、房総半島や三浦半島までいかないと海水浴ができなかった。
 港区では、「泳げる海、お台場!」をスローガンに掲げ、お台場海浜公園に海水浴場を開設しようとする取り組みに挑んでいる。
 現在は、お台場海浜公園は、水質基準を満たさないため通常は遊泳禁止である。2017年7月29日(土曜)・30日(日曜)の2日間、範囲を限定し、安全面等に配慮しながら行う“海水浴体験”を開催し、訪れた親子連れは、“海水浴”ではなく、ボート遊びや水遊びを楽しんだという。
 しかし、なんと「水面に顔をつけない」ことが条件の“海水浴体験”だった。
 これでは海水浴場と到底、言えないだろう。
 お台場の海は、「水面に顔をつけない」程度の水質しか保証されていないのである。この海で、マラソンスイミング(水泳)やトライアスロンの競技を開催すれば、参加選手は“汚染”された海水に顔をつけ、海水を口に含まざると得なない。選手の健康問題を組織委員会はどう考えているのだろうか。
 なぜ、素晴らしい自然環境に囲まれたきれいな海で開催しないのか。それまでしてお台場の開催にこだわる姿勢には“良識”を疑う。

水質汚染問題に直面したリオデジャネイロ五輪
 2016リオデジャネイロ五輪では、セーリングやトライアスロン、ボートなどの会場となるコパカバーナ地区の湾岸部、グアナバラ湾の水質汚染が深刻で選手の健康被害が懸念され、競技の開催が危ぶまれのは記憶に新しい。
 AP通信が行った独自調査によると、2015年3月以降に競技会場で採取された水から、高い数値のアデノウイルスのほか、複数のウイルスや細菌も検出されという。
 汚染の原因は下水処理整備の遅れだ。人口1000万人のリオデジャネイロの生活排水の7割近くがグアナバラ湾に最終的に流れ込むという。
さらに汚染に拍車をかけるのが、リオデジャネイロの貧民街。リオデジャネイロは世界でも有数の観光地だが、人口632万人の23%を占める143万人が貧民街に暮らしているという。ブラジルで最も貧富の差が大きい都市でもある。貧民街では下水処理施設の整備はほとんど手が付けられていない。
 グアナバラ湾は「巨大なトイレ」と揶揄されている。
 招致段階でリオデジャネイロ州政府は五輪開幕までにグアナバラ湾に流入する汚水の80%を下水処理できるようにすると公約した。この処理事業を支援しているのが日本の国際協力機構(JICA)で、現在四つの下水処理場が稼働している。 しかし、各家庭から処理場まで下水を集める配管の整備が遅々として進んでいない。リオ五輪組織委員会は、開催前年の20157月、公約としていた水質浄化が開幕まで不可能と認めている。
 大量のゴミが海面を覆い尽くしているのも汚染の原因とされているが、リオデジャネイロ市では、湾内のごみを回収する「エコポート隊」を投入するなど窮余の対策に追われた。
 水質汚染問題の抜本的な解決はできなかったが、国際オリンピック委員会(IOC)は「環境基準は満たされた」して競技は予定通り行われた。


ゴミが散乱するグアナバラ湾 Antonio Scorza / Agência O Globo
 
絶望的 東京湾の水質改善 アスリートファーストはどこへいった?
 東京23区の下水道のほとんどが合流式で整備され、雨水と汚水を一緒に処理するシステムである。雨が大量に降ると下水道が処理できずに、そのまま河川に放流される可能性がる。東京都は下水処理能力の向上に取り組んでいるが、一瞬で大量の雨が降るようなゲリラ豪雨が発生すると処理能力の限界を超えてしまう。
 再オープンした葛西海浜公園も、大雨が降ればで、COD濃度が一気に跳ね上がり水質基準を超えて、海水浴場が再び閉鎖になる懸念と隣り合わせている。
 水質改善の抜本的な対策は、下水道を合流式から分流式に切り替えることで、分流式は雨水・汚水を区別して処理する方式のため、雨が降っても汚水が未処理のまま雨水に混ざることはない。
東京23区は、下水道整備を急ぎ、昭和30年代に経費のかからない合流式で下水道を整備した。1970年に下水道法が改正されて、下水道はようやく分流式で建設されるようになったが、現在でも合流式で整備した下水道が広いエリアで稼働している。東京都内の下水道が分流式に切り替わるには、あと30年以上はかかるとされている。
 さらに埼玉県や千葉県、茨城県からの生活排水も東京湾に流れ込む。
さらに東京湾の海底には、過去の環境汚染の“負の遺産”である汚染物質が大量に含まれているヘドロが海底には堆積したまま、未だに年間約40回程度の赤潮や4~5回程度の青潮が発生している。
 東京湾に本格的に海水浴場が蘇るのはまだまだ先になる。

 2020年東京大会まであと2年余り、この間に、東京湾の水質改善が飛躍的に進むことはありえないだろう。
 “汚染”された海、東京湾に選手を泳がす2020東京大会、何が「アスリートファースト」なのだろうか。






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2018年5月9日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
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代表
International Media Service System Research Institute
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President
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