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2018FIFAワールドカップスポンサー料 中国企業 FIFAパートナー ワールドカップスポンサー リージョナルサポーター

2018年07月28日 06時53分16秒 | 2018FIFAワールドカップ
FIFAのスポンサーは中国企業が席捲




止まらないW杯の膨張体質を支える放送権料 FIFAの収入の約62%は放送権料
Foxの“悪夢” 米国チーム抜きのモスクワ大会 視聴率は?
巨額を投入したスタジアム建設 “負の遺産”に転落するのは必至
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 4年に1度開催されるワールドカップ大会は、FIFAにとって最大の収入源である。W杯の広告効果は五輪よりも高いとされていて、世界各国のスポンサー企業はW杯に最高レベルの広告価値を与えていた。五輪と違ってほぼすべての試合に世界各国の視聴者の関心が集まる。また、アフリカ、南米、アジアなどの新興国が多く含まれ、新たな市場として企業が注目して国や地域が対象に含まれているので企業にとっては魅力的だ。
 FIFAでは2014年ブラジル大会では、世界207の国と地域で合計9万8078時間のサービスが行われ、家庭で視聴した人は、決勝戦で約10億1300万人に上り、1試合平均の視聴者数は1億8670万人、全試合の合計は32億人(1分以上視聴)に上ったとしている。(FIFA Audience Summary 2017)
 そして、今回のロシア大会では全試合で34億人に達したとし、世界の人口の約76億人の約45%を占めているとしている。(出典 GlobalWebIndex)

 しかし、2015年に発生した空前の汚職スキャンダルで、FIFAへの信頼感が完全に失われている。
 国際サッカー連盟(FIFA)が得たスポンサー収入は、2014年ブラジル大会では16億2900万ドル(約1797億円)だったが、今大会では14億5000万ドル(約1600億円)に減少した。
 長年に渡ってFIFAの最高ランクのスポンサーに就いていたSONYや、エミレーツ航空(Emirates Airline)、自動車エンジンオイルのカストロール(Castrol)、タイヤや自動車部品のコンチネンタル(Continental)、製薬・医療機器のジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)は腐敗の発覚を受けて、2014年、スポンサー契約を打ち切った。巨大多国籍企業は苦労して築き上げた自社のブランドイメージが、“泥沼”に陥ったFIFAと一緒になって評価が下がることを恐れたのである。当然の帰結であろう。
 ちなみに日本企業では、1982年以来、キャンノン、富士フイルム、日本ビクター、セイコーがスポンサー企業になったことがあったが、SONYの撤退で日本企業は消えた。
 さらに2018年は、欧州で3番目の巨大なテレビ市場で、世界のサッカービジネスの中でも大きなウェイトを占めてきたイタリアで異変が起きた。
 予選でまさかの敗退をして、ロシア大会の出場権を得られなかったのである。
 2014年のブラジル大会では、イタリア放送協会とスカイイタリアがFIFAに支払ったテレビの放映権料は、約1億8千万ユーロ(約230億円)に達した。しかし、イタリア放送協会とスカイイタリアはW杯の放送から撤退してしまった。
 代わってPay-TVのMediasetが放映権を7800万ユーロ(約100億円)で獲得しが、この結果、FIFAの貴重な収入源の放送権料は1億ユーロ(約130億円程度減ったと思われる。
 一連の腐敗スキャンダルが露呈して、FIFAは収入が激減し、2015年から3年連続赤字が続き、累積赤字は約7億ドル(約770億円)に上っている。
 しかし、2018年6月21日ロシア大会では40億ドル(約4400億円)の収入、10億ドル(110億円)の純利益を上げることを目標に掲げ、財務状況を一機に改善したいとしている。

衰えていない世界のサッカー熱 サッカー市場は高成長
 ところが、FIFAの汚職スキャンダルで信頼感が喪失したのにも関わらず、世界のサッカー熱は決して衰えていない。
 ニールセンが6月12日に発表した年度ごとの世界サッカー調査報告によると、回答者の10人に4人以上が「自分はサッカーファン」と答えており、サッカーは今でも世界一の人気スポーツである。この調査の統計は世界18のスポーツ市場をカバーし、回答者の43%が2017年にサッカーに対して「興味があった」、「とても興味があった」と答えたという。
 膨大なサッカーファンが存在すれば、巨大なサッカー市場が生まれ、市場があればスポンサー企業はビジネス・チャンスをうかがって動き出すという構図が生まれる。

新会長インファンティーノ氏の改革
 ゼップ・ブラッター氏がスキャンダルで辞任したあと新たにFIFA会長に就任したジャンニ・インファンティーノ氏(Gianni Infantino)は、FIFAの組織改革と財政収支の透明化、各国協会(特に中小国)への分配金大幅アップ、ワールドカップ参加国の拡大(32から40へ=FIFA加盟国の19パーセントが本大会に出場できる)などを打ち出している。一連の改革には、スポンサーの拡充という新たな取り組みも含まれていた。
 これに対し、スポンサー企業は2016年2月、就任したインファンティーノ新会長に対し、改革の速やかな実行と、過去の汚職文化を一掃するための独立監視機関設置を求めた。
 米クレジットカード大手のビザ(Visa)はさらなる措置を講じなければ対応は不十分であるとFIFAに警告していた。
 ビザはウェブサイトに掲載された声明で、「われわれはFIFAの新たな指導部に対し、実行力に比重を置くよう求める。FIFA、ファン、スポンサー、そしてすべての関係者にとって最大の利益は、この改革を長期的に独立して監視する機関の存在である。われわれが期待しているのは、FIFAが迅速かつ直接的に透明性、信頼性、完全性が約束された文化の浸透に着手することだ」とコメントを公表していた。
 FIFAの新執行部の改革への実行力に対し、大手のスポンサー企業はまだ疑念を持っていることの現れである。
 FIFAの信頼性の回復はまだまだ時間がかかりそうだ。

最高位のスポンサー、「FIFAパートナー」は1億2000万ドル(約130億円)から1億8000万ドル(約200億円)
 FIFAのスポンサーには、最高位の「FIFAパートナー(FIFA Partner)」と「ワールドカップスポンサー(WORLDCUP SPONSORS)」、「リージョナルサポーター(Regional Supporters)」(2018年までは「ナショナル・スポンサー」)の三種類がある。
 この内、最高位の「FIFAパートナー」は、枠は6つで(2018ロシア大会だけの資格で1枠増やし7枠)スポンサー料は1億2千ドル(約130億円)から1億8000万ドル(約200億円)と言われている。FIFAのすべての試合・イベントにおける広告と周辺ビジネスの権利が与えられ、FIFAロゴを8年間(2大会分)使用できる。
 これまでのAdidas、CocaCola、現代・起亜自動車(Hyundai/Kia)、Visaに加えて、新たにロシアのエネルギー企業、ガスプロム(Grazprom)、Qtar Airways、中国のサッカーから映画、不動産などのコングマット企業、万達グループ(Wanda)が加わり、7社が最高位の「FIFAパートナー」になった。このうちガスプロムはロシア大会(2015年~2018年)だけの「FIFAパートナー」である。
 これに対し、2014年の汚職スキャンダルを受けて、2014ブラジル大会を最後にSONYは撤退し、エミレーツ航空やコンチネンタル(タイヤ・自動車部品)、ジョンソン&ジョンソン(製薬・医療機器)も撤退した。
 SONYは、2億8000万ドル(約310億円)という巨額のスポンサー料を支払って、2007年から2014まで8年間に渡って「FIFAパートナー」となっていた。
 この結果、FIFAは10億ドル(約1100億円)の減収になり、財政危機に陥った。

 次のクラスが「ワールドカップスポンサー」で8つの枠があり、スポンサー料は6800万ドル(約75億円)から1億ドル(約110億円)程度とされている。契約期間に行われるW杯と直接関連するスポンサーとしての権利を有し、FIFAロゴを4年間使用できる。
 Budweiser、Macdonard、海信(Hisense)、蒙牛乳業、Vivoが「ワールドカップスポンサー」になっている。
 「FIFAパートナー」と「ワールドカップスポンサー」で、合計14枠あるが、ロシア大会ではようやく12枠が埋まったが、まだ2枠空いている。
 
 最後が以前の「ナショナルスポンサー」(National Supporters)で、開催国の企業に限り、自国での開催期間中の試合・イベントにおいてのみ広告と周辺ビジネスを行えると規定される。
 今回のロシア大会から、「ナショナルスポンサー」に代わって「リージョナルサポーター」が初めて導入され、スポンサーシステムの最下位に位置づけられた。欧州、北米、南米、中東、アジアの5つの地域に分けて、それぞれに地域に5社づつ、20枠を設けた。開催期間中のLED掲示板での広告、チケットの優先的配分、所在地域におけるブランド広告権を有する。枠も20に拡大された。このスポンサー料は、公表されていて2000万ドル(約22億円)である。
 現在の「リージョナルサポーター」は、アジア地域では帝牌(Diking)、稚迪(Yadea)、Luci、ヨーロッパ地域では、ロシアの振興銀行、アルファ銀行、ロシアの鉱山企業、アルサロ、電話・通信企業、ロステレコム、ロシア鉄道、アフリカ地域ではエジプト観光局となっている。
 しかし「リージョナルサポーター」になったのはロシアと中国企業だけにとどまった。
 スポンサーの枠は過去の大会より増えて34になったが、スポンサーになった企業は19社だけで、15の枠が埋まらなかった。
 欧米や日本の企業は関心を示さず、空前の汚職スキャンダルの影響は未だに解消されていない。




「FI FIFA Worldcup Sponsors」になった中国の家電メーカー、海信(Hisense) 液晶テレビでは世界第三位 4Kテレビに力を入れている


「FIFA Partner」になった中国の不動産コングロマリットの万達(Wanda)グループ スタジアムの広告には万達(Wanda)が目立つ

中国企業の大躍進
 空前の腐敗スキャンダルで崩壊したスポンサー・システムを支え、空白のスポンサー枠を埋めたのは、中国企業だった。主要スポンサー枠、17枠の内、過去最高の7枠を手に入れ、世界に存在感を誇示した。
 不動産コングロマリットの万達グループは「FIFA Partner」に、食品の蒙牛乳業、家電の海信(Hisense)、スマートフォンのvivoは、「FI FIFA Worldcup Sponsors」になった。
 また紳士服の帝牌(Diking)とバイクメーカーの稚迪(Yadea)、VR技術企業の指点芸境(Luci)がアジアリージョナル(地域)の「Regional Supporters」になった。
 7社のうち、最も早くスポンサーになったのは大連万達グループで、2016年に年間スポンサー料1億5千万ドル(約165億円)支払い「FIFAパートナー」になった。万達グループは、ハリウッドに映画製作に投資をしたり、世界最大の映画村を建設したりして、注目を集めている新興企業である。
 蒙牛は、アルゼンチンのスーパースター、メッシをイメージキャラクターに起用するなど意欲的だ。
 海信(Hisense)は、4Kハイブリッドテレビで欧米市場への進出を狙っている。
 海信(Hisense)は1億ドル(約110億円)、蒙牛は5000万ドル(約55億円)のスポンサー料を支払ったと伝えられている。
 この結果、中国企業は、ロシア大会のスポンサー企業の約半分を占め、市場調査会社ゼニスインターナショナルがまとめた統計によると、今回のW杯開催中の中国企業の広告料は8億3500万ドル(約920億円)に達し、世界一になるという。米国の4億ドルの2倍で、ロシアの6400万ドルを大きく引き離す。
 新華社通信は「中国企業はサッカーW杯の新たな『金主』(主な出資者)になった」と誇らしげに伝えた。

 中国の習近平国家主席は、2008年北京五輪大会のサッカー競技場を視察した際、フリーキックをして見せるなど大のサッカーファンとして知られている。中国は、▽本大会への出場、▽W杯の開催国になる、▽世界制覇を果たすという3つの目標を掲げ、2049年の中国建国100年に合わせて2050年までにW杯優勝を果たすとしている。

 W杯は、スポンサーにとってみれば自社のブランドの認知度を高める絶好の機会である。
 2002年日韓共催W杯に向けて、2010年、韓国の現代自動車(Hyundai)は15億ユーロ(約1875億円)という天文学的なスポンサー料を支払って、12年契約でワールドカップスポンサーになり、2010年の米国市場での販売量は40%も増加し、ブランド認知度は大会前の32%から67%に跳ね上がったという。今回、中国企業が名乗りを上げた狙いも、こうした計算があったからに違いない。
 2018FIFA ワールドカップは中国企業に支えられてようやく成立しているといってもいいだろう。
 

ロシア大会のFIFAの収入は好調 61億ドル
 FIFAが最近行ったレビューによると、ロシア大会のFIFAの収入は61億ドル(約6710億円)で、2014年ブラジル大会より13億ドル(約1430億円)の増収となり、FIFAのこれまでの予測を約10%上回ったしている。(New York Tomes) 
 増収の主な原因は、中国企業のスポンサー料である。
 スポンサー料収入は、16億5000万ドル(1815億円)を確保し、FIFAの予想を2億ドル(220億円)も上回った。
 今後も中国の動向は台風の眼になりそうな気配だ。
 

* ススポンサー料はすべて推定

(参考 BBC NEWS 2018年06月14日 「人民網日本語版」2018年6月15日 The Telegraph 2015年5月29日 AP/Washington Post 2018年6月8日 FIFA Finacial Report 2017)







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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




2018年6月20日
Copyright (C) 2018 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
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