Another day comes 紫・電・一・閃 ~今日と違うはずの明日へ~

こんな俺でも いつかは光を浴びながら
きっと笑える 日が来るさ ・・・来るまで生きるぜ(生への渇望)

横たわる果実

2014-08-29 05:12:20 | 日記
地面に落ち、最早鳥にさえ見向きもされない果実が、手の届きそうなところに横たわっている。
いや、正確に言えば自分から落ちて行ったのだが……
熟したとは到底言えない未熟な果実。誰も見ていない今、それを強引に手にすることが出来る自分。
俺はこの実が大変好きだが、そもそも他人の敷地に入る勇気がない。
咎められてはすべてが終わる、そんな世界。
理性が正常に働く俺は、いっそ手にしてしまえという激情に高ぶる自分を、
我が身可愛さ、そして何より「別の熟れた実が落ちるまで待ってみよう」という自分が抑えにかかる。
なんといやらしいことか。これが俺の本質である。
すべては実が落ちてから考える。夢ばかり膨らませても仕方ない。

再び目の前に落ちてきた果実が、同じ実であろうとそうでなかろうと好みならば構いはしない。
まだ待ち続ける。それがどんなに先になろうと。落ちた実が転がりこちらの敷地に入ってくれば尚良し。
……それにしても、未熟な果実でもあれほど芳しい香りがするとは思わなかった。
だが、幾らいやらしい人間だったとしても、理性という誇りある限り危険なことをするわけにはいかない。
そして果実にも落ちてきた意味、都合があるはずなのだ。


こんな俺だが、放っておいた果実がどうなったのか……気にして毎日のように見に行ってしまうものだ。
ただそこに横たわった果実を見て、ホッと胸を撫で下ろして来た道を戻っていく。
その道中でふと思う。「早くなくなってくれ」と。





後悔も反省もしていない。
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