前回ブログの、その後!

2017-03-01 11:34:08 | 社長ブログ

前回のブログを見て頂いた方からお電話を頂きました。
一人は旧知の税理士さんで、有効活用を謳う建築デベロッパーからバックマージンや、ターゲットを紹介して欲しい為の接待攻勢、様々な利便について内情を教えてくださいました。
またもう一人の方は、「長期一括借り上げ」「何もしなくても安定した家賃収入のあるオーナー業」という口説き文句で、アパート建築を行う建築会社とその関連会社の賃貸住宅管理会社から『営業』を掛けられて、お父さんが契約したそうです。
 その事業は既に建物が竣工しており、新しい建物には入居者も入り今のところは順調だが、将来相続が発生する頃のことを考えると不安で不安で・・と仰せでした。
事業がスタートした以上、私たち不動産コンサルタントがお手伝いできることは今、現時点では非常に限られますし、建築した会社の関連子会社が入居を含めて管理(サブリース)しているので何も申し上げることは有りませんが、不安を口にされる切実な思いは本当にお気の毒でした。

「長期(20年とか30年とか)一括借り上げ」や「3年または5年目以降、家賃を○○%ずつ上げていく」という説明を受けているオーナーさんに、家賃が上がった試しはほぼ皆無で、逆に減額させられ、それを拒否すると一方的に契約解除されたという話は尽きません。

大家さんと賃貸契約している相手は、各入居者では無く、建築を請け負った会社の関連子会社が「サブリース契約」という形態で一括して借り上げているのがほとんどのケースです。
そこで問題になるのが、借地借家法32条の『借賃増減請求権』で、借主は貸主に対し家賃の減(増)額を請求できるという文言です。仮に「賃料の減額請求をしない」と特約しても、一定期間以上、未来永劫に固定することはできないことになっています。
それ故、大家さんは家賃減額を飲まざるを得ず、また仮に家賃の減額に納得できないからと大家さんがそのサブリース契約の解約を申し出ても、借地借家法28条の規定で、大家さんは正当な事由なしに賃借人(サブリース会社)に解約の申し出ができないことになっています。
逆に大家さんに建物を建築させて、子会社が一括借り上げしたが大きな逆ザヤ(損)が出るような収益性の低いアパートの場合は、入居者を全てその会社が管理運営している別の建物に引っ越しをさせ、全室空き室にして解約しているケースもあると聞いています。
それでなくても収入が落ちている大家さんが全室空き室で返還されても、たちまち資金繰りにも行き詰まり、「破綻」ということも視野に入ってきます。
そこが管理を兼ねている建築デベロッパーやその子会社が好き放題できる理由です。

アパート建築をおこなう建築デベロッパーが、家賃が将来下がるという不利益な情報を知っていても(当然、知った上で平気で損をするような事業をさせるのが会社の方針ですし、建物が古くなっていくのに家賃が新築より上がっていくなんて事はあり得ません。)わざと隠すと、消費者契約法で一般消費者は契約を解除できますが、残念ながらアパート経営をする大家さんは消費者に該当せず、あくまでも「事業者」となりますから原則、消費者契約法の保護対象外となります。
ここが有効活用とか、相続対策という呼び名の赤字を生み出す事業をさせたい建築デベロッパーの目の付けどころなんでしょうね。

国土交通省も危機感を強めているのは事実で、将来的な家賃減額などのリスクを口頭または書面での義務化を課すそうですが、残念ながら違反業者を公表するのは2018年7月以降になります。それまで建築デベロッパーのやりたい放題で、逆にその規制が適用される頃には同じようなアパートがアチコチに乱立して「 THE  END 」ということになるのでしょうか?

先のお電話の方のお話では、建築の契約は主要ターミナルの一等地にある超高層ビルのバブリーな部屋で調印させられ、その後、役員が同席して食事とお酒で「前祝い」がおこなわれ、手土産を貰って上機嫌でお父さんは帰宅したそうです。
お聞きすればするほど、「催眠商法のような手口」で、十分内容を理解できていない大家さんを籠絡している実態が見えてきます。

何れにせよ、有効活用や相続対策のための事業は、十分な事前調査の上でリスクとメリットを鑑みて実行すべきですね。