奥田英朗 「イン・ザ・プール」

やっと文庫になった「イン・ザ・プール」を読みました。
野球やスポーツに関するエッセイが面白かったので小説も読んでみよう。最初に読むなら伊良部シリーズと決めて何度かBOOKOFFに足を運んでいましたが店頭に現れず、そのうち文庫が出るだろうと持っていました。

結論。やっぱり面白かった。
待ちきれずに「邪魔」「最悪」に手を出さずに正解かも。

何だろう、この軽やかさ。
そのまま青年コミックの原作やTVドラマの脚本に使える感じですね。
TVドラマはまったく見ないのですが、それは連続物を毎週見る自信が無いのと、ビデオ撮ってまで見る気がしないだけで、実は見始めるとハマるタイプかもしれません。

キャラクターの設定がいいですね。
色白、デブでロリコン、マザコン、注射フェチ、5才児並の自己中言動、伊良部一郎。
無愛想な露出狂看護婦マユミちゃん。
このマユミちゃんの存在が特にお気に入り。
どこかで小池栄子が適任と言うのを読んでいたので、ずーっとマユミを演じる小池栄子が脳裏にあったけど、まさに適役。

この連作短編。物語は１話目より2話、2話より3話、回を追うごとに良くなっていくように思います。と言うかこちらがどんどん伊良部ワールドに引き込まれてしまったのか。

5話目のラストでは少し結論めいているけれど、シリーズはまだまだ続く。
このあと「空中ブランコ」で直木賞。そして新刊「町長選挙」。
これらも気長に文庫になるのを待って読むとしましょう。

もし、今読んでいる本がつまらなかったり、難しかったり、勉強のため敢えて読まなければならなかった物だとしたら、次にこの本を選ぶといいかも。

あらゆる心の病に冒された現代人。
伊良部シリーズを読むだけでもセラピーの効果があるかもしれませんぞ。

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