JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「裁かるるジャンヌ」

2008-04-22 | 映画(DVD)
アテネフランセ文化センター 「カール・ドライヤー監督特集 日本最終上映」

「裁かるるジャンヌ」1927年 監督:カール・ドライヤー 
ピアノ伴奏付き上映 ピアノ伴奏:柳下美恵(無声映画伴奏者)

恥ずかしながらカール・ドライヤーも、この映画もほとんど事前知識無いまま面白そうなので観てきました。その上、キリスト教(宗教)にも関心が薄くジャンヌ・ダルクについても薄ぼんやりしか認識が無かったのですが・・・
しかし、そんな事はぜんぜん問題ではありませんでした。

これはとんでも無い映画に巡りあってしまいました。
「ドライヤーの無声映画の到達点にして、世界映画史の金字塔のひとつでもある傑作。」まったくその通りなんだと思います。

サイレントでもこんなにも(サイレントだからこそなのかもしれませんが)心に伝わる映像が作れるとは驚きでした。

前半ショートカットの主人公ジャンヌ・ダルクを演じる女優さんのアップがほとんど、しかも裁かれているため終止上向きの体制。その青い(モノクロなので瞳の色は解らないのですが青い目と思い込みました)瞳からジンワリと湧き出る涙。
実はこのあたりはまだ、ジャンヌ・ダルクをオジさんたちが寄ってたかっていじめているみたいで面白いなぁ、などと余裕で鑑賞していたのですが・・・
どんどん映画が進むにつれ臨場感あふれるカットの連続で完全に打ちのめされました。女優の演技とスタッフの力が一体化してこれほどまでに有言な無声映画にただただ圧倒されてしまいました。
苦しみ、哀しみ、迷い、不安、希望、絶望、信念・・・次から次へとジャンヌの心境が表出していく映像。

後世にも多大な影響を与えた事が解るカメラアングル。
特に、処刑の場に集まる群衆の描写は白眉。
80年前の作品だというのに古臭くなくむしろ新鮮さを感じてしまうほどでした。

火刑の処せられ丸焦げになっていくジャンヌ。炎が立ち上がり、空に黒煙が湧きあがる・・・

この日の上映はピアノ伴奏付き。
100分近い映像に楽譜を使い、時には映像を確認しながらシンクロさせていくピアニスト。
臨場感が増します。

この作品はいろんな曲を使って上映されてきたそうですがカール・ドライヤーは曲目を指定したり推奨したりはしなかったそうです。
伴奏なしでの上映もあるようですが、やはり私としては伴奏付きの方が観やすかったのではと思います。
ただ、映写機の回転音だけでこの無声の映画を鑑賞するというのも大変興味深い事ではあります。

次は無伴奏で鑑賞してみるというのも面白いのですが、所詮2回目。最初に伴奏付きを観るか、無伴奏を観るかによってこの作品に対するイメージも微妙に違うでしょうね。

とにかく上映が終わって柳下美恵さんと「裁かるるジャンヌ」に目一杯拍手を送りました。

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