ゆびおり短歌

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短歌人2016.8より同人の歌

2016-09-18 | 短歌人誌より
同人2より。

手懐けし鳩放ちてわれ少年は大空を手に入れし心地す/佐藤大船

速達にせずともよきかとほき世の喜多川歌麿一枚貼りて/柘植周子

まつたきの日差し愛せし若き日よ影に濃淡あるをも知らず/小出千歳

雨音が身のそとうちを下るゆゑかなしみはみな地に還りゆく/春野りりん

鯛焼きを二つに割りて三十となりたる息子に頭をわたす/長谷川知哲(ルビ:頭=かしら)

日灼けせし腕さし出されわれの手をつと差し入れしは昨夜の幻/関浩子

ため息で回ることなき風車祭りの夜に売れ残りたり/森田直也

紫陽花の咲きしを母に告げやらむ誰の死ぬるも告げてはならじ/安斎未紀

けふ死なうともよきようにスリッパのむきをそろへる終日雨なり/朝生風子

鳥籠のおびえるチッチを手のひらのくぼみにとおくのせて包みこむ/魚住めぐむ

街宣車の声のみ聞ゆるうら道に曇りの空は広がりやまず/田上起一郎

夢多きねむりを覚めてくびすぢにからみし髪をゆるく結びぬ/三島麻亜子


同人1より。

葉桜の街で母と待ち合わす母は口紅をつけて来たりぬ/関谷啓子

水の辺に立つ青葦の二、三本折れて影あり土のおもてに/青輝翼

朝も昼もとほくにあるからくらやみのおとづれる夜はにほひやかに坐す/花笠海月(ルビ:坐す=います)

茄子切ればただちにこの世に染まりゆく茄子のみの知る切なさにあれ/真木勉

青空の遠く広がり空うつす人工池の水のしづけさ/人見邦子

木々の影あをき光を反したり憎しみはふと沸きてふくらむ/伊藤冨美代

どくだみのにほへる朝に届きたる訃報の紙のほのかな湿り/洞口千恵

病みて子は蛍を見しことなどを言ふ家族で風に吹かれし夜を/西橋美保

グランドピアノ譲ると言はれマンションの広がることなき間取りをおもふ/宇田川寛之

可燃ごみ収集車来て持ち去れりわたくしの爪、どくだみの花/大越泉

両腕をおほきく掻いてシャツを着る わたしの言葉ではなすと決める/紺野裕子

暴力のごとき「希望」と言ふときにわが生はなべて暴力なりし/菊池孝彦

永遠といふに疲れしまなざしにゆふぐれはいましろくけぶれる/菊池孝彦

戻りたる男の指はふるさとの雨に濡れたる傘をたたみぬ/平野久美子


8月の扉より。

ニチイからサティ、イオンと名を変えて古びし姿わたくしに似る/林悠子

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