今井のちょっと一言

株式会社 井真井代表の今井が人気国家資格関連に関する情報やコメントなどを発信しています。

早期退職者の募集をかけた三越伊勢丹

2017-05-11 12:22:58 | 日記

大手百貨店の老舗、三越伊勢丹が2017年3月期決算を発表しましたが、
営業利益が対前年比27.7%減の239億円、純利益は同43.5%減の
149億円で減収減益となりました。

営業利益、純利益の大幅な減少に比し、売上高は2.6%減の
1兆2,534億円でした。

この結果からFP資格を持っている人であれば、いくつかの仮説を立て
ることができるかと思います。

一つは、薄利多売です。商品単価に占める利益率を減らし安価で多売
したため、売上げはさほど大きく減らなかったけど、利益は大幅に
減少したと考えられます。

しかし、老舗が取り扱っている高級ブランド品は、その価格にこそ
付加価値がありますので、安易にプライスダウンの選択は取れません。

では次に考えられるのは、何でしょうか?

もう、おわかりですよね。「人件費の高騰」です。昨今は、官製春闘
などとも叫ばれ、政府の後押しを受けて労働組合などの労働者側と
事業主側との賃金交渉が激しくなっています。

安倍政権になって以後、大手企業の多くは毎年、従業員の賃金を上げ
てきました。従業員数の多い企業にとっては、数百円のアップも大き
な額になります。

政府が民間企業の賃金にまで口を出すのには理由があります。1つは
「景気高揚」。消費意欲を刺激して、景気を良くするためです。

そして、もう一つは「税収」です。膨れあがる社会保障費をカバーする
ためです。個人賃金が上がり、国民が街で買い物するようになれば、
企業も儲かります。

個人所得税や法人所得税のアップにより、税収も増えます。

ここまでは良いのですが、平成28年10月に政府が導入した厚生年金
保険、健康保険への加入対象者の範囲拡大措置は、今後、大きな問題
を引き起こすのではないかと危惧しています。

年々、高齢者人口が増えていますが、それに伴い増加しているのが
「生活保護給付の受給者数」です。過去に年金未加入だった人や未納
期間がある人たちを中心に申請が増えています。

毎年、その費用として約3兆円もかかっています。

政府は高齢期の安定した生活の担保に社会保険の適用範囲を拡大しま
した。週20時間以上勤務のパートやアルバイト従業員に対しても厚生
年金保険、健康保険を適用することにしたのです。

従業員の給与からは厚生年金保険料や健康保険料が控除されますが、
控除される額は本来の額の2分の1です。残りの2分の1は会社が負担
しています。

従業員1人に対する社会保険料の負担が企業に重くのしかかっている
のです!!

社会保険料は、平均標準報酬月額×保険料税率ですので、従業員の賃金
が上がれば上がるほど、負担も大きくなります。また、税率も毎年、
上昇してきました。(平成29年以降は固定)

そして、今回、三越伊勢丹は高騰する人件費を抑制するため、早期退
職者の募集に踏み切りました。

これは、氷山の一角です。

恐らく今後、三越伊勢丹に追随する企業が増えてくるでしょう。そう
なると、失業者が増加し、再就職するにしても従前と同額以上の賃金
を得ることは難しくなるかもしれません。

低賃金労働者が増加すれば、消費は冷え込みます。中高齢者の再就職
に職業選択の自由はほとんどありません。職業を選んでいては絶望的
状況に陥るでしょう。

だからといって、若い世代を離職に追い込めば、企業の将来が危ぶま
れます。また、少子化に拍車をかける結果ともなります。

消費税10%の導入と東京オリンピック閉幕後の日本経済が本当に心配
でなりません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿