東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

今戸焼?(36) 風口(ふうこう)

2010-11-15 13:34:21 | 今戸焼(浅草 隅田川)

2007_0101_000000p1010892_2 おかしな話ですが、以前これを入手した時には、漠然と代用品の携帯コンロか火起しだろうと思っていました。たたら作りで成形された台形の方形。上面の丸い孔のまわりに噴きこぼしのような痕があります。案外この形の道具には何度か巡り会っていたように思います。

今回記事にしようと思い立ったところで、道具の名前は何というのだろうと思って身近な本をめくってみてもみつからない。道具のイラストや写真から検索できるものはないだろうかと近くの図書館や博物館の閲覧室まで足をのばして探したけれどらしきものはない。戦前の東京を経験している母に見せても、見たことがないという答え。

困った、、と思っていた矢先 に文京区ふるさと歴史館の「発掘された武家屋敷」という図録を眺めていたら、偶然出土品の写真の中に同じ形のものが載っていて「風口」という名称であることがわかりました。

今度は「風口」の具体的な使い方を確かめたいので、名前で探してみたところでこの形の道具にぶつからない。「風口」で出てくるのは、コンロや七輪の送風口の意味ということでした。

考古関係の専門家の方にお聞きすれば何か手掛かりが、、?と思い、都埋蔵文化財のOさんや人形玩具学会のAさんに何か具体的な使い方を示した資料がないかお訊ねしたところ、Oさんからいろいろな資料のコピーをいただきました。ミーハーレベルのことしかわからない私には猫に小判のようで申し訳なく思っています。

この道具の使い道についてはコンロとセットで使うのと、単独で使うのと両方の可能性が考えられるようです。

古い様式のコンロには私たちの見慣れた七輪のように側面の扉の開閉によって火力を調節する仕組みはまだなくて、この道具で火を起して、そのまますっぽりと挿しこむ孔が空いているものがあったようです。挿しこんだ真上にサナがあり、その上にタドンのような燃料が敷いてあり、下から点火する仕組みだとか、、。もちろん風を送り込むことで火力の調節もできます。東京だと単独で火力調節できるコンロが登場したのは明治の中ごろだったので、こうした「風口」はその頃から使われなくなったのではないか?という話です。うちの母が知らないというのも当然な話です。

しかし、東京でも多摩地域では養蚕などの生業道具として昭和戦前頃まで、これ単独で使われていたようだ、という話もあるようです。

単に代用火起しや携帯コンロくらいにしか思っていなかったので、話を知って案外と古い時代の生活道具だと知ってびっくりしました。

2007_0101_000000p1010958 先日、今戸焼の福助つながりの記事でとりあげた幕末?の古写真の画像を見ていただきたいのですが、授乳しているお母さんの脇にあるコンロの側面の孔の口が妙に出っ張って見えるのです。もしかするとこれが「風口」をコンロ本体に挿入した状態なのか?と勝手に想像しているのですがどうでしょうか?

この記事の内容については、先に記したとおりOさんやAさんに資料のご提供をいただき、この上なく感謝しております。いただいた資料を読んで解釈をしているのは私なので、もしおかしなことがあれば、私の理解に誤りがあるのかもしれません。


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2 コメント

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なんだか分かたないものを手に入れること自体、私... (都月満夫)
2010-11-17 19:13:30
でも、今どきさんらしい。その後、きっちり調べるところも、いかにも今どきさんらしい。面白いですね。
したっけ。
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都月さま (いまどき人形)
2010-11-18 00:03:36
コメントをありがとうございます。
仰るとおり何だかわからないものを手に入れるのは我ながらちょっとビョーキのような気がします。
でもこれも今戸のことをもっと知りたい、今戸に触れたいという気持ちからで、そのあたりが病気かもしれません。でもこれをきっかけに知ることができたこと。教えてくださる方にはこの上なく感謝しています。
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