有坂与太郎著「おもちゃ葉奈誌 今戸人形」(昭和5年)に掲載されている写真です。この写真から当時の今戸焼や今戸人形についての様子がいろいろと伺うことができます。
手前の焚き口のところにいらっしゃるのが春吉翁。また後ろにいらっしゃるのが春吉翁の妻女のつるさんでいらっしゃいます。窯の形は小型ではありますが、今戸焼に使われていたという典型的な形のもの。後ろの炉部分には天井がなく、中に素焼きする箱庭細工や土人形の生地を詰め込んでから上から筵なんかで蔽いをして水で湿らせて焼けないようにしたんでしょうか。土台は耐熱煉瓦を敷いたり、炉内も煉瓦を積み上げ、周りを鋤を入れた荒木田土などを塗り重ねてこのように形作ってあるのでしょうね。
春吉翁の左に見える笊には箱庭細工らしきものや、小型の人形が見えます。焚き口の上には割型が見えます。これは大黒様でしょうね。春吉翁作のこんなに大きな大黒様の実物はまだ見たことがありません。しかし恵比寿大黒の人形は今戸焼の土人形の主力製品のひとつだったようで、お酉さまの市をはじめ歳の市では必ずさまざまな形のものが売り出されていたみたいです。
焚き口には燃料となる薪の他に、焚きつけに使う鉋くずのようなものも見えます。後ろに樽のようなものが見えるのは、中身は何なんでしょうか?水なのか、粘土の室なのか?
春吉翁には「清さん」というお弟子さんがひとりいらっしゃって、仕込んでいたらしいのですが、夭折されてしまい、その後は弟子はとらなかったそうです。
製作には春吉翁ご本人と娘の花さん、それからご近所の女性が手伝いに通っていたということです。
今から20年前まではまだ今戸には金澤家のお宅がありましたが、何時の間にかアパートになってしまいました。
一枚目の画像の窯があったという場所は現在は駐車場になっています。私にとっては聖地みたいなところ。浅草に所用で出かけるついでには、足をのばして、駐車場であってもお参りに行っています。
(検索 今戸焼 今戸人形 墨田川焼 今戸神社 縁結び パワースポット ご利益 お守り おみくじ 白井 半七 東京 スカイツリー 伝統 工藝
民藝 民芸品 土人形 メトロ 郷土玩具 おみやげ 観光 物産 伝統 台東区 江戸 干支 猿 戌 狐 稲荷 丸〆猫 招き猫 発祥の地 tokyo
asakusa imado sensouji tenple sightseeing tourist information souvenir tradition handcrft japan festival poetry oldstyle doll toy display )
この写真は昭和のごくはじめのものだと思います。
私が実際見ている旧・金澤家宅にはもう窯はありませんでした。
春吉翁は昭和19年に亡くなられていますから。
今戸に限りませんが、昔の土人形作りの割型はやっぱり粘土で作って素焼きしたものですね。
春吉翁も素焼きの型だったと思います。
今は、石膏型がほとんどだと思います。石膏のほうが吸水性に富んでいますから。
素焼き型だと水分を含みすぎると、粘土が貼りついて抜けにくくなるんです。そうなると暫らく乾燥させてから使います。