鼠にかじられているところもありますが、今戸焼の土人形の大黒様のバリエーションを見て頂こうと思います。こうした郷土人形を蒐集されている方の多くは状態をとても気にされることが多いかと思います。実際に痛ましい姿のお人形をお見せするのもどうか、、とも思うのですが、状態のよい人形に越したことはありませんが、私の場合最低限モデリングが把握できるということが目的でもあるのでご容赦願います。
この大黒様はお大尽の姿に見立ててあり、着流しに紋付といういで立ちです。千両箱?に肘をかけたその手首から先は手に宝珠を手にしていて、2枚の割型から抜き出した本体に別付けされています。
おおまかにいうと、今戸の土人形には2枚の割型で抜いたスタンダードなものから捻りとか小捻り(しょうねん)と呼ばれた型と手捻りとを併用した作りの人形まで成形方法に幅があり、この大黒様などその中間的なものではないかと思います。こうした作りの福禄寿の今戸人形を持っていますが、こちらのほうは「見立て」の姿ではありません。二福神として大黒様と対となるべき恵比寿様も「見立て」姿で存在していたのかどうか、、、。
顔の描彩も繊細かつ手が混んでいて、二重瞼まで描かれています。
頭巾の紫色はバイオレットの染料を濃い目に塗った色のようです。