イスラエル-フランスによる攻撃に対する唯一の報復はシリア-ロシアの勝利
2018年9月18日
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
欧米とロシアのマスコミは、9月17日のイスラエル-フランスによるシリア共同攻撃とされるものを報じている。
攻撃には、イスラエル戦闘機と、地中海のシリア沖で活動しているフランスのミサイル・フリゲート艦が参加していた。
攻撃中に、乗組員14人のロシアのIl-20偵察機が行方不明になった。
攻撃の後すぐさま、反撃し損ねればロシアが弱体に見えるだけだと警告して、評論家や解説者や専門家が、いわれのない軍事攻撃に対する即座の報復を呼びかけた。
評論家の中にはロシア ウラジーミル・プーチン大統領の辞任を要求するものさえいる。
初めての挑発ではない
だが、攻撃は、その後同様な“弱体”というロシア非難とともに、同様な報復が呼びかけられた、
2015年のトルコによるロシア戦闘機撃墜を思い出させる。そして、それにもかかわらず、2015年以来、アメリカ-NATO-GCCとイスラエルの代理戦争における、ロシアの辛抱強い秩序だったシリア支援のしかたは、大きな良い結果をもたらしている。
ロシアは今後、北部の都市アレッポ奪還で、シリアを支援するはずだ。
パルミラは、いわゆるシリアとイラクの「イスラム国」(ISIS)から奪還されるはずで -
ホムス、ハマ、東グータや南部の都市ダラーも奪還されるはずで - 事実上、ユーフラテス川西岸全てが、ダマスカス支配下になるだろう。
実際、アメリカ-NATO-湾岸諸国とイスラエルが行う一連の挑発を無視し、紛争で苦しめられた国の治安と安定を体系的に回復するという課題に、もっぱら注力することで、ロシアと同盟諸国による完勝のほぼ直前にまで至った。
ロシアが支援するシリア軍は今イドリブの端で構えている。
これまでに、勢力のバランスは、ダマスカスに有利に傾いており、欧米代理軍隊部隊がいまだに占拠している最後に残された領土を巡り、トルコさえもがロシアとの交渉を望むようになっている。
欧米による挑発の現実
イスラエルとフランスが攻撃する前に、シリアとその同盟諸国は、シリアの未来のための代理戦争に勝利しつつあったし、共同攻撃直後も、代理戦争に勝利しつつある。
過去7年の間、シリアは、大なり小なり、何百ものそのような攻撃を切り抜けてきた。
イスラエル戦闘機は、遠隔攻撃兵器を使用し、離れて活動している。
フリゲート艦から発射されたフランス・ミサイルも、シリア領土上空を飛行して、シリア防空体制に、標的にされ、撃墜されるリスクを避ける遠隔攻撃戦略だ。
現代の戦争ドクトリンでは、空軍力だけでは決して戦争に勝てないことが認められている。
だが欧米による一連の攻撃の背後には別の動機がある可能性がある。
挑発された際、ロシアが最も先進的な防空システムを稼働すれば、全般的な技術と配置の両方、特にシリアでの防衛の全体像を、欧米が把握することができ、
万一欧米が、全面的空爆でKOパンチを放つと決めた場合、欧米は遥かに効果的に攻撃できる。
最善の報復はNATOに対する勝利
撃墜されたシリアとロシアの飛行機や戦場でシリア軍と同盟諸国が負わされている死者は、人間として、即座に報復したいという願望をかき立てられずに見るのは困難だ。
だが即座の報復が勝利に向けた長期的戦略に役立つことはまれなことを念頭に置く必要がある。
怒りは時がたてば喜びに変わり得る。いらだった後、満足することもあり得る。
だが破壊された王国は決してもとには戻らないし、死者は決して生き返らせることはできない。
だから聡明な支配者は慎重であり、良い将軍は注意深い。これが国を平和に保ち、軍を傷つけずにおく方法だ。
大衆の即時報復という願望を満足させるため、あるいは、ありもしないロシアの無敵さという考えを守るため、フランスのフリゲート艦船を沈没させたり、わずかな数のイスラエル戦闘機を撃墜したりするために、ロシア防空システムの全能力をさらけ出しても、ロシアのためにはならない。
そうではなく、ひたすらシリアでの代理戦争に勝利することこそ、ロシアのためになるのだ。
2015年に、トルコがロシア戦闘機を撃墜したことに対し、即時報復が呼びかけられたが、シリアとロシアとイランが、シリアを分割し、破壊し、イランへの足掛かりにし、最終的には、南部ロシアに入り込むことを狙った外国の代理から、シリア領土を確保するためゆっくり、整然と前進し続けたのと同様に。
シリアにおける全面的勝利に比べれば、連続する挑発への報復の重要性は限りなく低い。
国家としてのシリアの運命と、結果としてのイランの安全保障と安定と、ロシア自身の自衛さえもが、それにかかっている。
この戦争でシリア国民を苦しめている連中に対して、あり得る最大の“報復”は、連中の絶対的完敗だ。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/---fad4.html
フランスで ニツポンの元首