函館港イルミナシオン映画祭 会期中広報「イルプレ」

函館港イルミナシオン映画祭開催期間中情報をリアルにお届けする「イルプレ」です。

「監督失格」4日(日)金森ホール

2011年12月04日 | 2011
クロージング上映を飾ったのは平野勝之監督作「監督失格」でした。

この作品は平野監督自身のドキュメントであり、
アニメ・エヴァンゲリオンの監督としても有名な庵野英明さんがプロデュースしています。
また矢野顕子さんが音楽を担当し、主題歌を描き下ろしています。

この作品は35歳の誕生日前日に自宅で亡くなったAV女優・林由美香をめぐる、
二人の14年間にも及ぶ愛の記録です。

出会い、交際、そして由美香の死が日記のように残されています。
大切な人に贈る愛情やその喪失、死を目の当たりにした人の再生を描いた人間賛歌です。

ラストを飾る生前の由美香の言葉は
何度編集しても監督が「これだけは残したい」と思ったものでした。

上映後には来函なさった平野監督と寺脇研さんの対談が行われました。
由美香の死の後、監督は映像制作を一時中断なさっていました。
しかし、手元に残った由美香の死の映像を残さなければならないという使命感によって
この作品をまとめられたそうです。
当初「自分は由美香の死に張り付かれていた」と思われていたそうですが、
「自分が由美香に張り付いていたのではないか」と実感したそうです。

寺脇さんが
「この映画は監督と由美香さんののろけ映画ですよね」
と、言うと監督は
「まあ、そうですね」
と笑って答えていました。

ショッキングな映像もありますが、
監督の由美香さんに対する愛情が存分に感じられる作品となっています。

「寝盗られ宗介」 4日(日) 金森ホール

2011年12月04日 | 2011
今年7月に亡くなられた名優・原田芳雄さんを偲んで上映されました。

つかこうへいさんが自身作の同名喜劇を本作品のために脚本化し、
若松孝二監督がメガホンを握った作品です。
毎分ごとに笑いのポイントがあり、会場は爆笑の渦に巻き込まれていました。


上映後、若松監督とキネマ旬報の元編集長である植草さんのトークショーが行われました。

「思い出のシーンは?」という質問に対し若松監督は
「原田芳雄さん演じる宗介が女装して愛の賛歌を歌うシーンです」
とおっしゃっていました。

若松監督は次回作の「千年の愉楽」にも盟友であった
原田さんに出演をしてほしかったそうです。
残念ながら、それは叶わぬこととなってしまいました。
しかし、本作で宗介が着ている衣装を「千年の愉楽」にて
高良健吾さんが身に付けているとのお話があり、
若松監督の原田さんに対する思いが伝わってきました。


ぜひ、「寝盗られ宗介」を見た後「千年の愉楽」をご覧になってください。

篠原哲雄監督プログラム 4日(日) 十字街シアター

2011年12月04日 | 2011
「純子はご機嫌ななめ」 谷口雄一郎監督
 谷口監督は、過去に本映画祭のシナリオ大賞を受賞されています。
 本作は、「ジェニーはご機嫌ななめ」という曲から
 構想を得た、ポップな作品となっています。
 劇中の小学生はプロの子どもではなく、素人の子なのだそう。
 篠原監督のお話によると、「いろいろ省略はされているが、
 とても丁寧に撮られているので、よく見れば細かいこともわかる
 作品になっている」とのことでした。

「惑星のささやき」 澤田サンダー監督
 昨年シナリオ大賞を受賞した澤田サンダーさんの初監督作品。
 とても静かで、スローなテンポの作品になっています。
 物語の鍵となる「星」の形をした石にはかなりのこだわりが
 あったそうで、現在も澤田監督の家にあるそうです。
 澤田監督は2007年に「幼なじみのバッキー」という絵本で
 岡本太郎現代芸術賞に入選しており、「受賞の折、母親に
 他の受賞者の方に謝りなさいと言われた」と会場を沸かせていました。
 
「柔らかい土」 篠原哲雄監督
 約3分という非常に短い映画です。
 篠原監督はこの作品について、
 「震災で傷付いている人たちに対して、同じ立場でいる人より
 むしろ外野の人のほうが勇気、元気を与えることができるのでは
 ないかという印象を受け、この作品を作ろうと思った」
 とお話してくださいました。

「深夜裁判」 篠原哲雄監督
 3月11日、大地震のあった日の夜に結ばれた男女が起こした
 裁判と、それをとりまく人たちの人間関係を描いた笑いあり、
 エロスあり、そして驚きありの作品です。
 篠原監督によると、「僕の周りに実際に、震災で同じようなごたごたが
 あったカップルがいて、その人たちをモデルにこの作品を撮った」
 のだそうです。
 本作には個性豊かなキャラクターがたくさん登場します。
 それは、監督が「あいつは一見○○そうだけど、実は××だよね!」
 という風に、キャラを立たせていったからなのだそうです。

「KAMACHOP」 4日(日) ふるる函館

2011年12月04日 | 2011
映画祭最終日、ふるる函館にて「KAMACHOP」が上映されました。
本作品は、もっともパンクな映像集団「革命トマト」の
記念すべき初の長編作品となっています。

宿命を受け入れていく人間の心情を綴った
「シューシュポスの神話」をモチーフに、
他者との意思疎通が希薄になった現代社会における
愛と宿命を描いたシリーズ第1作。
ボンクラ幽霊コンビ「カマチョップ」が日常の愛の事件を解決する
オフビート・ヒューマン・ドラマです。

上映後、「革命トマト」の旗揚げ人であり、「KAMACHOP」の監督でもある
松本庵路監督がゲストとして登場しました。
カマチ役を演じている鎌地広行さんは、
監督の双子の弟であるとの話も飛び出しました。
松本監督が行く居酒屋は役者さんもよく現れるそうで、
その方達と映画の話をするそうです。
それがきっかけで、大森南朋さんや桐谷健太さんの出演を
決めることができたとのことでした。

なお、現在は続編を執筆中だそうです。
カマチとチョップの新たな活躍に期待しましょう。