■未踏峰 笹本稜平 祥伝社文庫(667円)
【山域】 北八ヶ岳、ヒマラヤのビンティ・チュリ(祈りの峰)
夢や希望から見放されて漂流する三人の若者が、北八ヶ岳の山小屋で出会う。
山小屋の主人・パウロさんはブナの古木のように、若者たちを優しく包み込む。
その無償の行為は、壮絶な人生の果てに辿り着いた、彼の帰結だった。
彼らは、出会いを運命として、生きることの意味を問うため、ヒマラヤの未踏峰に挑戦する。
北八ヶ岳の滴るような生命の息吹。神が隣在する荘厳なヒマラヤの氷雪の岩峰。
山への登高は心を開放し、ただ、ここに生きている、その実感をもたらす。
人生そのものが未踏峰・・・
夢や希望の輪郭を鮮明にすることで、人生のあるべき姿と魂の再生を描いた山岳小説だった。
※ビンティ・チュリは架空の山
■写真は日高山脈(07年6月) まだ見ぬヒマラヤの峰をイメージして・・・