いくも。的童話王国

MMORPG「童話王国」のてきとうプレイ日記。

歌舞伎町の女王

2006-09-13 | 日記らしいもの。

例によってタイトルは大幅に関係ありません。


虹 幻獣販売店。
ここに 今から奴隷のような人生が待ち受けている初老の男がひとり。
名前は §輝羅§ 大老 62歳。


この男、嫁に用事を言いつけられてここにやってきたのだが
ペットの空き場所があるというだけで「よし、お前いけ」と指名を受けた。

そのことがこの男の運命をかえてしまうなど、まだこの時には誰も知るよしもなく。


男は不慣れな様子で受付カウンターの女に話しかけた。
「あの・・・えっえっと・・・すいません。この子たちを合体させたいんですが・・・・」

受付の女は慣れた口調で
「では、お父様のお名前をこちらに、お母様をこちらにお書きください」
と、§輝羅§の顔をチラっと見ただけで それからは目をあわす事もなかった。
「え・・・っと、木パンサーが父で・・・」
何度も何度も間違えないように、彼は左手の甲のメモと紙を見比べながら
慎重に書類に記入をしていく。

「こ・・こ・・これでいいでしょうヵ・・・」
「ええ、結構です。あとは発光水晶とカードを提出してください」
女は忙しそうに手元の書類をめくりながら、事務的に返答した。
§輝羅§は 随分前に知り合いに作ってもらった皮鎧のくたびれたポケットから
ゴソゴソとイエティカードと発光水晶をとりだして受付カウンターにそっと置いた。

(あぁ・・・この水晶ももらいものだったっけ・・・。)

「お客様?そこのスロットのレバー、押してください」
女の声が店内に響く。
「あ・・・すいません・・・」
§輝羅§は言われるまま、もう塗装の色が剥げてしまっている
冷たい鉄のレバーを叩いた。
もうどれぐらいの人がここで夢をみてきたのだろう・・・僕には特別な夢はないけれど。


「ではこちらをお受け取りください。ありがとうございました」
ドアの奥から連れてこられたのは、先ほど連れてきたイエティ・・・
いや違う、産まれたばかりのイエティだった。
(何てかわいらしいんだろう、僕も産まれた時はかわいかったのかな)
そんなちょっぴり心が暖かくなった瞬間、背筋が凍りついた。

マテ!僕は何をしにきたんだったっけ

恐る恐る嫁のいくも。に聞いてみた。
「ね・・・ねえ、つかぬ事をお伺いしますけど。。。」
「何?まだおつかい行ってないのかよ、何してんだよ!」
「ごめん・・・あのさ、僕って何を連れて帰ればいいんだったっけ?」
怒られるのを承知で、でもストレートに聞かないと余計機嫌が悪くなる。
心拍数が上昇している。心臓の鼓動が痛い。
「何って、レオパールに決まってんじゃん、光ヒョウよ。それ以外いらないっていうか、それ以外ありえないし。ってかあんた、また渡したメム落っことしたとかいいながら、マケでくだらない買い物してんじゃないでしょうねぇ、ちょっと聞いてんのあんた・・・…」


(llllll゜Д゜)ヒィィィィ



男はその場に倒れこんだ。
もう嫁の声は耳に届かない。
(逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・・・・)
僕は何も悪くない、そうだろ、あのレバーがガッコンってなって
ぐるぐるーって回りはじめてさ、で、僕はそれを見てただけなんだよ
そうだよ、そうだよねぇ・・・僕が悪いんじゃないよね・・・・

隣で子イエティが微笑んでいる。

今はこいつの笑顔が憎い。
この子には何の罪もないのは分かりきっている。

§輝羅§は震える指先を必死で押さえながら 連チャで呟いた。


彼がこのあと、嫁にどのような仕打ちをされているかは
皆様のご想像にお任せしよう。

そういえば、あのあとドアの隙間から声が漏れていた。

「あんた、狩猟125にするまで帰ってこなくていいわ」