【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【負けんなよ!】

2010年06月24日 | オムコイ便り

 春先のような、優しい雨が降り続いている。

 午前7時の気温は、23℃。

 実に、爽やかだ。

    *

「クンター、やっと田起こしができるようになりました」

 ジョーが、いかにも重そうに、しかし嬉しそうな笑顔で鉄鋤を抱えて店にやってきた。

 近くにある修理工場で、刃先を研ぐのだという。

 一昨日から降り続けている雨のおかげで、ようやく田んぼに水が溜まったようだ。

 彼らの田植えは、去年は7月の初めだった。

 なんとか、間に合いそうで、よかった、よかった。

     *

 昨夕は、しばらくの間村を離れていた山奥の分校教師たちが一斉に貸家に戻ってきた。

 バイクを停めるなり、隣家の妻が「クッティアオ2つ!」

 続いて、向こう隣りにテントを張って寝起きしている独身の教師たちが「クッティアオ3つ!」

 あいにく、この時刻は客が来ないので、経費節減のためにガスを止めている。

 スープが熱くなるまで、2~3分待ってもらわなければならない。

 だが、独身の教師たちは相当腹を空かしているらしく、何度も店を覗きに来ては、「まだか、まだか」と催促する。

「まるで、ガキだな」

「ホントだね、あれでも教師かしら」

 彼らの相変わらずの態度に、ラーと顔を見合わせて溜め息をついた。

 案の定、日が暮れると大宴会である。

 あたり構わぬ嬌声が、夜の10時近くまで村中に響き渡った。

     *

 一方、隣家の方には数人の子供たちとその父兄たちが泊まり込んでいる。

 オムコイの本校で、交流会のようなものがあるらしい。

 彼らの服装や顔つきを見ると、いかにも“山の子”という感じだ。

 それに較べると、村の子供たちはかなり洗練されているように見える。

 もちろん、わが家の息子たちを含めて村の子供たちも汚れた服や穴のあいた服を平気で着ているのだけれど、やはり明らかに雰囲気が違う。

 わが村の場合は、町まで2キロほどしか離れていないのだから、知らず知らずのうちに町の影響を受けているのだろう。

 おそらく、30数年前には、ラーたちもこの“山の子”等と同様の服装や顔つきをしていたに違いない。

 なにしろ、クルマやバイクはもちろん、服や靴さえもろくに買えなかった時代である。

 父親を早くに亡くしたラーなんぞは、裸足で30分ほど歩いて町の学校に通っていたというのだから、町は今よりもはるかに遠く、手の届きにくい場所だったはずだ。

     *

 今朝になって、子供たちはピックアップの荷台に乗り込み町に向かっていった。

 なんだか、彼らの表情が硬い。

「おいおい、町のガキどもなんかにビビるんじゃないぞ。ついでに、隣りの教師たちみたいな礼儀知らずだけにはなるんじゃねえぞ」

 その後ろ姿に向かって、思わずそう呟いていた。

 チョークディー(幸運を)!

☆応援クリックを、よろしく。
タイ・ブログランキング
 


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【蛙の季節よ、永遠に】 | トップ | 【日本からの“玉手箱”】 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
矜持 (しんちゃん)
2010-06-24 23:23:59
4月3日以来閉店していた伊勢丹バンコク店が今日再開しました。六階にある紀伊国屋書店は黒山の人でレジの前には数十人の列ができていました。閉鎖中の雑誌の半額販売が目玉ですが、何時販売できるか解らない雑誌を取り続けた書店の矜持に感服です。雑誌、本の未来は暗くない。ボロは着てても心は錦。ちょっとこじ付けですが。いいもん見ました。
返信する
Unknown (もか)
2010-06-24 23:51:41
くんたーさん、こんばんは!
今夜はワールドカップ日本とデンマーク戦で盛り上がっていますよ。

4月の滞在ですが正式には相変わらず基本キャンプにこもりきりですが、彼と二人でラオスのランプロバンに行ってきました。

突然ですが
私たち知り合って2年がたちました。
いつまでも私がチェンマイに通ってばかりもいられないので
今年中くらいには彼も日本に行くことを目標にしています。

でもクンターさん聞いて下さい。
ものすごく不安で怖くて仕方ないです。
まずは日本へ行くためのビザがおりるかどうか
もちろん私も全面的に協力しますがそれでも
おりないこともあるみたいで。

その2
仮に彼が日本に来て日本の生活になじめるかどうか。

その3
金銭的な問題
今は大好きで一緒にいたい気持ちでいっぱいだから
もし、日本で彼に収入がなくても
私が働けばご飯をたべれるくらいのことは
できるとおもいます。
でも、この気持ちがずーーーっと続くかどうか
自信がないからそれが怖いです。

タイ人と結婚して離婚した人の話したくさんききます。

私はその中にはいりたくない

ほんとに超えなければいけないハードルが
たくさんあります。

観光でまず日本にはいり3ヶ月滞在して
彼が更に日本で生活ができそうなら
それから、籍を入れて配偶者のびざに切り替えようと
考えています。

また、メールさせていただきますね。
読んでいただいてありがとうございます。
返信する
Unknown (クンター)
2010-06-25 20:11:10
しんちゃん

 バンコクの日本企業も、「負けずに」頑張っているようですね。ところで、紀伊国屋書店の品揃えというのは、日本に較べてどの程度のものなのでしょうか?

     *

もかさん

 確かに、いろんなハードルがありそうですね。もしも、ラーが日本に行くことになったら、バンコクで搭乗を待つ間に間違いなく具合が悪くなると思います。日本の満員電車にでも乗ったら、すぐに人酔いでしょう。そこから心配しなければならないので、なかなか大変です。ともかく、おふたりの幸運をお祈りします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

オムコイ便り」カテゴリの最新記事