ひと寝入りして、午後から頤和園に出かけた。
いわゆる観光名所には興味がないので、これまで足を運ぶことはなかったのだが、生まれて初めて北京を訪れた小楊には欠かせない場所だろう。
バスの便が悪く、冷房もないのでとにかく行くまでが大変だった。
着けば着いたで、大観光団が埋め尽くして、身動きができない。
「昆明湖」「西湖」「南湖」と名付けられた湖には涼風が吹き渡って、水辺にいるときだけは心が安らいだ。
小楊が、西湖にまつわる「白蛇伝」のラブストーリーを語ってくれる。
白蛇伝は何度も舞台を見たはずだが、ストーリーがよく想い出せない。
結末は悲劇だったような気がするのだが、小楊はハッピーエンドだという。
「ハッピーエンドか。ラブストーリーは、ハッピーエンドの方がいいね」
そう言いながら、これまで話せなかったベンとの結末を初めて小楊に話した。
「どうして連絡がとれないの?」
これまでのいきさつを知っている楊が、驚いた表情で聞き返す。
しかし、「中国の方がいい治療が受けられそうだ」と話すと少し納得したような顔をした。
あとは、黙って私の話を聞くだけだ。
どう答えようもないだろう。
「よし、次に行こうか」
重い空気を吹き払うように快活に言って、水辺のベンチをあとにした。
いわゆる観光名所には興味がないので、これまで足を運ぶことはなかったのだが、生まれて初めて北京を訪れた小楊には欠かせない場所だろう。
バスの便が悪く、冷房もないのでとにかく行くまでが大変だった。
着けば着いたで、大観光団が埋め尽くして、身動きができない。
「昆明湖」「西湖」「南湖」と名付けられた湖には涼風が吹き渡って、水辺にいるときだけは心が安らいだ。
小楊が、西湖にまつわる「白蛇伝」のラブストーリーを語ってくれる。
白蛇伝は何度も舞台を見たはずだが、ストーリーがよく想い出せない。
結末は悲劇だったような気がするのだが、小楊はハッピーエンドだという。
「ハッピーエンドか。ラブストーリーは、ハッピーエンドの方がいいね」
そう言いながら、これまで話せなかったベンとの結末を初めて小楊に話した。
「どうして連絡がとれないの?」
これまでのいきさつを知っている楊が、驚いた表情で聞き返す。
しかし、「中国の方がいい治療が受けられそうだ」と話すと少し納得したような顔をした。
あとは、黙って私の話を聞くだけだ。
どう答えようもないだろう。
「よし、次に行こうか」
重い空気を吹き払うように快活に言って、水辺のベンチをあとにした。