【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【病院疲れ】

2008年07月20日 | アジア回帰
 1ヶ月ぶりのチェンマイは、やたらに蒸し暑い。

 日本の梅雨空のような曇天が空を覆い、ときおりスコールがくる。

 昨夜から早朝にかけてはものすごい勢いのスコールに包まれてひといきつけたが、今日はまた暗鬱な曇り空である。

        *

 チェンマイに戻ってすぐにやるべきことは、バイク事故を起こしたラーの脇腹のレントゲンチェックだった。

 だが、例によってラーは朝になると病院に行くのを怖がり、いつもの堂々巡りが続く。

 気分を変えるために、郊外にあるエレファントキャンプを訪れ、鼻で絵を描く象たちの妙技に喝采を送った。

 ついでに、象の背中にも乗ったのであるが、初体験のラーは大興奮である。

「クンター、象はどうしてこんなに賢いんだろう。わたしも含めて村の人たちが象と同じように賢ければ、毎日の暮らしはもっとハッピーになるのに・・・」

 けれども、象の背中の揺れは予想外に激しく、ラーは再び脇腹の痛みに顔をしかめ始めた。

 それでも、翌朝になるとまたまた病院をパス。

 3日目の金曜日になって、やっとチェンマイラム病院にたどりついた。

 やれやれ。

        *

 検査の結果は骨にひびも入っておらず、強い打撲傷のみという診断が出た。

 まずはひと安心だが、それからが大変だった。

 今回、いつものマコーミック病院ではなくチェンマイラム病院にしたのは、ラーが打撲のほかにも頭痛や目まいを初めとする複雑な症状を抱えていたからだ。

 ほぼ1年前のバイク事故のあと、彼女はマコーミック病院でCTスキャンによる頭部検査を受けた。

 そのときの診断は「問題なし」ということだったのだが、その後も頭痛や目まいが頻発する。

 ときには、胃や心臓の不調も訴える。

 そこで、この機会にすべての懸念を払拭しようと思い立ったのであるけれども、彼女は自分の複雑な症状を私に英語で詳しく説明することができない。

 また、診断の際の医者の説明を私に充分に伝えることができない。

 私自身が診察を受けるときは、電子辞書を使って根掘り葉掘り質問できるが、ラーが患者である以上、医者は主にタイ語での説明を行う。

 また、医者の英語はなまりが強く、私の英語力では医学用語を聞き取れないことも多い。

 そこで、今回は日本人スタッフのいるチェンマイラムで通訳を頼み、あわせて頭部に関する〝セカンドオピニオン〟を求めようと考えた次第だ。

        *

 日本人スタッフの対応はとても懇切で、私が感じているラーの症状を充分に伝えることができた。

 なかなか理解できなかったラーの症状も、彼女の通訳によっていくつか明らかになった。

 頭部検査や内臓検査の予約も、週明けにはとることができた。

 だが、ラーの脇腹を診た医者の態度がかなり横柄で、ラーは病院への不信感を強めてしまった。 

「あの医者、そんなに頭が痛いなら精神病院に行けと言ったんだよ」

「まさか・・・。それは、脳神経外科の間違いだろう?」

「そうじゃない。はっきり、精神病院と言ったんだよ。マコーミックの医者は、もっと親切だった。わたし、もう二度と病院なんか行かない」

 やれやれ。

 再び、堂々巡りの始まりである。
 

 
 
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