【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【長老の予言】

2009年04月26日 | アジア回帰
 
 甥っ子のジョーから電話が入り、またもや牛が見つからなくなったという。

 今度は、9頭のうちの5頭が姿を消して、その中には嫁のラーから名前をとったじゃじゃ馬ならぬ“じゃじゃ牛娘ラー”も含まれている。

 おまけに、犬の“元気”と“雄太”が寂しがって餌を食べなくなり、まるで病気になったようにふさぎ込んでいるらしい。

 電話を受けながらラーが涙を流し始めたので、「すわ、何事!?」と血圧があがりかけたが、よくよく聞けば、牛や犬たちの様子が心配でならぬというではないか。

「・・・だから、お前さんはオムコイに残った方がいいと言っただろう」

 そう口に出かかったが、牛や犬を子どものように可愛がる彼女の心情を思うと、これ以上追い込むわけにはいかない。

「できるだけ早く仕事を済ませて、週明けにはオムコイに戻れるように頑張ってみるから」

 そう言い残し、パソコンを抱えてそそくさと部屋を出た。

       *

 それにしても、牛たちはなぜ、またもや姿を消してしまったのか?

「クンター、牛たちは激しい雨が苦手です。とくに、仔牛たちは寒さに弱いので、寝場所に大きな屋根をつけてやりたいんですけど・・・」

 失踪事件が解決したあと、ジョーの提案を受けてすでに屋根の拡張も済ませている。

 牛たちの帰還を予言してくれた長老(写真の人)の助言に従い、吉日を選んで仔豚をしめて、仏陀に捧げるための“儀式”と“大宴会”もつつがなく執り行った。

 それなのに、なぜ?

        *

 村では、そろそろ田植えが始まる。

 その準備に忙しいジョーを、いつまでも牛の捜索にかかずらわせるわけにはいかない。

 私は、深いしわの刻まれた長老の顔を頭のなかに思い浮かべ、

 「爺さん、また牛の在り処を予言してくださらんか」

 と念力を送った。
 
 爺さんが再び「予言」に成功したら、今度は何を仏陀に捧げるのだろうか。

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