【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【無事、生還】

2010年09月03日 | オムコイ便り
 一昨日は、正午にメーサイの宿を出た。

 来た道を戻っているつもりだったのだが、チェンライの市街地を抜けても「パヤオ方面」という表示しか見当たらない。

 不安になって2度道を尋ね、それでも不安なままに直進していると、三叉路の手前で、やっと「チェンマイ(右折)」という表示が出た。

〈こういう場合は、チェンライ市街で「パヤオ・チェンマイ方面」という表示をしてもらいたいものである〉

 地図も持たない能天気ドライバーは、自分の不用意さを棚にあげてタイ政府に文句を垂れるのであったが、なに、埼玉から東京方面に向かうときだって、大宮を過ぎたあたりでいきなり「日本橋方面」という表示が出るからあんまり偉そうなことは言えないのである。

      *

 チェンライ県の端っこ辺りまで走ると、道ばたに竹細工の店がずらりと並んでいる(村の名前を聞いたのだが忘れてしまった)。

 以前から、竹で編んだタイ式卓袱台を欲しがっていたラーが、驚喜しながら1軒の店に走り込んだ。

 この卓袱台、円形で高さが20センチほど。

 床に置いてあぐらをかいて座ってみると、程よい高さに食器が並ぶ。

 飯を盛った丸盆や食器を床に直接置くよりは、少しばかり文化的な雰囲気が漂うようである。

「よし、気に入った」

 440バーツを400バーツに値切って腰をあげると、ラーはすでに他のコーナーを荒し回っている。

 キノコ採り用の手提げ駕篭、魚捕り用のビク、エビ獲り用の仕掛けタボ、ラープ(血まぶし豚肉叩き)用の丸まな板。

「どれもオムコイの半値だよ!」と興奮気味だ。

 いずれも、自給自足や調理の必需品だから仕方がない。

 やむなく、絞めかけた財布のひもをまた緩めた。

     *

 宿に着いたのは、午後4時半だった。

 水浴びをしてビアチャンをあおると、急に酔いが回ってきた。

 そこへ、友人のウイワットが大量のビアチャンとツマミをあがなって遊びにやってきた。

 10時まで付き合ったが、すでにヨレヨレである。

     *

 翌朝は、さすがに頭も体も重い。

「雄太が殺された夢を見たから、犬たちが心配だよお。今日、オムコイに戻ろうか」

 ラーはそう言うのだが、生返事しか出ない。

 イミグレーションでヴィザを延長し、AISで無線モデムの更新を済ませると、もう運転する気は消え失せた。

 ラーの体調も芳しくない様子なので、午後は完全休養に当てることにした。

 夕方になって、チェンマイ門市場で夕食を物色していると、背後から軽く背中を叩かれた。

 振り返ると、ウイワットがバイクにまたがってニコニコしている。

「今夜も、ビール飲む?」

 昨夜は宿で別れたあと、別の友人と一緒にカラオケ屋へ行き、深夜1時まで飲んで歌っていたと言ってたくせに、なんて元気なんだろう。

「うーん、昨夜飲み過ぎたから、今日はビールはいいや。宿に薬草入りの焼酎があるから、それを軽くやろう」

「オッケー。じゃあ、つまみでも買ってくるわ」

 しかし、宿に戻ってきた彼の腕にはなぜかウイスキー瓶とソーダと大量の氷。

「ニッノイ(少しだけ)、ニッノイ」と言い交わしつつ、いつの間にか連日の宴会と相成った。

     *

 今朝は、6時にラーに起こされた。

 すでに、市場で買い出しも済ませたといい「早く帰ろう、帰ろう」とうるさくて仕方がない。

 コーヒーを啜り、生絞りオレンジジュースと豆乳を飲んでいるうちに、こちらの心身もやっと運転モードに切り替わった。

 ハンドンでガソリンを入れ、空気圧をチェックすると、すでに9時である。

 それからは一気に走り、11時半過ぎに村にたどり着いた。

 飼い犬と鶏たちに賑やかに出迎えられ、数日間で驚くほど巨大になったキュウリをもぐ。

 マカーム(タマリンド)の木の下で、山からの涼しい風を浴びながらようやくひと息ついた次第だ。

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