それにしても、なんでこうも毎日いろんな“事件”が起きるのだろうか。
基本的には、家と店(徒歩3分)、そして店と町(クルマで5分)の間を何度か往復するだけの日々なのに、なんだかドタバタしながら時間だけが過ぎていく。
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おとといは、町の顔見知りの老人が亡くなった。
3日がかりの通夜と葬儀である。
昨日は、牛の赤ん坊が生まれた。
その騒ぎにまぎれて、2歳の雄牛が行方不明になった。
ジョーや義姉の見立てでは、「どうやら色気づいて、群れの外に彼女ができた」ということらしい。
そいつを捜しに出たジョーのバイクが、山奥でまた壊れた。
一羽の鶏も、また弱ってきた。
とりあえず寝籠に入れておいたら、そのことをすっかり忘れてしまった。
夜中になって、バタバタと激しい羽音が起こり、あわてて外に出ると「ギエーッ!」とひと声鳴いて息絶えた。
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朝になって、バナナ畑の隅に穴を掘って死んだ鶏を埋めた。
ラーもさすがに、鶏鍋にしようとは言わない。
これで、最盛時には20羽を超えた鶏が、雄鶏1羽、若鶏2羽、ひよこ1羽の寂しい家族になった。
鶏たちの行く末に思いを馳せていると、売れ残った黒豚が「ゲヘッ!」と妙な声をあげた。
餌に混ぜた糠の肌理が荒く、喉につっかかったようだ。
あわてて、水でこね直す。
そこへ、元村長がやってきた。
「明日、娘の家の新築祝いをやるから、ご飯食べに来てね」
あちゃーっ、また宴会か。
*
ネットをつなぐために町に向かうと、道路脇の草むらにバイクと人が転がっている。
どうやら、スピードを出しすぎて自爆したようだ。
クルマを降りて声をかけると、若い男が顔面蒼白、耳の脇から血を流している。
意識はしっかりしているようだが、左足と左肩が痛んで動けないという。
集まってきた人たちと一緒に担ぎ上げ、荷台に乗せてひとり病院に向かった。
しかし、バイクの鍵を預かった村の顔見知りが、なかなかやってこない。
おいおい、俺はタイ語で状況説明なんてできないぞお。
「ひとりでバイク事故を起こしたようです、ひとりで」
駆け寄った病院スタッフにタイ語の“コンディオ(ひとり)”を強調して、加害者と間違われないように必死で予防線を張った。
救急処置室まで付き添ったが、医者がなかなかやってこない。
若い男は、うんうん唸るばかりだ。
そのうちに鍵を持って顔見知りがやってきたので、ホッとして彼に後を託した。
やれやれ。
*
肩の荷をおろして店に戻ると、町で済ますべきだった用事を思い出した。
あちゃーっ。
約束の時間は、とっくに過ぎている。
ドタバタとまた店を飛び出しかけると、そこへラーがやってきた。
「テレビアンテナの修理屋さんが来るから、立ち会ってくれる?あたし、機械のことはよく分からないから」
くそーっ、半年近くも待たせておいて、なんで今日やってくるんだあ?
だが、今日断れば、また半年待たされるのがオムコイである。
用事の方は、事故に巻き込まれたことにして明日に延ばそう。
相手に電話をかけると、「マイペンラ~イ」。
ああ、ここがオムコイで良かったあ。
終わってみれば、ドタバタしたのか、のんびりしたのか、よく分からない一日である。
そして、今日もオムコイでは夕日が東の空に沈んでゆく。
なに、そりゃあ大事件だぞお。
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チェンマイからの距離は180キロぐらいなのですが、後半がかなりの山道になります。昨日チェンマイから運転してきた友人は4時間かかったそうです。古い地図には、オムコイが載っていません。
だからこそ、こうやってのんびりできるのでしょうが。
オムコイに本当に行って見たくなりますね。
私が住んでるパトゥムタニーも来た6年ほど前は
すぐ近くの原っぱで放牧(あちこちの草をたべさせるだけ)
されてるのを良く見ましたが、住宅開発がすごい勢いでとうとうその姿は近所ではみれなくなりました。
先日オムコイってどこだと地図を睨みながらさがしたのですが
見つけました! しかしチェンマイからホント遠いですねえ。
途中からずっと山道になるのでしょうかね。
地図の下から上がってこれたら便利良さそうですが、そんな道がないですね。
毎日数回は見に来てます。
がんばってください。