昨夕、晩飯を食べに家に戻ると、囲炉裏端がやけに黒い。
ここには電灯の明かりが届かないから、もともと薄暗いのだけれど、暗いのではなく“黒い”のである。
目を凝らすと、親戚や近隣の男衆がしばらく家を離れていた私たちに挨拶に来てくれていたのだった。
隣家のプーノイ、その息子、従兄のマンジョーとターチー、甥っ子のジョー、その弟のドー、そしてふたりの息子たち・・・。
囲炉裏端に固まっているのは、男ばかりだ。
“黒い”と感じたのは、女っ気がないからだと気がついて、思わず苦笑した。
ここに、高校生の姪っ子でも混じっていれば雰囲気はがらりと変わるのだけれど、あいにく彼女たちはチェンマイの寄宿舎に入っている。
焼酎の献杯を終えると、二組に別れて晩飯を食べ始めた。
「クンター、疲れたでしょう。いっぱい食べてください」
少し酔ったジョーが、私の皿に矢継ぎ早に飯を盛ってくれる。
食べ終えると、男衆がうろうろして食器を片付けたり、洗ったりする。
ありがたいことだが、どうにもむさ苦しい。
*
今朝は6時前に目が覚めたが、なかなかふとんを抜け出せなかった。
豚肉網焼きとキューリのレモン和えで朝飯を食べ、2杯目のコーヒーを飲み終えると、少し調子が戻ってきた。
豚に餌をやり、キューリ棚や長豆棚、野菜畑を改めて点検する。
わずか5日間だというのに、もう草だらけである。
やれやれ。
*
息子ふたりが、エビ獲り行きの支度を始めた。
なんだかんだと賑やかに言い合いながら、 新品のタボに細工を加えている。
こうした自給自足活動では3男のポーの方が上手で、主導権を握ったポーが次男のイエッに餌を買いに行くよう命じて、またひと騒ぎである。
やっと静かになったと思って家に入ると、すでにポーの姿は見えず、イエッが部屋の隅に寝っ転がって漫画本を読んでいる。
「あれ、エビ獲りには行かないのか?」
「はい、エビ獲りは嫌いです」
「ん?」
ラーの解説によれば、弟に主導権を握られたことが悔しくて、ふてくされているらしい。
「そんなら、草取りでもしろ」
途端に、「しまった!」という顔になった。
「やっぱり、エビ獲りに行ってきます」
「よし、じゃあ晩飯にエビ料理が喰えるくらいたくさん獲ってこいよ」
「はい!」
飛び出して行った。
むふふ、今夜はエビの掻き揚げだあ。
さて、疲れ気味の父ちゃんは何もする気になれず、ふとんに寝転がって本を読み始める。
村に戻って急に元気になった母ちゃんは、友人のウーポーと一緒に庭の草むしりを始めた。
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コメントの意味がよく分かりませんでしたが、豚のそばに犬のピーでも映り込んでいたんでしょうか?