昨夜は、9時半ごろふとんに入った。
ラオスから戻って以来、どうも疲れが抜けない感じだ。
ラーは、ジョーと3男のポーを引き連れて蛙漁に出かけている。
鬼の居ぬ間に、静かな眠りをむさぼろう。
2時間ほどして、ラーが戻ってきたようだ。
そっと、ふとんに潜り込む気配がした。
*
「ゲロゲロ、ゲロゲロゲロ、ゲロゲロ・・・」
甲高い音に、また目が覚めた。
ブロック造りの店内に、蛙の合唱が響き渡っている。
「うるさい?」
「ああ、これじゃあ眠れんな」
ラーが鍋に湯を沸かし、昇天させた。
*
朝起きて鍋をみると、体長2センチくらいの小さな蛙が100匹ほど腹を見せて、バンザイをしている。
「おいしそうでしょ。これから、料理するからね」
「おいおい、俺はこの間カエルを食って、えらい目に合ったんだぞ」
「ああ、あれは別の種類。これはカレン語でディープクゥといって、体が小さいから獲るのが大変な高級蛙なんだよ。クンターだって、もう何度も食べてるでしょ」
そう言われれば、その小さな姿には見覚えがある。
腹を出しただけで薬草と一緒に炒めるから、骨が多くて食べにくいが、これで腹をこわしたという記憶はない。
そこへ、折りよく長姉の旦那がやってきた。
「ああ、義兄さん。蛙さばくの手伝って」
ふたりして裏庭の洗い場にしゃがみ込み、爪楊枝を使って内臓を出し始めた。
なんとも、気の遠くなるような作業である。
おかげで、私は開店準備に専念することができた。
*
料理が、できあがった。
いかに小さくとも、バンザイした蛙の姿が目に入ると、どうもひるんでしまう。
「クンター、試してみない?絶対におなかは壊さないから」
仕方がない。
他におかずもないことだし、食ってみるか。
スプーンに飯をすくい、その上に2~3匹をのせて口に放り込んだ。
身が少なく、しかも骨が多いから、相変わらず肉の味がつかみにくい。
しかし、薬草と香辛料の薫りに誘われるように、10数匹を胃袋に収めた。
「おいしい?」
「う、うーん、蛙の味がいまひとつ分からないんだ」
首をひねる私を尻目に、ラーと義兄はあっという間にすべてを平らげてしまった。
*
「あのね、クンター。義兄さんが、今夜一緒に蛙獲りに行きたいって」
「・・・」
義兄は町に住んでいるから、このディープクゥにはなかなかありつけないのだという。
ということは、明日の朝もまた蛙料理か。
オムコイの雨季、茸攻めの次は蛙攻めであるらしい。
☆応援クリックを、よろしく。
すごく小さい蛙ですね。
骨ごとバリバリって訳にはいかんのですか?
鶏なんかだと8時間くらい煮ると骨ごと食べられますから、この小さな蛙の骨なら2時間も煮れば食べられそうな気がするんですが・・・。
腹壊すかな?
内臓を取り出すだけでも、1時間近くかかりますからねえ。
それから2時間も待って食いたいと思うほど、うまいもんでもありませんし・・・。歯の悪い私と違って、嫁や村の衆はバリバリ食ってるので、これが本来の料理法だろうということで郷に従っております。
カドゥムーピンって豚の骨を煮た料理が有るんですが、勧められて噛みついた。
歯が強いか骨が強いかってくらいの料理なんですがバッキンバッキン食べたですよ。
顎が痛くなった。
歯がお強いんですね。うらやましい限り。それなら、蛇鍋も大丈夫かも知れません。