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ブックレビュー:熊とワルツを

2004-05-28 00:19:45 | ブックレビュー
書名:熊とワルツを リスクを愉しむプロジェクト管理
著者:Tom DeMarco & Timothy Lister
訳者:伊豆原弓
発行:日経BP社

FDD関連の本を買おうと思って本屋さんに行って、なぜか衝動買いした本です。平積みになってたので、結構売れてるんじゃないでしょうか。

内容はタイトルから想像出来る通り、ソフトウェア開発プロジェクトにおけるリスク管理についてです。全体として平易な言葉で、理論と実例、たとえ話を降り混ぜながら親しみやすい語り口でリスク管理のいろはを語っており、読みやすい印象をうけました。3日で読み終わりました。ちなみに著者は「ピープルウェア」を書いた人だそうです。

まず、第1章の1ページ目からいきなり登場するリスクのないプロジェクトには手をつけるなとの言葉にはおもわず拍手しそうになりました。特に日本では「リスクをとる」ということができる会社はほとんどないのではないでしょうか?

ソフトウェア開発はなぜいつもこんなにツラいのか?というのはいつもみんなが不思議に思うことですが、本書ではそれは発注者もプロジェクトマネージャもソフトウェアプロジェクトについて回る不確定要素を認識せず、適当な基準で納期を決め、しかもそれを依怙地になって守らせようとするからだ、という話になってます。プロジェクトのリスクを正しく評価し、リスク移行の程度によって納期に幅があることを認めればみんなが幸せになれる、ということです。
この議論にかんしては僕も大いに共感できました。
プロジェクトの納期に幅を認めたくない人達の心配は、開発者に甘えを許すことだと思われますが、無駄な厳しさによって問題が解決するのなら僕は今すぐ、ムチとおもりの付けられる足枷と外から鍵のかけられる部屋を調達しますね。

よく発生するリスク(コア・リスク)については発生する確率のデータをとることで、プロジェクトのリスクをある程度定量的にはかれるようになる、ということもいわれていますが、それを実践できてる会社ってあるんですかね?あったら是非見学に行きたいです。
単なる数の遊びでなく、そのようなデータを現場に活かすのは、ものすごく難しいことのような気がするんですが。。。

インクリメンタルな開発手法は、リスク回避の方法として推奨されています。XPに関してはeXtream Programming Explaindなどの本が推薦図書としてあげられています。著者はXPをリスク回避戦略として高く評価しているようです。

なお、本書で紹介されているRiskologyという無料のツールを使うと、簡単なプロジェクトのリスクのシミュレーションができるそうです。

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