一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

棋士の名前でしりとり

2018-10-23 00:05:36 | 将棋雑記
日本将棋連盟所属の男性棋士の名前で、しりとりをしてみた。

松尾歩→武者野勝巳→宮坂幸雄→大村和久→佐藤紳哉→山口英夫→小野敦生→岡崎洋→志沢春吉→中座真→豊島将之→木村一基→木村嘉孝→加藤一二三→三浦弘行→桐谷広人→戸辺誠→都成竜馬→丸山忠久→佐藤康光→津村常吉→千葉幸生→大野源一→千田翔太→田中寅彦→古森悠太→高田尚平→井出隼平→伊藤真吾→郷田真隆→加藤恵三→浦野真彦→近藤誠也→山本真也→山田道美→島本亮→植山悦行→北村文男→小倉久史→下平幸男→大内延介→北楯修哉→屋敷伸之→桐山清澄→宮田利男→及川拓馬→真部一男→岡崎史明→伊藤果→杉本和陽→大野八一雄→大山康晴

以上、52名。最後は「→鈴木輝彦→金易二郎」で締める手もあり迷ったが、とりあえず大山康晴で締めた。
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フルセットに強い棋士は(後編)

2018-10-22 00:11:47 | データ
続いて、米長邦雄永世棋聖、谷川浩司九段、羽生善治竜王編。

・米長邦雄永世棋聖(タイトル戦登場48回)
1973年 第23期棋聖戦 米長邦雄棋聖 2-3 内藤國雄八段
1976年 第35期名人戦 米長邦雄八段 3-4 中原誠名人
1976年 第29期棋聖戦 米長邦雄八段 2-3 大山康晴棋聖
1978年 第17期十段戦 米長邦雄八段 3-4 中原誠十段
1979年 第4期棋王戦 米長邦雄八段 3-2 加藤一二三棋王
1979年 第20期王位戦 米長邦雄棋王 4千3 中原誠王位
1982年 第7期棋王戦 米長邦雄棋王 3-2 森安秀光八段
1984年 第23期十段戦 米長邦雄三冠 4-3 中原誠十段
1984年 第45期棋聖戦 米長邦雄棋聖 3-2 中村修六段
1985年 第24期十段戦 米長邦雄十段 4-3 中原誠名人
1990年 第39期王将戦 米長邦雄九段 4-3 南芳一王将

・谷川浩司九段(57回)
1988年 第13期棋王戦 谷川浩司王位 3持2 高橋道雄棋王
1988年 第29期王位戦 谷川浩司王位 3-4 森雞二九段
1989年 第14期棋王戦 谷川浩司棋王 2-3 南芳一王将
1990年 第31期王位戦 谷川浩司王位 4-3 佐藤康光五段
1991年 第39期王座戦 谷川浩司王座 2-3 福崎文吾八段
1992年 第5期竜王戦 谷川浩司竜王 3千4 羽生善治二冠
1993年 第18期棋王戦 谷川浩司二冠 2千3 羽生善治棋王
1993年 第63期棋聖戦 谷川浩司王将 2千千3 羽生善治棋聖
1995年 第44期王将戦 谷川浩司王将 4千3 羽生善治竜王・名人
1998年 第56期名人戦 谷川浩司名人 3-4 佐藤康光八段
1998年 第46期王座戦 谷川浩司竜王 2-3 羽生善治王座
1999年 第57期名人戦 谷川浩司九段 3-4 佐藤康光名人
2000年 第71期棋聖戦 谷川浩司棋聖 2-3 羽生善治四冠
2000年 第41期王位戦 谷川浩司棋聖 3-4 羽生善治王位
2001年 第59期名人戦 谷川浩司九段 3-4 丸山忠久名人

・羽生善治竜王(135回)
1989年 第2期竜王戦 羽生善治六段 4持3 島朗竜王
1992年 第5期竜王戦 羽生善治二冠 4千3 谷川浩司竜王
1993年 第18期棋王戦 羽生善治棋王 3千2 谷川浩司二冠
1993年 第63期棋聖戦 羽生善治棋聖 3千千2 谷川浩司王将
1994年 第35期王位戦 羽生善治王位 4-3 郷田真隆五段
1995年 第44期王将戦 羽生善治竜王・名人 3千4 谷川浩司王将
1996年 第67期棋聖戦 羽生善治棋聖 2-3 三浦弘行五段
1998年 第46期王座戦 羽生善治王座 3-2 谷川浩司竜王
2000年 第71期棋聖戦 羽生善治四冠 3-2 谷川浩司棋聖
2000年 第41期王位戦 羽生善治王位 4-3 谷川浩司棋聖
2000年 第48期王座戦 羽生善治王座 3千2 藤井猛竜王
2000年 第13期竜王戦 羽生善治五冠 3-4 藤井猛竜王
2001年 第72期棋聖戦 羽生善治棋聖 2-3 郷田真隆八段
2002年 第15期竜王戦 羽生善治竜王 4千千3 阿部隆八段
2003年 第28期棋王戦 羽生善治棋王 2-3 丸山忠久九段
2003年 第51期王座戦 羽生善治王座 3千2 渡辺明五段
2005年 第63期名人戦 羽生善治四冠 3-4 森内俊之名人
2005年 第76期棋聖戦 羽生善治四冠 2-3 佐藤康光棋聖
2005年 第46期王位戦 羽生善治王位 4-3 佐藤康光棋聖
2006年 第55期王将戦 羽生善治王将 4-3 佐藤康光棋聖
2007年 第56期王将戦 羽生善治王将 4千千3 佐藤康光棋聖
2007年 第48期王位戦 羽生善治王位 3-4 深浦康市八段
2008年 第33期棋王戦 羽生善治二冠 2-3 佐藤康光棋王
2008年 第79期棋聖戦 羽生善治名人 3-2 佐藤康光棋聖
2008年 第49期王位戦 羽生善治名人 3-4 深浦康市王位
2008年 第21期竜王戦 羽生善治名人 3-4 渡辺明竜王
2009年 第58期王将戦 羽生善治王将 4-3 深浦康市王位
2009年 第67期名人戦 羽生善治名人 4-3 郷田真隆九段
2009年 第80期棋聖戦 羽生善治棋聖 3-2 木村一基八段
2011年 第69期名人戦 羽生善治名人 3-4 森内俊之九段
2011年 第52期王位戦 羽生善治二冠 4-3 広瀬章人王位
2013年 第61期王座戦 羽生善治王座 3千2 中村太地六段
2014年 第63期王将戦 羽生善治三冠 3-4 渡辺明王将
2014年 第62期王座戦 羽生善治王座 3-2 豊島将之七段
2015年 第63期王座戦 羽生善治王座 3-2 佐藤天彦八段
2016年 第87期棋聖戦 羽生善治棋聖 3-2 永瀬拓矢六段
2016年 第57期王位戦 羽生善治王位 4-3 木村一基八段

米長永世棋聖はフルセット11回と少ないが、7勝4敗。最初の4回こそ負け続きだったが、その後は怒濤の7連勝。この快挙を知る人は、ほとんどいないと思う。
谷川九段は、やはりというか、3勝12敗。ただし1995年、羽生六冠の七冠阻止を防いだ王将戦の防衛は、タイトル5期分くらいの価値がある。
羽生竜王は24勝13敗。この数字をどう見るかだが、フルセットになると、ちょっぴり勝率が下がることは分かった。
以上、5棋士の比較では、大山康晴十五世名人の18勝6敗(王座戦を除く)の.750が最高勝率だった。七番勝負では、2勝3敗からの逆転が8回もあった。
昔、棋士同士の雑談で、大山十五世名人に1局1億円で勝負を挑まれたらどうするか、という話になったことがある。受ける棋士はいなかったようである。
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フルセットに強い棋士は(前編)

2018-10-21 00:13:53 | データ
16日に行われた第66期王座戦第4局は、中村太地王座が斎藤慎太郎七段に勝ち、2勝2敗。決着はフルセットとなった。
ところで昔、大山康晴十五世名人は、フルセットすなわち、タイトル戦の最終局に滅法強いと言われた。たぶん、中原誠十六世名人や、羽生善治竜王もそうであろう。
では本当にそうなのか、タイトル戦登場最多5傑でその成績を調べてみた。今日は大山十五世名人と中原十六世名人編。

・大山康晴十五世名人(タイトル戦登場112回)
1952年 第3期九段戦 大山康晴九段 2千3 塚田正夫八段
1953年 第2期王将戦 大山康晴名人 4-3 丸田祐三八段
1958年 第7期王将戦 大山康晴八段 4-3 升田幸三王将
1959年 第10期九段戦 大山康晴九段 4-3 二上達也八段
1962年 第1期十段戦 大山康晴名人 4-3 升田幸三九段
1963年 第2期十段戦 大山康晴十段 4-3 升田幸三九段
1964年 第4期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-2 関根茂七段
1965年 第6期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-2 升田幸三九段
1965年 第4期十段戦 大山康晴十段 4-3 二上達也八段
1965年 第7期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-2 二上達也八段
1966年 第15期王将戦 大山康晴王将 4-3 山田道美八段
1968年 第7期十段戦 大山康晴十段 3-4 加藤一二三八段
1969年 第28期名人戦 大山康晴名人 4-3 有吉道夫八段
1971年 第20期王将戦 大山康晴王将 4-3 中原誠十段
1971年 第30期名人戦 大山康晴名人 4-3 升田幸三九段
1971年 第12期王位戦 大山康晴王位 4-3 中原誠二冠
1972年 第21期王将戦 大山康晴王将 4-3 有吉道夫八段
1972年 第31期名人戦 大山康晴名人 3-4 中原誠二冠
1973年 第12期十段戦 大山康晴永世王将 4-3 中原誠十段
1974年 第33期名人戦 大山康晴二冠 3-4 中原誠名人
1974年 第22回王座戦 大山康晴二冠 1-2 中原誠王座
※準タイトル戦の三番勝負
1976年 第29期棋聖戦 大山康晴棋聖 3-2 米長邦雄八段
1977年 第31期棋聖戦 大山康晴棋聖 2-3 中原誠名人
1981年 第22期王位戦 大山康晴王将 3-4 中原誠王位
1981年 第29回王座戦 大山康晴王座 2-1 勝浦修八段
※準タイトル戦の三番勝負
1982年 第31期王将戦 大山康晴王将 4千3 中原誠名人

・中原誠十六世名人(91回)
1967年 第11期棋聖戦 中原誠五段 2-3 山田道美棋聖
1971年 第20期王将戦 中原誠十段 3-4 大山康晴王将
1971年 第12期王位戦 中原誠二冠 3-4 大山康晴王位
1972年 第31期名人戦 中原誠二冠 4-3 大山康晴名人
1972年 第21期棋聖戦 中原誠棋聖 2-3 有吉道夫八段
1973年 第12期十段戦 中原誠十段 3-4 大山康晴永世王将
1974年 第33期名人戦 中原誠名人 4-3 大山康晴二冠
1974年 第22回王座戦 中原誠王座 2-1 大山康晴二冠
※準タイトル戦の三番勝負
1975年 第24期王将戦 中原誠王将 4-3 米長邦雄八段
1975年 第34期名人戦 中原誠名人 4-3 大内延介八段
1976年 第35期名人戦 中原誠名人 4-3 米長邦雄八段
1976年 第15期十段戦 中原誠十段 4千3 加藤一二三九段
1977年 第16期十段戦 中原誠十段 4-3 加藤一二三九段
1977年 第31期棋聖戦 中原誠名人 3-2 大山康晴棋聖
1978年 第17期十段戦 中原誠十段 4-3 米長邦雄八段
1979年 第20期王位戦 中原誠王位 3千4 米長邦雄九段
1981年 第22期王位戦 中原誠王位 4-3 大山康晴王将
1982年 第31期王将戦 中原誠名人 3千4 大山康晴王将
1982年 第40期名人戦 中原誠名人 3持千千4 加藤一二三十段
1983年 第42期棋聖戦 中原誠棋聖 2-3 森安秀光八段
1983年 第31期王座戦 中原誠十段 2-1 内藤國雄王座
※三番勝負
1984年 第32期王座戦 中原誠王座 3-2 森安秀光八段
1984年 第23期十段戦 中原誠十段 3-4 米長邦雄三冠
1985年 第24期十段戦 中原誠名人 3-4 米長邦雄十段
1987年 第35期王座戦 中原誠王座 2-3 塚田泰明王座
1988年 第53期棋聖戦 中原誠王座 3-2 田中寅彦棋聖
1989年 第37期王座戦 中原誠王座 3-2 青野照市八段
1989年 第55期棋聖戦 中原誠棋聖 3-2 屋敷伸之四段
1990年 第56期棋聖戦 中原誠棋聖 2-3 屋敷伸之五段
1992年 第50期名人戦 中原誠名人 4-3 高橋道雄九段

大山十五世名人は、準タイトル戦1勝1敗を含む19勝7敗。中原十六世名人とのタイトル戦は王座戦を除き20回あったが、4勝16敗だった。そしてその4つはすべて、七番勝負でフルセットの勝利。ただ大山十五世名人は中原十六世名人に分が悪かったので、やっと獲ったタイトル、とも取れる。
その中原十六世名人は、16勝13敗。意外とパッとしないが、名人戦に限れば5勝1敗。とくに1972年から76年まで、名人5期のうち4回が、4勝3敗での勝利だった。
五番勝負では2連勝後の3連敗が多く、棋聖戦で4回、王座戦で1回喫している。
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富岡八段の新橋解説会(第31期竜王戦第1局)・4

2018-10-20 00:06:00 | 将棋イベント

第11図以下の指し手。△2九竜右▲3七金△2八竜行▲3六歩(第12図)

「△2九竜です!!」
藤森奈津子女流四段が叫ぶ。
「あっ、ええっ!? 逃げた!!」
富岡英作八段が叫び、藤森哲也五段も唸った。
「ああ、△4九竜の筋は詰まないんですね」
と、富岡八段。藤森五段は「レベル高すぎるよこの将棋」と嘆息した。
「あ、正解者は?」
「……ゼロです」
「……そうか、悪いことしちゃったなあ」
富岡八段は肩を落とすが、これはやむを得ない。竜を逃げる手は考えられないし、よしんば逃げるにしても、金を取ってからだ。だがそれは桂を渡すから良くないのか。それなら△3五桂が疑問手だったことになるが……。
抽選は全投稿者の中からと思ったが、このあともう1回やることになった。
羽生善治竜王は▲3七金と逃げつつ竜取り。しかしこの金が取られないとは……。
広瀬章人八段は△2八竜行と逃げ、羽生竜王は▲3六歩。ここで再び、次の一手タイムとなった。

右のサラリーマンは、「手が進んだよ」とつぶやいている。それなら次の一手に投票すれば、限りなく賞品に近づけるが、彼は賞品に興味がないのだろう。
解答用紙は残っているのかと思いきや、あった。ほうぼうに配って回り、私の近くにもスタッフが来た。
私が挙手すれば用紙をもらえたが、やめた。彼にカンニングと疑われたくなかったからだ。それに、次の一手を考えるのが面倒臭かった。
富岡八段「さっきの例があるんであまり候補手は言いたくないんですが、このままだと桂を取りながらの▲3五歩の味がいいんです。だから△2七桂成はありますが、それも▲同金△同竜▲3五歩で、▲2七馬を見てどうですか。後手は飛車を渡せないでしょう」
それで、△1九竜入あたりが相場に思われた。
しかし本局の異様な将棋が、そんな平凡な手で済むだろうか。
今度はすぐに、用紙が回収された。私は別に読んでいるわけではないが、どうせ取られる桂なら、△4七桂成と飛び込む手はないか。
▲4七同金も▲同桂もハッチが閉まるし、▲4七同玉も△4九竜と回られて、あまりいい気持ちはしないだろう。羽生竜王も時間がないし、選択肢の多い手を喰らったら、結構慌てるのではないか。
……などと考えたら、次の一手が指されたようだった。

第12図以下の指し手。△4七桂成▲同桂△1九竜入▲3五歩△2四玉▲2五歩△同玉▲3九桂(第13図)

「△4七桂成です!!」
と、藤森女流四段が叫ぶ。……何!?
「エーー、これ当たった人いないんじゃない?」
と、藤森五段が叫ぶ。
いやいやいやいや、叫びたいのはこっちの方である。まさか本当に△4七桂成が指されるとは!!
「プロでも紛れ込んでるんじゃない?」
と、これは富岡八段。まったく読みになかったふうだ。藤森五段は「△4七ヒロセですね」とつぶやいた。そして藤森女流四段が報告する。
「正解者は2人いました」
「いた!」
チッ…。私は幻の正解となり、静かに混乱するばかりである。
……そういえば春の名人戦の次の一手でも、佐藤天彦名人の「▲8四角」が本命だったところ、一マス遠いの「▲9五角」が正解だったことがあった。私は投票こそしなかったが、やはり「▲9五角」を当て、ひとり地団駄を踏んだものだ。まさかあの気分をまた味わうことになろうとは……。
考え過ぎたと思う。いや、右のサラリーマンのつぶやきに怯むことなく、自分の読みを信じて投票すればよかったのだ。私がスマホを見ていないのは、彼だって知っている。誰に遠慮することはなかったのだ。「△4七ヒロセですね」と、藤森五段がつぶやいた。
ともあれ、正解者にプレゼントである。正解者の1人はオッサンで、例の国民栄誉賞記念品だ。しかしもう1人の解答は「△4七桂」で、藤森女流四段はこれを大負けの正解とした。
しかしである。通常、「成」の未記載は不成を意味する。これじゃ答えが違うんじゃと思ったが、私が文句を言える筋合いではない。
ところで賞品はもうひとつあったのかと思いきや、羽生竜王だか誰かのクリアファイルだった。
何だか知らないが、ここで血圧が上がるとは思わなかった。
局面に戻るが、冷静に考えれば、金取りに桂を打ったのに金に逃げられ、今度はその空間に空成りしたわけだ。何と将棋の奥深いことか。もう、ついていけない。
羽生竜王は▲4七同桂。まあ、そうであろう。
「▲4七同桂の時、羽生竜王の手が震えたと書いてあります」
と藤森五段。ゴルゴ13を思わせるこの震え、これが出れば羽生竜王の勝ちとしたものだが……。
△1九竜入には、▲3五歩から玉を引っ張り出す。後手は△1六玉~△2四香が入ればまだ楽しみがあるらしい。
羽生竜王▲3九桂。この手が二枚竜を遮断しつつ、入玉を防いでいる。
富岡八段「この手で▲3六馬は味消しだから、この方がいいね」

第13図以下の指し手。△5二金▲1一成桂△1七角▲2六歩△2四玉▲1二成桂(投了図)
まで、141手で羽生竜王の勝ち。

局面はいよいよ大詰めを迎えた。富岡八段「これは、間違えたほうが負けるね」
それはそうであろう。「これを指運と私たちは言いますが……」
とはいえ現状は、盤上に羽生竜王の駒が多く、「長引けば、最終的には先手が勝つ」(富岡八段)情勢らしい。
そこで△5二金が着手された。富岡八段は一拍置き、「△5二金は悪手ですね」と断定じた。今まで2人の指し手を常に讃えていた富岡八段だが、だからこそ、この言葉は重みがあった。「▲1一成桂で香が入るのが大きいんですよ」
果たして実戦も▲1一成桂だった。「この交換で終わったと思います」
広瀬八段が最後の考慮に入る。
富岡八段「だけど恐ろしいもんですね。さっき苦し紛れに打った▲5九桂が、今は▲4七桂と跳ねて、▲3五歩を支えてるんだもんね。
△5二金が終盤の一手パスみたいな手になってます」
△1七角▲2六歩が指された。△2六同角成は▲同金で、△同竜は▲2七香、△同玉は▲3七角だ。
△2四玉には▲1二成桂がピッタリ。ここで広瀬八段が投了した。

それにしても、勝ち将棋鬼のごとしとはよく言ったものだ。前述の通り、ヘナヘナの▲5九桂(失礼)は▲4七桂と跳び、鬼手▲2四桂は相手の飛車金を取りなおかつ、最後は後手玉の裏側に回り、玉の死命を制した。
三氏の解説は終わったが、富岡八段は納得がいかないようで、第13図まで局面を戻す。
ここで後手に手がなかったか。広瀬八段は△5二金と上がったが、これは▲4三馬の王手金取りを防いだもので、やむを得ないところもあったのだ。だが代わる手となると難しい。
藤森五段「終盤何があったか分からなかったんですけど」
富岡八段「羽生さんに寄せてみろと言われて、広瀬さんに焦りがありましたかね。
(第11図の)▲4九銀まで戻ってだと、どうなんでしょう」
三氏はしばし検討したが、敗着は不明だった。
ふぅ~。第1局から棋史に残る名局を見られて、もうお腹いっぱいになってしまった。解説者の皆様、楽しい解説をありがとうございました。
なお新橋解説会は、第2局は休み。次回は第3局で、11月2日の開催である。
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富岡八段の新橋解説会(第31期竜王戦第1局)・3

2018-10-19 00:05:50 | 将棋イベント
将棋といえば「名人戦」が一般人のイメージで、「竜王戦」はネームバリュー的にどうかと思ったが、SL広場前は結構な人数である。それも冷やかしではなく、将棋ファンが観戦しているふうだ。
私の右のサラリーマンと、前の若者は、スマホを片手に観戦している。今は記譜配信のみならず、映像の中継もあったりして、時代の変化を痛感する。

第8図以下の指し手。△2九飛成▲3九歩△4七桂成▲同金直△2七銀▲6五銀△3八銀不成▲5四馬△3四玉(第9図)

局面、解説の三氏はわずかに先手持ちのようだが、まだまだ分からない。広瀬章人八段は△2九飛成とした。羽生善治竜王の▲3九歩に△4七桂成。藤森哲也五段が危惧していたが、ここで銀を取れた。
富岡英作八段「▲4七同金右は△3九竜があるので、▲同金直の一手です」
そこで△2七銀。横歩取り△4五角戦法で△8七銀と打つ変化があるが、その手を思い出した。
それとは別にこの局面、どこかで見たと思ったが、私が小諸そばを出たあと、最後に確認した局面かもしれなかった。
ここで藤森奈津子女流四段らが次の一手を提出したがったが、私の右のサラリーマンが「(局面が)進んでる」とつぶやき、解説陣にも最新の指し手が入った。次の一手はもう少し先になるようだ。
藤森五段「▲6五銀です」。ついに羽生竜王が反撃に転じ、富岡八段が唸った。
以下お互い駒を取り合い、△3四玉まで。かなり先手玉も迫られたが……。

第9図以下の指し手。▲2六桂△同竜▲3八歩△3九飛▲5九桂(第10図)

羽生竜王は▲2六桂と打つ。富岡八段が「おおー、これも次の一手にしたかったね」
と唸った。「これに△2四玉だと、詰みもありそうだね」
藤森五段と研究すると、それは▲2五歩△同玉▲3六金△2四玉▲2五歩△1三玉▲2二銀△1二玉▲1一成桂△2二玉▲2一馬△1三玉▲1二馬(参考4図)まで詰む。飛車を取ってお役御免と見ていたあの成桂が詰みに一役買うとは、将棋は恐ろしい。

広瀬八段△同竜の一手に、羽生竜王は▲3八歩と銀を外し一息ついたが、△3九飛が厳しい。「これすごい将棋だな」と富岡八段がつぶやく。今日はこのフレーズを、何回聞いたことだろう。しかしそれは、大袈裟な表現でもないのだ。
羽生竜王▲5九桂。咄嗟に意味が呑み込めず、富岡八段らは硬直した。

第10図以下の指し手。△3八飛成▲4八銀△3五桂▲4九銀(第11図)

富岡八段「…………。△3九飛は、△6六桂からの詰めろです。だから▲6八玉と早逃げしたいんだけど、△5九角がある。▲5九桂はそこに打たせないための犠打なんですね。
しかし……」
見たことのない異筋の受けに、言葉が出ないふうだ。
さっきまで羽生竜王がわずかにいい雰囲気だったのに、現在は広瀬八段優勢の情勢になっている。いったいどこで逆転したのだろう。
藤森女流四段が、「ここで羽生竜王は1分将棋に入ったそうです。広瀬八段は24分残しているそうです」と散文的に告げる。羽生竜王が相手より早く1分将棋になるのは珍しい。
ここで私だったら△2九竜と入るところだが、▲4八銀がありそうだ。
広瀬八段は△3八飛成で、これも厳しい。やむない▲4八銀に、カサにかかって△3五桂。羽生竜王は泣きの▲4九銀。この時△4七桂成は▲同桂と取れるのがミソだ。あのヘナヘナな▲5九桂(失礼)は、ここにも意味を持たせていたのだ。

とはいえ羽生竜王は持駒が歩だけになり、私だったら戦意喪失するところ。ただ、第7図からの▲3八金打同様、受ける時はしっかり受けなければならないのだ。
ここで局面が止まったようだ。三氏はしぶしぶ、という感じで、ここを次の一手とする。正解はほぼ決まっていそうだが、早いところやることをやっとかないと、広瀬八段の持ち時間がなくなったら、次の一手をやる暇さえなくなってしまう。
富岡八段「この局面は広瀬八段の勝勢です。候補手は、ここで竜を逃げる手はないから、△4七桂成でしょう。ほかは△4九竜から入るのもあるかな」
スタッフが解答用紙を配る。しかし全員分はなく、手近な人に配るのみだ。それでもほしい人は挙手をするが、私にその度胸はないし、しかも周りに観戦者も多いので、身動きが取れないのだ。
まあよい、どうせ次の一手は△4七桂成だ。仮に投票しても、倍率が高すぎる。
解答用紙があらかた回収されたようだ。富岡八段が、「賞品はですネ、鈴木大介九段からゼヒ紹介するよう言われてきたんですが……」と言う。私も見たが、どうも羽生竜王が国民栄誉賞を受賞した時の、記念の品物だった。
藤森女流四段が集計を見ると、解答は8割方「△4七桂成」らしい。まあそうであろう。しかし指し手がなかなか入ってこない。
藤森五段「広瀬さん、こういうところは間違えないんですよね。私が先手だったら、行きた心地がしないです」
富岡八段「ここで決めないと逆転してもおかしくない。さすが羽生さん、間違えたら許さない形を作ってますからね」
まだ指し手は入ってこない。「何を考えてるんですかネ。だって金を取るために桂を打ったんだから、とりあえず金を取ってから考えたくなるのが人情ですよね」
まったくその通りだ。富岡八段はことさらプロを強調せず、アマチュアの視点に立って話してくれるのがいい。いや中には、「私たちプロは……」を口癖にし、あなたたちアマと私たちプロは指す手が違うのです、というスタンスで解説する棋士もいるのだ。
広瀬八段の熟考は続く。富岡八段「99悪い手でも、ひとついい手があればいいのです。
……まず△4七桂成としますよね。これで先手玉に詰みがあれば話が早い」
藤森五段と、先手玉を詰ましにいく。▲4七同桂△4九竜▲同玉△2九竜▲3九歩△3八金▲5八玉△4八金▲同玉△3七銀▲5八玉△4八金▲6八玉△5九角▲6九玉(参考5図)……。これはわずかに詰まない。

富岡八段「詰まないね。じゃあ意外に難しいのか。じゃあ逃げる手もあるのか? いやいや。
……今考えると、いい次の一手だったね」
う~む。しかし答えは△4七桂成に決まってるんだから、次の一手としてはどうなのだろう。
指し手が入ったようだ。
「エエーーーッ!?」
藤森女流四段が悲鳴を上げた。
(つづく)
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