一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9期マイナビ女子オープン一斉対局・雑感

2015-08-03 01:16:03 | 女流棋戦
1日(土)に東京・竹橋で第9期マイナビ女子オープンの一斉公開対局があった。私は見に行かなかったが、雑感を記してみよう。

午前の1組・中村真梨花女流三段―渡部愛女流初段戦は、短手数で中村女流三段が勝った。
渡部女流初段は中村女流三段に全敗だそうで、実力差はそんなにないはずなのに、不思議だ。私は「相性」という言葉は使いたくないが、渡部女流初段は中村女流三段に、指しにくさを感じているのではなかろうか。1つ勝てば流れが変わると思う。

11組決勝の中井広恵女流六段―清水市代女流六段戦は、清水女流六段の快勝。
上の続きではないが、中井女流六段も清水女流六段に相性が悪い。対清水戦の連敗が、だいぶ伸びている。
中井女流六段の将棋は本格的で、女流棋士の中では最も男性棋士に近いと思う。ほかの女流棋士とは格が違う。もっといえば、現在の女流棋士界で、里見香奈女流名人・女流王位に対抗できるのは、中井女流六段だけだと信じる。その中井女流六段がどうして清水女流六段に勝てないのか、ホントに理解に苦しむ。
もちろん清水女流六段も強豪なのだが、中終盤で重たい手を指して自滅する時があるのに、中井戦だと不思議にそれが出ない。重たい手が重厚な手になって、中井女流六段を困らせるのだ。
とにかく中井女流六段は清水女流六段によく負ける。タイトル戦の星も含めて、ここまで負けることはないじゃないかと思うわけである。

里見女流二冠は4組で、貫禄の予選抜け。これで公式戦20連勝を達成し、中井女流六段の19連勝を抜いて、女流連勝新記録となった。
里見女流二冠は、病を得ながらの対局は相当のハンデとなっているはずだが、この20連勝中、里見女流二冠が不利になった局面は1回もなかったのではないか。
もうほかの女流棋士とは大駒1枚違う感じで、今の彼女に勝てそうなのは加藤桃子女王・女流王座と、西山朋佳奨励会二段ぐらいしか思い浮かばない。奨励会員の女流棋戦参加を認めてから、女流棋界は序列がおかしくなってしまった。

9組決勝の藤田綾女流初段―竹俣紅女流1級戦は、竹俣女流1級の勝ち。
これ、棋譜を見たら、藤田女流初段が初歩的なトン死を喰らっていた。
私程度の棋力でプロの将棋をどうこう言えないが、あの局面で△8二玉と逃げるプロがいますかね。先手の持駒を錯覚していたとしか思えない。もし不詰めだと思って逃げたんだったら藤田先生、これから相当勉強しないとヤバイですよ。
一方の竹俣女流1級は、予選の2勝で、かなりの懸賞金を手にしたらしい。新懸賞金女王の誕生となった。

7組決勝の飯野愛女流1級―高浜愛子女流3級戦は、飯野女流1級の勝ち。
この将棋、高浜女流3級の2級昇級がかかっていた。「女流3級」とは見習いみたいなもので、2年間でそれなりの成績を挙げられないとプロを剥奪、研修会戻りとなる(その場合、齢30を越えている彼女がどう扱われるのかは分からない)。高浜女流3級はプロ申請後の成績がパッとせず、これが事実上のラストチャンスだった。
それでこの将棋、繰り返すが、飯野女流1級が勝った。こう書くと必ず「米長哲学を実践した」という人が現れるが、私はあんなもの、ないと思っている(これについては「将棋ペン倶楽部」に投稿するつもりなのだが、なかなか筆が進まない)。
両者は同時期に研修会で戦った仲らしいから、飯野女流1級だって、そんなにリキを入れていたわけではないと思う。
ただ、力が抜けたからいい手が指せちゃう場合もある。「ええい行っちゃえ!!」という手が負けを恐れぬ好手だったりするわけだ。
それより何より、肝心の高浜女流3級がふだんの実力を出さねば話にならない。内容は完敗だったらしいが、結局、高浜女流3級が弱かった、ということである。彼女はここまで対女流棋士会女流棋士に全敗らしいから、仮にここで女流2級になったとしても、その後の苦労は目に見えている。早いうちに己の限界が見えて、かえってよかったのではないだろうか。

山田久美女流四段は初戦に敗れ、来期またもチャレンジマッチ行き。他棋戦でタイトル戦に登場しようが、マイナビには一切関係ないのだ。
田村真理子アマ、佐藤陽子アマは無念の敗退。でも、今までどおり努力を続ければ、いつか予選を突破できる。このまま将棋への情熱を失わないことである。
マイナビ恒例の懸賞金は、200本を越えたらしい。1本1万円とか1万5千円とかいう額は、労働者には大変な額なのだが、受け取る側は、どう認識しているのだろう。
LPSA勢は、本戦進出1人もなし。LPSAの体たらくは今に始まったことではないのでもう慣れっこだが、ついにこの結果になったか。
もう将棋の成績で期待するのはやめた。
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4 コメント

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マイナビ観戦記 (Fuj)
2015-08-03 12:36:50
いろいろあってここ2年間は行っていなかったのですが、3年ぶりに参戦しました。場内の熱気は相変わらずで、このイベントが定着したことを感じました。このイベントをここまで盛り上げた関係者の努力に敬意を表すとともに、続けてほしいと思います。さて感想ですが、
1.渡部さんの将棋が不出来で、勝利者予想クイズは対局開始後20分以内に投票するのですが、その時点ですでに不利になっていて、私も中村女流三段に○を打たざるを得ない感じでした。相性うんぬんではなく、今回は個人の問題かと思いました。
2.高浜飯野戦ですが、個人的には熊坂さんのときと同じ感じが致しました。将棋自体は一方的な展開になり、形勢ははっきりしていましたが、高浜さんは最後まで投げ切れないのか、勝ち目のない状態で詰みまで指し続けました。状況が分かっているものとして、これを「見苦しい」とはいいたくありませんでした。
自分の対局が終了し、感想戦が終わった後も、退席せずに、そのまま残ってこの将棋を厳しい表情で見続けていた村田女流二段の行動と表情が印象的でした。
3.ただし、私は用事があって帰ったので最後までは見なかったのですが、ネット情報で知ったのですが、飯野女流1級がインタビューで泣いた行為については、いただけませんでした。勝負なのだから、非情に徹して勝ちを目指すのもよし。また、人情将棋を行うのも勝負師としては?ですが、人としては理解できる行為です。(八百長という意味ではなく)いずれにせよ、飯野女流1級は勝負師として勝ったのですから、堂々としていればいいのであって、相手を思いやって泣くという行為は結果として、相手を侮辱する行為だと思います。本当に泣きたかったのは高浜女流3級でしょう。
でもまだ終わったわけではありません。女流王位戦の予選がありますので、この戦いが最終章になりますので、最後まであきらめないでほしいです。
4.2年前に相川女流3級(当時)が同じような状況で予選を勝ち上がり、インタビューで加藤桃子奨励会初段が自分のことのように号泣していました。この行為は姉妹弟子として感動的でしたが、もし相川さんの予選決勝の相手が加藤さんならどのような行為をとったでしょうか?生真面目っぽい加藤さんのことですから手を抜く行為はしなかったと思いますが、少なくともインタビューで相手を思い人前で泣くような行為はしなかったと思います。
5.マイナビ女子オープンとは関係ないのですが、併設してアマチュアの大会が行われておりました。
この大会については連盟のHPでは事前申し込みが必要で7月12日までという記載がありました。それで、私は大会参加をあきらめてそのままマイナビ会場に向かい入場料1000円払いました。そのあとで、実は大会は当日申し込みでも受け付けているという情報を聞きました。大会申し込みをしようか迷ったのですが、大会参加者は大会参加費1000円を払えば、その後マイナビ会場にも参加できる。つまり、1000円で大会+会場入りができることになります。一方すでに入場料を払ったあとだと、私は大会参加+会場入りに2000円払うことになります。勝利者予想クイズや抽選会の参加の有無はありますが、1000円でことが済む話を2000円払って行うことが自分の哲学としてどうしてもできなかったので、大会の参加は断念しました。
6.その大会では知人も数人参加しておりました。中には突っ込みどころ満載の話もありましたが、結果としてジュニアの部でSくんが優勝し、激指13をGETしておりました。まあSくんの実力ならある意味当然と思う部分もあり、殊勲の星という感じは受けませんでした。
Sくんにはもっともっと強くなってほしいです。
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 (一公)
2015-08-03 23:24:29
>Fujさん
コメントをありがとうございます。
渡部先生の将棋は、早く優劣がついたようですね。渡部先生ももっと勉強しなければいけません。
飯野先生の涙は、いろいろ物議を醸したようですね。
そんなに悲しいなら、うまいこと負けてあげれば良かったのに…と思いました。
将棋大会は、事前の申し込みにアドバンテージを付けたということでしょう。まあ、参加しなくて良かったんじゃないでしょうか。
S君の優勝は見事ですね。大野・植山教室の子供はみんな強いです。
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飯野―高浜 (瀬戸のひしお。)
2015-08-06 01:30:48
私は今回初めて現地で応援させていただきました。
問題の飯野―高浜戦は間近で観戦しましたが高浜先生は緊張の為か序盤より時間を使い、飯野先生は無頓着に進め?時には(馴染みのファンなのか)観戦者に笑みを見せていました。

対局後、高浜先生は午前中の懸賞金授与式で見せた笑顔は無く話しかけようもない状態でしたが飯野先生は明るく振る舞われていましたので後で涙の話を聞き驚きました。
私は飯野先生は対局中押さえていたものが押さえきれないで出てしまったものとして肯定できます。
ただ失礼ながら飯野先生が山根先生を破るとは想定外でした。
村田先生のあの雰囲気はたしかに初めてでした。
雑感としては
連盟の腕章を着けたカメラマン?。よほどの下手くそかワンショットに何枚撮るのか!?、観客の邪魔でも有りましたし対局者にも迷惑だったのでは!?(怒)

宏美先生が最後の対局が終わるまで対局場に残り関係者?に挨拶されていたことも。

懸賞金、やたら二股懸けの特別協賛が多かった気がしました。これって応援する先生が負けることも視野にいれてるようで。。。

つたない文章ですみません。
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生観戦 (一公)
2015-08-07 12:52:52
>瀬戸のひしお。さん
現地に行かれたんですか。それは素晴らしい。
なるほど飯野先生は、やっぱり気楽に指していたみたいですね。高浜さん、しっかり負かしてくださいよ、と。
でも高浜先生が勝ち切れなかった。これは仕方ないですね。
世間では村田先生の行動が評判になっていますけど、どうなんですかね。私にはピンと来ません。
カメラマンさんは、公私混同してるんですかね。
宏美先生は、代表理事職が板に付いてきたようですね。今後が期待できます。
懸賞金を懸ける人は、素晴らしいですね。
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