一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

両取り受けるべからず

2022-11-19 23:09:47 | 将棋雑記
現在第35期竜王戦で七番勝負を激闘中の藤井聡太竜王と広瀬章人八段が、14日、第81期順位戦A級で当たった。
タイトル戦を戦っているふたりが他棋戦で当たるケースはままあり、それがタイトル戦にも微妙な影響を及ぼすのだが、こればかりは仕方ない。
順位戦のほうは双方3勝1敗。どちらも、勝って名人挑戦戦線に残りたいのは言うまでもない。
将棋は藤井竜王の先手。後手の広瀬八段が角道を止め、続いて9筋の歩を突いたところで「オッ?」と思った。もしや振り飛車の採用か? と思いきや、広瀬八段は左金を上がって雁木に構えた。やはり振り飛車はないのだ。
藤井竜王は棒銀を採用し、広瀬八段の注文で角交換になった(図)。

この局面、次に△5五角があるからどう受けるかだが、私だったら▲3七歩と収める。しかしこれでは▲3四歩の楽しみがなくなるから、代えて▲3七角だろうか。しかしこれも利かされっぽい。
では、コビンが開いて気持ち悪いが、▲5六歩だろうか。
いずれにしても藤井竜王の指し手が注目されたが、藤井竜王は▲3四歩!!!と打った。
いままでも藤井竜王の指し手には驚かされてばかりだが、この手には本当にビックリした。格言に「両取り逃げるべからず」があるが、本局はさしずめ「両取り受けるべからず」だ。これが藤井竜王の読み筋だとすると、スゴすぎる。
広瀬八段は予定の△5五角。しかし▲3三歩成に飛車を取らず、△8八角成と銀を取った。
これがまたプロっぽいというか、虚々実々の応酬という気がした。
以後は藤井竜王の指し手が冴え、93手まで藤井竜王の勝ち。
振り返って、藤井竜王の指し手が異次元だった。藤井竜王の将棋は前進する手が多いが、この将棋はその典型である。将棋の指し手は、突き詰めると本局の展開になるのではないだろうか。
こんな将棋ターミネーターに、一般の棋士が勝てるわけがない。竜王戦の帰趨は見えたようである。
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