一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

空前絶後の6人プレーオフ

2018-03-04 00:05:06 | 男性棋戦
私はタイトル戦の番勝負や挑戦者決定戦の類はあまり興味がなく、女流棋戦の予選や、フリークラス棋士の奮闘ぶりに心が奪われてしまう。里見香奈女流五冠と中倉彰子女流二段の誕生日だった3月2日はA級順位戦の最終局があったが、そんなわけで私は、豊島将之八段が名人挑戦にかなり有利、くらいの認識しかなかった。星次第では6者プレーオフの目もある、との声もあったが、マンガでも描かないような結果になるわけがないと、せせら笑ったものだった。
では最終局の対戦カードを記しておく。

稲葉陽八段(?)VS行方尚史八段(?)
渡辺明棋王(4勝5敗)VS三浦弘行九段(?)
広瀬章人八段(?)VS豊島将之八段(6勝3敗)
屋敷伸之九段(2勝7敗・降級)VS佐藤康光九段(5勝4敗)
深浦康市九段(?)VS久保利明王将(6勝3敗?)
羽生善治竜王(6勝4敗)…抜け番

各棋士の星の認識はかくの如くで、6人プレーオフの可能性が誰にあるのか、私は分からなかった。また渡辺棋王VS三浦九段戦はこの表ができた時から注目されていたが、どちらも残留しそうな予感がした。
最終戦は静岡市「浮月楼」で行われた。これは「名人戦第0局」という傍題が付いているが、私はこのコピーが好きではない。順位戦は名人戦ではない。
対局が始まったが、見どころは夜に入ってからである。私は昼も怠惰な時間を過ごし(といっても、5日の会社面接の準備はしていたのだが)、夜にPCでAbemaTVを観た。
解説は中村太地王座、藤井猛九段、阿久津主税八段、佐々木勇気六段と豪華な顔ぶれ。それはいいのだが、肝心の画面は右上にメイン、あとは「しんにょう」のように5面が配置されていて、どこも盤面が小さく、とても見づらかった。
早速差が開いていたのは▲広瀬VS△豊島戦である。先手の広瀬八段が大きな駒得をし、早くも勝勢らしいのだ。
「将棋世界」では毎年新年にA級順位戦の勝敗予想クイズを行っていて、私も数年ぶりに投函した。星の予想は控えなかったから一部は忘れたが、「豊島八段が8勝2敗で名人挑戦」としたのは憶えている。豊島八段は前局敗れたから私の全問正解の夢は破れたが、本局も負けたら、名人挑戦の予想まで遠のいてしまう。
やがて豊島八段投了。前半5勝0敗からの大失速で、呆気に取られた。1979年に大山康晴十五世名人が、4勝1敗から5連敗して十段リーグを陥落した悪夢を思い出したものだ。だけど豊島八段、こんなに不安定では、とてもタイトルは取れませんよ。
PCは広瀬VS豊島戦の感想戦を映しているが、甘い。私がプロデューサーだったらとっととほかの将棋にカメラを移しているところである。終わった将棋はもういいのだ。
私はニコ生にもアクセスしたが、入場できなかった。これだからニコ生は嫌いだ。
藤井九段の解説はおもしろいが、私は10時からTBS「アンナチュラル」を観た。石原さとみのクチビルがよい。
それが終わって本格的にPC観戦となった。やがて▲稲葉VS△行方戦が終わり、稲葉八段が勝った。この辺りで、豊島八段、広瀬八段、稲葉八段、それに羽生竜王が6勝4敗でプレーオフ待ち、ということが分かった。
だが▲久保VS△深浦戦は、形勢が逆転して、久保王将がいいみたいだ。これは久保王将が勝ってスンナリ挑戦権を獲得するだろう。
深浦九段△6五飛成。非勢の九段が、粘りに出たのだ。対する久保王将は、▲3三角成と切った。△3三同銀に、返す刀で▲4五桂と銀取りに打つ。
久保王将はよく大駒を切るイメージがあるが、短考で▲3三角成とは思い切ったものだ。だけどこの桂で相手の銀を取ったって、まだ駒損である。達人の思考回路は分からぬが、これで後手玉が寄っているのかと私は訝った。
果たして藤井九段と佐々木六段も同じ見解だったようで、「形勢が詰まりましたよ」とか言っている。
深浦九段は4勝でA級降級、のイメージがある。本局まで4勝5敗だったらしいから本局は負ける予感がしたのだが、こうなったら「深浦ペース」ではないのか?
▲佐藤VS△屋敷戦が終わり、佐藤九段の勝ち。何と5人目の6勝に名乗りを上げた。
これで久保王将が負けたら空前絶後、マジで6人のプレーオフになってしまう。だけどそうなったら、観戦記はどうなるのだろう。
1991年2月にA級順位戦8回戦・谷川浩司竜王VS塚田泰明八段戦が指されたが、毎日新聞観戦記は、総譜74手をわずか3譜でまとめていた。毎日・朝日は今回、どう譜分けしていくのだろう。
阿久津八段と佐々木六段は久保VS深浦戦を解説しているが、▲三浦VS△渡辺戦も解説したいらしい。しかし大盤の局面は替えないようだ。
このあたりも融通が利かないと思うのだが、大盤は2面あった。それならもう一方の盤にスタッフが三浦VS渡辺戦を並べ、解説者が移動すればいいだけの話ではないのか?
久保VS深浦戦は深浦九段が勝勢となった。こうなると三浦VS渡辺戦により興味が湧いてくる。
現在渡辺棋王が三浦玉に王手を掛けているが、よくよく見れば三浦九段が勝勢と分かった。
佐々木六段が「盤面はいいから、2人の対局姿を映してください」と言う。それももっともだが、カメラは複数あるのだから、両方映せばいいのにと思う。
このあたり、AbemaTVの方針がハッキリしていない。スタッフはもっと将棋に思い入れがないとダメだ。私にやらせろ、という感じだ。
三浦VS渡辺戦は、00時06分、渡辺棋王が投了。これは大変なことになった。
久保VS深浦戦は、久保王将が驚異の粘りを見せたが、00時13分、ついに力尽きて投了した。
これにて6者が6勝4敗で並び、戦前のマンガ的予想が現実になってしまった。ウソだろウソだろウソだろ!?
しかも深浦九段が5勝で残留を決めたことにより、順位3位の渡辺棋王が降級となってしまったのだ。1985年度の第44期A級順位戦で、順位2位の森安秀光八段が4勝6敗で3人目の降級者となったが、あれ以来の悲劇である。
言うまでもないが。渡辺棋王は竜王11期、王座1期、棋王5期、王将2期の大棋士である。たぶんこれから、生活費の面では一生安泰である。よって残る望みは名人獲得、これ一点だったと思うのだが、それが遠のいたのが痛いのだ。しかもB級1組在籍は1年どころか、2年や3年に及ぶかもしれないのだ。
改めて思う。前期、渡辺棋王は挑戦者争いを演じ、三浦九段は降級を免除された。そのために今期は降級が3人に増えた。そしてその三浦九段が渡辺棋王の首を切るとは、何という巡り合わせだろう。
まったく、話がドラマチックすぎる。こんな盛り上がりは大山十五世名人がプレーオフ進出を決めた1992年3月2日以来ではなかったろうか。
今年度は藤井フィーバーが世間を席巻したが、とにかくここはA級棋士が底力を見せた。私はA級棋士の、熱い矜持を見た。
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