一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第2回 信濃わらび山荘将棋合宿④・704日でストップ

2011-04-28 00:18:53 | 将棋イベント
23日は朝から雨模様で、いまは小雨が降っている。思えば昨年も雨だった。私は学生のころから雨男だったのでこれは想定内だが、中にはおもしろくない参加者もいたようだ。まあ雨だろうと晴れだろうと、やることは将棋しかないのだが。
私はKub氏と一局。Kub氏とは二枚落ちの手合いだが、Kub氏の希望で平手での対戦となった。
Kub氏の四間飛車に、私は四枚美濃に組む。対振り飛車戦に、居飛車が採る作戦はいろいろあるが、それを考えるのが居飛車の醍醐味だ。ここから仕掛けあたりまでが、考えていて、いちばん楽しい。
さて局面。☖8六歩☗同歩☖同角に、Kub氏の☗同角が悪手。ここは☗8八飛と回って互角の形勢だった。振り飛車党なら、この変化は絶対に抑えておかなければならない。実戦は、私の勝ち。
続けてKaz氏と一局。私の先手で☗7六歩☖8四歩。☖3四歩なら、☗7五歩から石田流を目指すつもりだったが、本譜は☗6八銀から矢倉模様になった。
私の早囲いにKaz氏は急戦の構え。以下激しい攻め合いになったが、最後は私の一手勝ちになった。勝ちはしたが、Kaz氏の終盤の追い上げに、冷や汗をかいた。
傍らでは大野八一雄七段とKun氏の角落ち戦が行われていたが、Kun氏が見事勝利し、大野七段の連勝を「27」で止めた。大野七段は負けてサバサバ。
ところがその一方で、やはり全勝を口にしている猛者がいた。植山悦行七段である。前回も含めてだか今回のみだか知らないが、植山七段も静かに連勝を続けていたのだ。これはプロ棋士が強いのか、私たちが弱すぎるのか…恐らく両方だろうが、やはり私たちがだらしないというべきだろう。
私は今回の参加者全員との対局が終了。17局指して11勝5敗+Hon氏との2局目・1勝だが、プロ棋士との指導対局を除けば11勝(+1勝)2敗だから、まずまずの成績であろう。
ここから2巡目に入る。またも中井広恵女流六段と。前日の昼間に中井女流六段に教えていただいたときも贅沢な気持ちだったが、週末の夜更けに女流棋士に教わるのも、アダルトな趣があってよい。
再び平手でお願いする。☗7六歩に☖8四歩だったので、前局の将棋を踏まえて、矢倉に誘導する。と、私が☗6八玉と上がったとき、中井女流六段が
「図々しい」
と私をまっすぐ見てつぶやいたので、ゾクッとした。「咎めてやりたい」と言ったのかもしれないが、とにかく☗6八玉は、上手(後手)をカチンとさせる手だったようだ。
数手進み、私が☗3五歩を見送って☗8八玉と深く囲ったのだが、これが悪手だった。上手に☖5三角と備えられ、戦機を逸してしまった。結果は中井女流六段の完勝。一方的に攻められ、中井陣の矢倉城に手をつけることができなかった。
終局後は、大野七段を交えて検討する。私が開口一番、
「☗8八玉では☗3五歩と突くべきでした。ここの歩を換えておけば、こちらも十分でした」
と叫ぶと、大野七段に
「プロなら(☗3五歩は)一目だよ」
と言われ、ヘコんだ。
「そうですか…。いや~、そこがプロなんだよなあ。私は、ここで☗3五歩と突くものかさんざん考えて、それで別の手を指してしまうんですから」
私がさらに嘆くと、
「でも勉強になったじゃない。次にこの局面になったら、迷わず☗3五歩と突けるんだから」
と、妙な慰め方をしてくれる。
一方の中井女流六段は矢倉早囲いをされるのがお気に召さないようで、大野七段にその咎め方を聞く。
今回の合宿では、プロ棋士は参加者に将棋を教えるばかりで、自身のメリットは何もない。それは中井女流六段も然りだが、それでも何かを吸収しようと、貪欲に将棋に取り組んでいる。私はその姿勢に深い感銘を受けた。
近くでは植山-Kun戦(角落ち)が行われており、途中はKun氏の攻めが決まったかに見えたが、結果は植山七段の勝ち。あの将棋を勝つとは思わなかった。これは植山七段が本気を出した感じだった。
私はY氏と再び対局。昼の香落ち戦は辛勝したので、調子に乗って角落ちにしたら、Y氏の指し手が完璧で、私の完敗となった。やはりY氏に角はきついか。ただ、角は角なりに、つけいる隙はあると思うのだが…。
続いてIs氏と一局。序盤早々☗2二角成とこられたが、私は相掛かりにはせず、四間飛車に構える。しかし☗6五歩と位を取られ、指しにくさを感じた。
中盤に差し掛かったころ腕時計を見たら、とっくに0時を過ぎていた。これでブログの連続投稿が704日でストップした。残念ではあるが、いままでは記録を伸ばすために、旅行中でもネットカフェに入ってはブログを更新していた。これからはそこまで執心することもないので、せいせいした気持ちだ。休みたいときには、休む。止めたくなったら、止める。これがブログ本来の姿であろう。
Is氏との将棋は、ヒトに見せたいくらいの熱局になった。最後は☖4六竜と香を取る手があって先手玉が即詰みになり、私の勝ち。200手はいったのではないか。将棋を堪能した。
時刻は午前2時に近い。さすがに寝た人も多く、ほかにはY氏とR氏、Kaz氏しかいない。Y氏とR氏の将棋が終わる。Y氏のゴキゲン中飛車だったらしい。それはいいが、感想戦がやたら長い。序盤の研究みたいなことをやっている。
しばらく付き合っていたが、2時30分ごろ、床に就いた。ラウンジでは、まだ彼らの声がしていた。私も将棋は好きだが、彼らほどではない。彼らの将棋に対する情熱が羨ましかった。
明けて24日(日)――。午前7時25分ごろに目が覚めた。アラームは7時に合わせていたが、まったく気が付かなかった。睡眠時間は短かったが、熟睡できたようである。
空は快晴。ここの合宿で、初めて青空を見た。
食堂に行き、朝食。山荘での食事はこれで4回目だが、毎回同じ席だった。
さてこの日は、R氏が発案のメインイベントがある。「プロ棋士の真剣勝負拝見」だ。私たちがいくばくかのおカネを出してスポンサーになり、プロの真剣勝負をこの目で見よう、というものだ。
当初は植山七段と大野七段の一戦を拝見するつもりだったが、合宿中にいろいろな案が出てきた。植山-中井の夫婦対決もあるし、超早指しで3人の将棋を拝見する手もある。それも3局を個別にやる案と、3人が三角形に座り、それぞれと変則的な2面指しをする案が出たりして、私たちはそれだけで楽しめた。
結局、植山七段と中井女流六段に対局をお願いし、大野七段には解説に回っていただくことにした。
この将棋が熱局で、私たちは大きな感銘を受けることになる。
(つづく)
コメント (7)
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