八十路徒然なるままに

早稲田かりほすなど、とりあつめたる事は、秋のみぞ多かる。また、野分の朝こそをかしけれ。徒然草より

ある話の続き

2023年04月08日 15時12分29秒 | Weblog

――続きーー。焼きあがったサンマが、大き目の皿の上で、じゅわじゅわしゅわとしている。「尾の方に、切れ目があるので、そこをつまむと、はがれるよぉ」と、「大根おろしには、醤油は、ちょこっとでいいよぉ」と伝えて、「残りもさばくから、ゆつくりと、おあんがなさい」と。残りをさばく合間に、声もかけずに、ちらっとみると、黙々と食べていたという。食べ終わるころに、「あそこの魚屋さんのは、生きがいいので、美味しいでしょう」と。男性は、伏し目がちに、「ありがとうございました」。「塩と味噌で、二尾ずつに、まぶしてあります」と。男性の目は、涙が潤んでいたので、世間話しなく、「生きのいいうちに」と伝え、男性は、「有難うございました」と、礼も、そこそこに席を立ち、玄関先で、見送った。男性は、十数歩歩んで、振り返り、深々と、頭を下げて、買い物袋を提げていた手で、涙を拭いていたようだと。近所に住んでいても「隣は何をする人ぞ」でも、ちょっとは、よかったかなぁと、話していた。福島民報の記事とは、違ったことでした。


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