生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1144 ・みっともない「貿易赤字の大騒ぎ」――少しの心配もない

2012-01-26 06:41:01 | 日記

 おはようございます。
 生き生き箕面通信1144(120126)をお届けします。

・みっともない「貿易赤字の大騒ぎ」――少しの心配もない

 「31年ぶり貿易赤字」――昨日1月25日の大手紙は一面トップで
このニュースを大きく扱い、「大変だ、大変だ」と大騒ぎしていました。
苦々しい限りです。新聞記者がいかに不勉強か、が如実にあらわ
れた紙面でした。これは、編集に責任を持つ経済部デスクや編集
幹部の見識のなさも示した紙面です。日本のジャーナリズムの
劣化がこれほど酷いとは。

 本当に大変なら、日本の株は下がったはずです。日本の国債
の金利も跳ね上がったはずです。しかし、実際にどうだったで
しょう。昨日の株式市場は、貿易赤字のニュースが伝わったあとも
少しの動揺もなく、むしろ3か月ぶりに8900円台の高値へ回復
する場面もありました。終値は前日比98円高の8883円。輸出
関連株のソニーは5%近く値上がりし、トヨタ自動車も一時2890円と
昨年8月以来の水準まで上がりました。国債の金利も落ち着いた
ままです。

 つまり、最も敏感な市場は分かっているのです。「日本は大丈夫
だ」と。つまり、日本の新聞の大騒ぎは、不勉強によるカラ騒ぎに
過ぎないのです。

 何が不勉強なのか。この市場の現実の動きに疑問を持たない
ことです。経済記者なら、「市場のことは市場に聞け」という目の
前の事実に目を向けなければならないことは百も承知している
はずです。しかも、日本の経済構造の変化を見ようとしない。
具体的には、国際収支の構造変化です。貿易収支が減り、
サービス収支や所得収支が増える構造に変わってきている事実を、
見ない。だから、昨日発表された中身は、「貿易収支は赤字でした
が、経常収支全体ではしっかり大きな黒字でした。ご安心ください」
ということが伝えられないのです。

 いえることは、「日本は貿易立国」と子どものころから刷り込まれ
たアホの一つ覚えにこりかたまっています。「輸出だ、輸出だ」と
過去のビジネスモデルを追うなら、賃金の安い新興国との製品
値下げ競争を通じて、日本はデフレからいつまでも脱却できま
せん。国全体が貧乏になっていくだけです。

 日本は、所得収支、サービス収支の黒字を通じて、経常収支の
黒字を保つ構造を強化すればいいだけではありませんか。

 きわめて問題なのは、この赤字問題を”好機”ととらえて、次の
ような論が強まることです。「原発輸出などインフラ輸出の強化を。
コストの高い原油輸入が増えて赤字になったのだから、コストの
安い原発再稼働を。輸出環境をよりよくするためにTPP(環太平洋
経済連携協定)への参加実現に全力を挙げるべきだ」というキャン
ペーンです。読売新聞の社説は本日、早速この論調を掲げました。
まったくなんというたちの悪さ。読売新聞は、日本の人々を惑わせ、
不幸へ追い込む毒素新聞に成り下がっています。せめてバカ騒ぎ
だけでも止めてもらいたいものです。